我ヲ起コスノハ、誰ダ? 我ヲ暗キ土カラ掘リ起コスノハ、誰ダ? ・・我ノ主トナル者ハ誰ダ 第57夜 ( 頭から真っ逆さまに身体が落ちて行くのを感じつつ、あたしはぼんやりとそれを理解した。 確かに聴いたことを、しっかりと。 黒い身体を持つ友達の声が今も鼓膜に焼き付いている。 ”主となる者は誰だ”と、彼は確かに告げていた (って、何でゼルフィルドの声が聴こえるのよ) 意識がはっきりと目覚めれば、頭から落ちていたあたしの身体はくるりと回転し、 暗闇ばかりだった空間の終着点である白い雪に覆われた地面にふわりと降り立った。 視界いっぱい見渡す限り真っ暗な空と、あたしの立つ地面は視界いっぱいまでひたすら雪、雪、雪。 ・・ここまで極めるとある意味絶景ともいえるわね・・うーむ。 「・・さて、ここにルヴァイドがいる・・のかな?」 あたしをここまで導いたであろう”何か”の答えを期待しながら、一人呟く。 けれども今度は答えが帰って来なかった。 ・・・・しかしいい加減、認めるしかないようである。 (あたしの中に、誰かがいる) あたしをここまで導いた”何か”。(もしくは誰か) それが何かはまったくわからない、さっぱりだ。 だけどもう何度もこの不思議な空間にあたしは降り立った 人の過去を見ることが出来る、”力”がある。 (っていうかこれじゃプライバシーも何もあったもんじゃないわね〜) ざくざくと雪を踏みしめ(冷たさは感じない、感触だけだ)、あたしはそのまま歩を進めた。 適当に歩いて辺りを見回しても人っ子一人いない。 あたしは自分の気を引き締めると、空(であろう暗闇に満ちた空間)に向かって大声で叫んだ。 「ルヴァイドーーーーーーーーー!!!出て来てよーーーーーーー!!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 応答なし。 エコーだって返ってこない。 それに“・・引きこもりなのね、了解”と呟きつつもあたしはため息を吐いた。 元を辿ればあたしのせいなんだけど でもこんなに心配かけるのは良くないと思うのよね、うん (・・こうなったら何が何でも探し出して・・・。 とことんサービスしてもらわなくちゃやってらんないわよね!イエス!!(拳グッ)) 何をさせる気だ そう考えてみたら俄然やる気が湧いて出た。 ああやっぱり自分を奮い立たせるにはエサ(と書いて萌えチユエーションと読む)がなくちゃだめよね! 馬だって目の前にエサがあれば走るんだから、それと同じ!(馬と同レベルかよ) あたしはもう1度ルヴァイドを呼んだ。 「ルヴァイドーーーーーーーーー!!」 あらん限りの声を発した。 それはそれはもう、精一杯に。 答えは、返ってこなかった。 けれどどこからか・・ふわりと風があたしの髪をさらい、”おや?”と思った次の瞬間。 ザァ!!っと強い風が吹き荒れた。 「わっ・・っぷ・!」 その強さに驚いて反射的に両腕で顔をカバーする。 打ち付ける風に吹き飛ばされないように足をふんばって、荒々しく吹き付ける風と真っ向から対立する ような形で、あたしは耐えた。 何なのさーーーーーーーーーーーーー!!!(汗) 心の中で絶叫を上げれば、途端に風がザァァァっと世界を塗り替えて行く。 真っ暗闇と白い雪世界は瞬時に建物の内部に切り替わり、暗闇だけだった天井はいくつもの紋様が 奇妙な形で刻まれているくすんだ灰色の石の天井へと姿を変え、白い雪ばかりだった地面も同じく、 くすんだ灰色の石畳となって奥へ奥へと続く道へと姿を変えた。 あまりの変化に驚いた表情を隠せぬまま風に耐えていれば、ふっ・・と、風がやんで。 恐る恐る顔を上げて・・・やはり、知らない場所にいた。 (・・・ここはどこザンスか・・?) ダラダラと滝汗を流しつつも、辺りを見回す。 本とかテレビでたまーに見かけたことのあるような遺跡の内部・・そんな物を思い出す。 天井だけでなく壁面にも紋様がだらだらと刻まれていて、宗教的な感じがしないでもない。 (・・っというかこの世界の場合だと宗教というより、召喚術の魔法陣みたいなもんかな?) 取り合えず、あたしの世界の遺跡ではないことは確かだわね 奥へ奥へと歩を進めてあたしは確信する。 何故なら、あたしの世界の遺跡には機械遺跡というものはない。 大昔は機械なんてなくて、ひたすら石!石!寧ろコンクリート!みたいな感じで建てられているからだ。 (見事なまでに機械一色だわ) 最初は石畳、石の天井だけだった。 なのに奥へ進むにつれて、周りは変化をみせ始めた。 壁面や天井が鉛色の壁面へと変化を見せ、明らかに石ではない壁が連なるように、 奥へと奥へと続いている。 さらにはとうとうコードやプラグ、キーボード、歯車といった残骸まで発見。 鉛色の床を、あたしは物珍しそうに触ろうとする。 けれど、触れているのに感触が伝わってこない。 また触れないんかよーーーーー!!(泣) “あぁぁぁ好奇心がメラメラわだよ・・!”と頭を抱えていれば、後ろから人の気配と声がして、 振り向けば、黒い鎧があたしの視界に入った。 デグレア軍の、<黒の旅団>の鎧だ。 あたしは慌てて隠れようとしたが、通路には隠れる場所はまったくなく、かなり焦る。 そして現れた兵士の一人と一瞬目が合うが、彼は表情を変えずにあたしから視線を逸らした。 ・・・・・・・・・・・・・どうやらまた、見えていないらしい。あぁ良かったァァァァ!(安堵) 「ルヴァイド様、遺跡の奥はまだ続くそうです。どうなされますか?」 その言葉にあたしはようやく、兵士の前に立つ人物を見る。 そして叫んだ。 (あ・・ああああーーーーーーーーーーーーーーー!!!!) ルヴァイド、だった。 しかも歳は17歳くらいだろうか、妙にバッサリと髪を切っていて・・かなり若く見える。(失礼) 子ルヴァイドよりは結構短く“失恋でもしたのかこの騎士様は・・”と思ってしまう。 でも、鎧は大人ルヴァイドと一緒だった。 ってか、子やら大人やらややこしいよルヴァイドシリーズ!! シリーズ化決定?!(それはそれで嬉しいけど!) んなわけねぇ ルヴァイドは兵士の言葉にしばらく考えた素振りを見せて、ちらりと奥を見る。 思わずルヴァイドの目にあたしの姿が見えているのかと疑ってしまうくらいに、視線が絡んだような 錯覚を覚えて、その瞬間に思わずドキっとした。 (・・あれ?) 今度は別の意味で、ドキリとした。 ルヴァイドの、瞳の奥 とても暗くて 何も映っていなくて 視線が、そらされた。 やはり彼もあたしが見えていないのか、先ほどの兵士と同じように顔を背けると出口に向かって歩いて行く。 ああ!何か無視されたみたいで傷つく!!(泣) 「ルヴァイド様?」 「明日調査をする、今日はテントに戻り帝国軍の様子を見るぞ」 「はい!」 さっさと去っていってしまった二人を、あたしは呆然と見送ったけれど、我に返って後を追う。 こんな遺跡で置いていくんじゃないわよコラーーーーーーーー!!!!(汗) 途端に、ぐにゃりと視界が揺れた。 いや、空間が揺れた・・・そして次には一瞬で別の景色をあたしの前に映し出す。 今度はテントが多く張られた荒野だ。 長年誰にも手入れがされていないことが一目でわかる、緑も何もなくただ地平線が延びる大地。 それに思わずため息を吐きつつも”何か知らんが便利ね〜、瞬間移動・・”と、テントの群がるその 場所へ向かう・・・・・・・・・ルヴァイドはきっとここにもいるのだろう。 「ルヴァイド様!」 振り向くと、兵士の一人が重そうな鎧を鳴らしながらルヴァイドに走り寄って、 何か古い地図らしきものを広げて見せていた。 「さっきの遺跡は見た目からしてロレイラルの技術で作られています。 そしてわが国の文献によるとそこには強力な機械兵士が眠っているようなのですが・・ 真偽はわかりません」 「・・元老院議会は何と言っている?」 「・・は、はぁ・・代理のレイム様のお言葉では全てはルヴァイド様に任せられると・・」 レイムの名前にあたしは顔を思わず嫌そうに歪めたが、無表情だったルヴァイドの表情も歪んだ。 しかも嫌悪以上の憎悪の表情。 ルヴァイドの顔、怒るとすごい迫力ある・・怖っ・・!(ヒー!) 「・・他の兵にも言ったが、明日調査を開始する。 本当に機械兵士が眠っているのであればそれを戦力として有効に活用するのも・・良いだろう」 「わかりました、調査隊と明日について話し合います。お疲れ様でした!」 「ああ」 ルヴァイドは兵に返事をすると、そのままテントに戻って行った。 空はいつのまにか夜色に覆われていて、厚い雲に覆われていて、 いまにも雪が降り出しそうな景色からしてここがデグレアの領域のどこかとわかった。 (・・ってか、機械兵士の眠る遺跡って・・ゼルフィルドの事??) あれって召喚されたモノじゃなかったの? ”そういえば我を掘り起こすのは誰だーって声も聴いた気が・・”と新しい事実に驚きながらも、 あたしはルヴァイドの入っていったテントをこっそり覗き込む。 鎧はすでにテントの隅に寄せられて、鎧を脱いだルヴァイド自身は剣を片手に再びテントを出て行く。 おおおぉぉい!ルヴァイドあんた何一人になってんのよーーー!! 何か危ない目にあったらどうすんの! 慌ててルヴァイドを追いかければ、彼は途中、兵の一人から書類を受け取っていた。 去っていく兵士の背中を見送り、書類へと目を通し (え・・?) 苦しそうに目を閉じて、それを握りつぶす。 何が書いてあったかわからない。 けれどこの兵士の数や、テントの数、馬の数、武器の数・・まるで、戦争中みたいで (戦争、なんだ) 空気も、匂いも何も感じない。 感じるのは風。 風が流れる、吹き付けるのがわかる・・それだけ。 けれど、わかる。 火の匂い、遠くに見える黒い煙、荒野をえぐる大きなクレーター。(これは召喚術だろう) (ルヴァイド) 彼の背中が、酷く小さく見えた。 しょんぼりと落ち込んでいる・・といえば可愛くなってしまうが、肩を落としている姿は、 誰がどう見ても落ち込んでいる姿だ。 ・・・・・・悲しんでいる、姿のようだ。 (ルヴァイド) 彼の肩に触れようとするけれど、通りぬけて。 あたしも思わず俯いて自分の手を見下ろした。 いつもいつも 触れることも叶わなくて 声を掛ける事も叶わなくて 抱きしめることも叶わなくて ただそこにいるだけ 目の前で誰かが泣いていたり 目の前で誰かが傷ついていたり 目の前で誰かが苦しんでいたりしても あたしは何も出来なくて 見下ろしていた両手でぐっと拳を作る。 唇を噛み締めて深く俯いて、ルヴァイドの隣にあたしは佇んでいた。 ・・・・あたしの頭の中で、声が響く。 “悔しい?” (・・・) “助けてあげられなくて・・触れられないのは悔しい?” (・・うん、悔しい) 悔しい。 とても悔しい。 自分が今の彼のために何か出来る人間だなんて思わない “・・これは過去の映像。 貴女はただそれを見ているだけ。 ・・全ては済んだこと・・それでもあなたは悔しいとか、悲しいとかと思うのね” 済んだこと でも今見ている、それは そんな言葉じゃ片付けられなくて そんな言葉じゃ割り切れなくて (確かに済んだ事よ。 あたしはこの頃のルヴァイドを知らない) ”・・・” (でもそこには・・触ることも、話すことが出来なくても、そこにいるの) 声が震える。 胸の奥も苦しく締まる感じがして、目元が、頬が熱くなってくる。 ( 例え過去でも未来でも、辛い 目の前にいるのに何も出来ないのは悔しい “・・ルヴァイドの過去に、あなたは存在していない。 一人でこの苦しみを悲しみを乗り越えて、そうして彼は生きてあなたと出会った” (・・それでも。 存在してなくても・・見てるあたしには哀しい) そこにいるから そこで苦しんでいるから (済んで終った事なら、今見ている彼を助けたっていいじゃない・・! 声を掛けたって、何かしたっていいじゃない!全部済んだことなんだから!!) 今だけは あたしが見ている今だけは、どうにかしたい ルヴァイドのために、どうにかしてあげたくてたまらない あたしの言葉に、声は黙り込んだ。 目の前に立っているルヴァイドはまだ、苦しそうに目を閉じて。 悲しそうに肩を落として書類を握り締めている。 “あなたが過去を見ることが出来るのは、あなたが心を見る力を持っているから” (・・え) ”あなたはアメルの力と似て非なる物を持つ” (何、言って・・) 再び、空間が大きく揺らいだ。 同時にあたしの中に響いていた声がピタリとやんで、驚いて辺りを見回せばやっぱり、 景色がすっかり変わっている。 遺跡の入り口だ。 ルヴァイドも、旅団のメンバーも、兵士もいる。 「ルヴァイド様、我々が先に様子を・・」 「いや、帝国軍との戦いも近い。 ・・何かあって戦力を減らすようなマネは避けねばならん」 有無言わさぬ口調に兵は黙り込む。 ルヴァイドはそんな彼らの先を歩き、マントを揺らしながら遺跡の奥へ奥へと進んでいく。 あたしはもちろん、ルヴァイドの隣りを歩いていた。 (・・これで実体があったら嬉しいのになー・・) 色々できて 何だよ、色々って 通路の途中で、くすんだ灰色の石畳から鉛色の床へと変化した。 それに臆することなく彼はひたすら前進し、機械の残骸を避け、時には崩し、進んでいく。 一際広い部屋に出た。 天井がアーチ状になっており、全てが鉛色の壁面に覆われ、床には束になったコードや ディスプレイの壊れたパソコン(らしきもの)などの残骸が多くある。 ルヴァイドが奥へ進むと、周りに設置されていた歯車がガチンと音を立てて動き始めた。 それに伴って後ろからついてきていた兵士達のいた部屋の扉が素早く閉まり、 ルヴァイドは孤立状態になる。 「・・・・・」 しかし彼はうろたえるもなく剣を抜き、奥を睨んだ。 って、カッコ良いわあんたーーーーーーーーーーーーー!!!!(萌えー!) “オッケー!騎士オッケー!!”とあたしは一人喜んでいたが(喜ぶな)、 剣を構えているルヴァイドはわずかに緊張した面持ちで周りを見渡し、 敵がいないことを確認すると、ゆっくりと剣を鞘に収めた・・・・柄には手をかけたままだが。 「・・この遺跡は・・死んでいると思ったがまだ生きているのか」 鉛色の床すらも何か機能があるのか、光がポツポツと輝くのを見つめながらルヴァイドは 広い部屋を突き抜けて奥に進む。 あたしも慌てて後を追って、ランプを点灯させる床を見た。 (うわー・・すっごい、床まで機械な部屋って初めて・・) しばらく奥へ進んで行ったら、再び広い部屋。 そこに辿りついてルヴァイドはピタリと歩くのをやめる。 どうしたんだろうと彼の後ろから顔を覗かせると 「 言葉通り、そこには黒い身体を持つ機械兵士が太い鎖にグルグルに縛られて、壁に埋め込まれていた。 埋め込まれていた・・というよりは、押さえつけられていると言ったほうがいいのだろうか? 機械兵士の周りには、何故か崩れた痕が多くある。 ルヴァイドは鎖を手に取って観察する。 ジャラリと重く鳴る鎖の一つ一つに細かく文字が刻まれていて、ただの鎖ではないらしい。 あたしからその文字を見ても、まったく読めない。 ってか、あたしの辞書にも世界にもこんな文字はないってーの! 「・・何か・・封印か・・?周りの壊れた壁は・・抵抗した痕・・?」 ルヴァイドは、縛りつけられている機体を哀れむように見上げた。 自由もなく、何も感じず、・・ただ時間が流れるのを待つばかりの機械兵士。 この空間だけ、時間が止まっているようにあたしは感じた。 「・・お前・・自由は、ないのか?」 ルヴァイドの言葉に、黒い機体の機械兵士 それを見たルヴァイドは 「己の存在を示したいか?」 目が再び、チカチカと点灯する。 それは肯定しているようで、それを見たルヴァイドは鞘から剣を再び抜き放った。 「なら、お前の生きる理由を俺が与えてやろう。 お前の歩く道を決めるが良い・・ここで朽ちて行くのを望まぬなら、己の生き方を探せ。 ・・・・・・・・俺みたいに、なるな」 ルヴァイドは剣を鎖に突き立てた。 カシャン!っと鎖の一部が壊れ、その瞬間にゼルフィルドの腕が大きく振りかぶられ、 身体に巻きつく鎖を掴んで引き千切り、鎖が引き千切れると同時に壁を破壊し、 支えを失った巨体は床に倒れるように傾いた。 真っ直ぐな刃に、解放された。 「 もうもうと舞う砂塵の中で、ルヴァイドの言葉が響いた。 床に膝をついたような体勢のゼルフィルドからは壊れた電気製品のような音が聞こえて、 あたしは“大丈夫か”と思いつつゼルフィルドの行動を見つめる。 ・・やがては変な音も止まって、しばらくしてからルヴァイドが口を開いた。 「お前の名は?」 「・・・ぜるふぃるど・・」 「ゼルフィルド、お前はこれからどうするのだ」 「・・・我・・ハ・・ <それ以上、勝手に見ないでくれる?> 突如、空間が割れた。 突然の出来事に驚きながらもゼルフィルドの言葉を聞こうとするが、 見ている世界は無理矢理にも空間が割れて行く。 崩れて行く。 (誰じゃーーーーー!!こんな美味しいシーンを崩す奴は誰じゃーーーーー!) ”ジャキニーニの胸毛責めの刑に処すー!”と叫んでいれば、再び暗闇の世界へと戻ってしまった。 暗闇と雪だけの世界を睨むように見渡して・・がっくりと肩を落とす。 ゼルフィルドとルヴァイドの運命の出会い(オイ)はわかったけど、 まだゼルフィルドの言葉を聞いてない。 あそこまで見せたんだから、聞かせてくれたってバチは当たらんよ!神様! 「そんな事言っても勝手に見る方が酷いと思うけど?」 「なっ?!誰よそんな可愛くないこという男はーーーー!・・って・・」 あたしの真後ろにいたのは、ルヴァイド。 いやしかし、随分とミニマムなルヴァイド・・子ルヴァイドだ。 ・・・ルヴァイドシリーズはもういいよ・・触れないし・・(そこか) 「こんばんは、」 「・・・こ、コンバンハー・・(汗)」 ルヴァイドの幼少時姿の少年はニコリと微笑むけれど、次には冷たい瞳になってあたしを見上げた。 その目には強い怒りとか、そういう負の感情が渦巻いていて・・あたしは思わず反射的に身を退く。 「早速だけど、出て行ってくれない? 他人に過去を見られるほど惨めなことなんてないんだから」 「な?!あたしはただあんたを連れ戻しに来ただけよ!」 “過去は勝手に見せられたんじゃー!”と喚くあたしに、 ルヴァイドは忌々しそうに顔を歪める。 「そうやって過去を見たとしても、ルヴァイドの何がわかるっていうわけ? それに勝手に人の領域に入り込んで来る事が許されると思うの? 君にだって、自分の嫌な過去を他人に知られたくない気持ちだってあるはずだ」 「そ、それは・・」 「僕は君が嫌いだ、殺してやりたいほどに」 少年が身を退いたあたしの元まで、一気に距離を詰めた。 瞬時にあたしの腕を掴み、子供の腕の割には異常に強い力で雪の地面に引き倒し、 馬乗りになったかと思えば 「か・・はっ・・!」 あたしは何をされているのか、一瞬理解出来なかった。 けれどギリリッと軋むような音と、息が出来なくて苦しい状況に あたしの口から零れる、掠れた声に少年が笑う。 「そうやって人の過去を見て、楽をして誰かをわかろうとするなんて卑怯じゃないか・・。 お前はやっぱり最低な存在だ、人をかき回すだけかき回して苦しめるばかりだ・・!」 何を・・・言っているのかわからない 首をしめる腕を掴んで、必死に抵抗をする。 けれど、意識がどんどん遠ざかっていく感覚に思考を支配され、力が出てこない。 それでも死にたくないって気持ちはあって、足を動かしてバタバタと暴れるけれど、 少年はあたしの身体の上から退いてくれなかった。 次第には抵抗する力もなくなってきて、あたしの目から苦しさに涙が零れた。 死にたくなくて、ルヴァイド(小さい頃だけど)の手で殺されたくなくて。 意識が途切れそうになりながらも、あたしは意識だけは保とうと頑張った。 (・・連れて、帰らなくちゃ・・) ルヴァイドを、連れ戻さなくちゃ。 一緒に、一緒に、イオスや、ゼルフィルドのいる、ところに 瞬間。 視界の隅に腕が伸びたのが映る。 (・・・ 握られた拳が、少年のこめかみを殴りつけた。 か細い呼吸を洩らしながら小さな身体が横に吹っ飛んで、ごろごろと地面を転がって行く。 「・・っーーはぁっ・・!!」 少年が吹っ飛んだ瞬間に首を絞めていた手が離れて、酸素を思いっきり吸い込めば強く咳き込んだ。 止まっていた思考も酸素が回ってきてくれたおかげか動き始めたけど、まだ状況を把握できていない。 咳き込みながら、必死に考える。 (な、何で・・) 「大丈夫ですか?」 男の、声。 あたしが涙目になりながらもよろよろと顔を上げると、綺麗に結われた三つ編みが目に入った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三つ編み? 膝をついてあたしの顔を覗き込んでいたのは、知らない青年だった。 漆黒の黒髪に、綺麗に結われた長い髪。 顔立ちも良く、あまりにも感情の色がない瞳が印象的で、あたしはしばし、その瞳を見つめてしまった。 ・・・・・っは!イカンイカン!見惚れている場合じゃない! 男はあたしを無事だと判断したのか、すぐに背を向けて庇うような体勢になる。(え?!) 彼の目線の先には少年がいて、それを注意深く、睨むように視界に入れながらも、 男は話しかけてきた。 「怪我をしましたか?」 「はい?・・し、してないしてない!!ど、どーもありがとー・・(ッテイウカ誰デスカ、貴方!)」 「・・何でこうも、次から次へと他人が入ってくるんだよ」 ルヴァイドの瞳は怒りに揺らいでいた。 その瞳はこめかみを殴り飛ばした男じゃなくて、あたしを睨んでいて。 “あいつは、に敵意を持ってる・・君の言葉を全部否定する”” あいつって、この子の事? “ルヴァイドにとって大きな存在になったキミの存在を・・きっと全部否定する” 否定・・。 「お前が1番目障りだ、。 お前なんかがルヴァイドを惑わすから・・ルヴァイドはもっと迷う事になって、 もっと傷ついて・・そうして僕達の心をボロボロにしていくんだ」 「・・ルヴァイド・・」 「ゼルフィルドやイオスも、ずっと独りで生きて来たルヴァイドを受け入れたりするから。 だから傷つく事が怖くなって、臆病になって・・人としての感情に翻弄されるんだ・・」 「な・・ルヴァイドは人よ!感情だって元からちゃんと持ってるわよ!!」 思わず言い返せば、少年の目が憎悪に見開いた。 すると少年を中心に雪が吹雪いて荒々しい吹雪を巻き起こす。 ・・・・・・暗闇の世界が、荒れ狂うように吹雪く雪に染まっていく。 「お前達なんか出て行け!この世界から・・ルヴァイドの中から・・!!」 雪混じりの風があたし達に向かって強く吹いた。 思わず足が地面から離れそうになったけれど、助けてくれた謎男(命名!彼は今から謎男!)が あたしの腕を掴んで引き寄せ、風から庇うように抱きしめて(ギャア!)吹き荒れる風に耐える。 「な・・(ギャアアアアアア!何この 「このままだと、この世界から弾き飛ばされます」 「は?・・・・・ええええええ?!ってか、何であんたはそんな淡々としてんのよ!」 「あの子供を消してしまうのが1番手っ取り早いのですが・・」 子供。 つまり、あのルヴァイドを、消す あたしは思わず三つ編みをグイっと引っ張って、男の顔に自分の顔を一気に近づけた。 男は一瞬驚いたようなに目を見張るが、あたしはさらにそのまま顔を近づけて。 「ふざけんじゃないわよーーーーーーーー!!(ゴッ!)」 とても痛々しい音が響いて、あたしの頭に衝撃が走る。 けれど男はたいして痛くなさそうで(表情が一つも変わらない!)、あたしはかなり痛かったりするのだが、 それを堪えて抗議した。 「消したら許さないからね!!」 「・・・」 「あんな可愛くない子ルヴァイドでも!ルヴァイドはルヴァイドなんだから!! 消したりなんかしたら本気で許さないから!!っていうか往復ビンタの刑に処す!!」 「・・・それではどうしろと?」 あたしは謎男の質問にぐっと息を詰まらせて、子ルヴァイドを見るけれど。 ・・・・・・・思いっきり“殺っちゃうぞ”モードに入っていて説得は無理っぽい。 「そ、それは〜」 考えた。 けれどさっぱり、思いつかない。 あーもうどうしろっていうのよ!踊れってか?!(落ち着け) 「・・・それでは貴女がルヴァイドの本体を探して来て下さい」 「へ?」 「あの子供は捜そうとする貴女の邪魔をする・・私があの子供を押さえつけていますので、 ルヴァイド自身を探せば・・何とかなるのではないかと」 「な、なるほど!あ、でも絶対消しちゃダメよ!わかってる?!」 謎男はあたしを無表情見つめ返してきて(ち、ちょっと怖いかも・・?)、こっくりと頷いた。 「・・わかりました」 「(ぬぁーーーーー!!訂正!ちょっと可愛いぞーーーーーーーーー!!<悶) そ、それじゃどうやって探しに行けと?!」 さらに勢いが増してきている吹雪の中で、あたしは叫ぶように訴えた。 謎男はそんなあたしを一度力を込めて抱きしめて・・・ふっと、顔を上げて少年を見て、 何かを呟いたのか唇を動かしている。 ・・・・・どうやら何かの名前らしいが、風が強くてあたしは聞き取れなかった。 同時に、少年の後ろに黒い影が現れた。 ”え”と黒い影の姿を捉えた瞬間、影がルヴァイドの頭を殴り倒すのを目撃。 「いやーーーーーーー!!(あたしの)ルヴァイドがーーーーーーーー!!!」 慌てて謎男の腕から抜け出そうとすれば、ますます力を込めて後ろから抱きしめられ、阻まれた。 ”離してよ!”と叫んで睨みやれば、次には謎男はあたしを抱きしめていた腕をぱっと放し、 身体を戒めていた太い腕がなくなり、支えを失ったあたしはそのまま雪の上に倒れた。 ・・・・・・・ック!もう一体何なのよーーーーーーーー!!! 「貴女が離せと」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もういいわよ・・・・・・」 真顔でそういう謎男にがっくりと肩を落としつつ、あたしは黒い影の正体を視界に入れた。 黒い影は男だった。 さらには謎男とどこか似通った雰囲気を持ち、漆黒色の短い黒髪、そして紫色の瞳が印象的だ。 しかしあたしはそちらの登場より、子ルヴァイドが殴り倒されたことの方が痛かったりする・・・。(泣) 少年が、数歩身を退きながら新たに現れた男を見た。 こめかみから血が滴り、随分痛々しい姿だ。 「・・お前は・・!」 「先ほどの借りだ、それに・・我が将を死なせるわけにはいかない」 無感情な冷たい紫の瞳に思わず寒気を覚えたが、同時に妙な違和感を感じた。 何か今、胸の中に引っかかったのだ。 言葉に、何かが引っかかった。 新たに現れた男(命名!新手男ね!)はすぐさま身を翻し、あたし達に駆け寄った。 そしてすれ違うと同時にあたしの手を掴み、引っ張って・・あたしもつられて走ってしまった。 ・・・・・も、もしかしてこの人が案内人・・・?(汗) あたしは走りながら謎男に振り返った。 彼は少年と対峙したままで、あたしのほうへとちらりと視線を向けて。 「その方を頼んだぞ」 「ああ」 (短い会話ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!) 普通ならツッコミ所が違うと言われそうだが、さっきから振りまわされているうえに、 疲れているのでうまく思考回路が働いていないのだ。 道のり・・超長そうだー・・・(遠目) あたしは走りながら、あたしの手を引いて走る新手男の背を観察する。 ・・・・やっぱり、どこか謎男と似ている。 しかしこうも強引な男は久しぶりかもしれない。 (・・ってか、もう夢なら覚めて・・) ぐったりとしながらも、そんな事を思いながら。 あたしは新手男に手を引かれたまま暗闇に突っ込んで行った NEXT 後書き 第57話をお届けさせて頂きました。 またまた助けが来ない上に、可愛くない子ルヴァイドばかり出張ってます57夜です。 ごめんよ!ルヴァイド!!(取り合えず謝罪) というか子ルヴァイドが殴られてばかりです・・OH・・! ルヴァイドとゼルフィルドの運命の出会い(違っ)を書いてみたかったんです・・。 捏造設定、オリジナル要素バリバリです、勝手に話作ってすみませ・・!(汗) ・・でもゼルフィルドは実際掘り起こされたらしいですよ。 やっぱり鎖に繋がれてたんじゃなくて棺に入ってたのかなー?(死人か) それともナマで土に埋まっていたか・・機械兵士って不憫な・・・!!(泣) レオルドとゼルフィルド擬人化登場〜! 桐茉様、ありがとうございます〜vv いいなぁ・・三つ編み・・引っ張りたいです、思いっきり!!(鬼か) 妄想どころかオリジナルばっかりでさぞかし読みにくい事でしょう・・ギャグ少ないし。(泣) これからまたさらにこんがらがってきますので・・ど、どうぞお付き合いしてやってください・・・!!(平伏) ・・ここまで読んでやったあなたに、最大の感謝を熱烈に捧げさせてください・・!(愛) 2002.4.20 2004.10/20加筆修正 |