どんなに人を傷つける人でも どんなに人を憎らしく思ってしまう人でも どんなに自分を嫌う人でも 心は一緒の作りをしてる 皆 同じ素材で、作られている ほんの少しのことで深い傷が出来てしまう 繊細な素材 ・・けれども 形は 違う 元は同じでも 形は 皆、違うから だから他人の心を 理解できない わからないまま 人は生きていくのだろう 第51夜 ぎしり、ぎしり。 足を一歩踏み出すたびに木がきしむ音が響く。 窓から外を見やれば月が顔を出していて、ぽつんと暗い空に浮かんでいて、 ・・・光が差し込んで薄暗い廊下を照らしている。 月の光で浮き上がるその道をあたしは一歩一歩進んで、 四苦八苦しながらも扉を開けて再び足を踏ん張り、あたしの肩に担がれている イオスをどうにか自分の部屋までつれてくることができた。 「・・っつ・・重いーーーーーー!!」 辿りついて早々。 イオスごと倒れ込むようにベッドにダイブして、彼の身体をベッドに寝かせる。 血で布団が汚れるもの構わずにあたしは彼の肩にまで布団をかけて、 自分の肩をほぐしながらようやく一息ついた。 「はー・・」 けれどもすぐに顔を上げて頬をぺちぺちと叩いて力を入れた。 まだまだやる事があるからだ。 「ご主人様!」 「レシィ?」 「あの、血で汚れた服とか洗ってあげた方が・・身体もきっと血だらけです」 あたしはぐっすりと眠り込んでいるイオスを見下ろした。 出血が多かったせいかただでさえ白い顔は青白くなっているが、その胸は確かに上下に動き、 鼓動は確かに打っている。 っていうか 身体が血だらけ=汚れている=イオスは怪我人=別の誰かが拭いてやる 「はい!あたしが!あたしが拭きます!イオスの服を脱がせて拭きます!!」 素敵公式が頭に浮かび、あたしは本能赴くままに挙手。 あたしのあまりの真剣さにレシィはびくりと肩を震わせて、不思議そうにあたしを見た。 その視線に”おおっと、いかんいかん。我を忘れちゃったわ・・”とあたしは正気に返り、 脳内を落ち着けると、にっこりとレシィに微笑んだ。 ・・そう、さながら聖母のように、だ。(えらい邪な聖母だな) 「あはは、レシィには水を汲んできてほしいなって思って・・お願いできる?」 「あ、はい、待っててくださいね!」 「うん、ゆっくりでいいからねー」 あたしはレシィの後姿を見送りつつ、心の中では”ハリアップ!ハリアップ!(急げ急げ!)”とせかしている。 いやいや、ここは急いだらチャンスを逃しかねないわ。 落ち着けあたし、落ち着けあたし・・と呪文のように唱えて、レシィの到着を待ちわびた。 ああ!神様ありがとう!! まさかイオスの生裸が拝めるうえに触れる権利を与えてくださって!!!(うわー・・) 滅多にないであろう、このチャンス。 逃せば女が廃るというものの・・いやはやしかし、どうしてもうっとりしてしまう。(あたしって・・!<泣) あたしはうっとりしながら、隣りで静かに立っているレオルドに話しかけた。 「レオルド・・神はいたわ・・!!(拳グッ!)」 「・・・・・・・・・・」 レオルドはしばらく考え込むように黙っていたが(あ、変人主人って思われた?!<汗)、 一拍置いてからガションと立ち上がり、変人主人と思われたことに危機感を覚えている あたしの目の前に立つ。 ああ!イオスが起きちゃうわよ!!静かに!静かにー!!(身体拭けなくなる!!) そういう問題か 「でもどうしたの?レオルド」 あたしは目の前の機械兵士を見上げた。 立派な機体に、大きな身体。 うーん、何時見てもいいボディだわレオルド・・(うっとり) 「レオルド?」 「アルジ殿」 機械的な男の人の声が、あたしの耳に届いた。 ゼルフィルドとはまた違う、声。 あたしを呼ぶその声に首を傾げつつ、あたしは彼に問いかけた。 「ん?何?」 「時期的ニ、今ガイイト判断イタシマシタ。 ・・聞イテ頂キタイコトガアリマス」 聞いてもらいたいこと・・・? あたしは不思議そうに彼を見上げた。 レオルドは機械なので表情も何も見られないのだけれど、なんとなく、戸惑っているというか・・そんな空気が伝わる。 ・・どうしたんだろ? 「あ、ごめんレオルド。ちょっと待ってね?・・誰?」 「俺だよ、ハヤト!」 ハヤト、かぁ・・。(レシィじゃなくてがっくり)←オイ あたしはしばらく迷ったが、取り合えず部屋の鍵を開けて顔を覗かせた。 「何?」 不審そうに見上げるあたしに、ハヤトは”うわぁ、すごい警戒されてる”と呟いて、 苦笑したふうに笑った。 「・・・あー、入っちゃだめかな?」 「・・・・・イオスに乱暴しない?」 「しないよ」 「・・・・・・イオスを殺さない?」 「いやさすがに俺もそこまでする理由ナイし(ってか、そんなに信用ないかな・・?<ショック)」 「・・・・・・・・・・・・イオスを、襲わないわよね?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・襲わないってば・・(沈)」 微妙に疲れた表情を見せるハヤトに手招きをして、あたしはバタンっと扉を閉める。 もちろん鍵もちゃんと閉めた。 そんなあたしの背中を見て、ハヤトが一言。 「随分と厳重なんだな」 「・・皆が、酷い事をしないってわかってるけど・・でも、やっぱり不安だから」 怒りに我を忘れた人間が、どんなに恐ろしいかあたしは知ってる あたしも、ルヴァイドに刃を向けて、殺そうと思った 何のためらいもなく・・・殺そうと、思った 自分の中にある最悪な想像を消して、あたしはレオルドに向き直った。 「レオルド、ハヤトがミョーな事をしたら窓から突き落として。オッケー?」 「了解(ガション)」 何故 「ハヤトがイオスに何もしなければいいのよ・・ごめんね、疑いたくはないけど・・。 本当に、イオスを傷つけるわけにはいかないから」 ハヤトを見つめて、あたしは言った。 けれど本当に、これ以上怪我を負わせるわけにはいかないのだ。 ただでさえ青白い顔色なのに、これ以上はまさにガレアノ達と同じになってしまう。 ・・・ガレアノ達と同じ顔色のイオスなんて・・本気で泣くわよ、あたし! 「・・んで、何か用?」 ハヤトが複雑そうな色を混ぜた笑みを浮かべつつ、頷いた。 あたしもあたしでちょっと冷たく言い過ぎたかな?と、ちらりと考えていれば、 今度は気弱そうな声が扉の向こうから響いてきた。 「ご主人様〜。新しいお水、持ってきましたー!」 「レシィ?」 あたしがレシィを迎えていると、ハヤトはポツリと呟いた。 「そう警戒しないでくれよ。・・俺はある意味、中立な立場だから」 確かに、会ったばかりでイオス達を知らないハヤトは中立な立場といえる。 そのことを考え直して“そりゃそうだ”とあたしは頷いて、警戒していた気持ちを 落ち着けて、ハヤトを見る。 そして彼に頭を下げて礼をいった。 「ありがとう、ハヤト・・アメルを説得するのに手伝ってくれて」 きっと、彼がいなければイオスは死んでいただろう。 何も知らないハヤト。 でもその言葉はどこか、重みを感じた。 ・・・彼自身も、目の前で誰かを助けられなかった事があったかのような、重み。 先ほどまで睨むように見ていたあたしの変わりように驚いたのか、 ハヤトは何故か赤くなって頭を掻く。 何なの・・? 「あー・・あれはただ無意識だったし。 ・・それに俺、想われてる人が死ぬって場面はもう会いたくないから」 「・・想われてる人・・?」 ハヤトは苦笑して、傍にあった椅子に座り込む。 あたしは彼の行動がわからなくて、少し困ったような顔をしてしまった。 「ねぇ、何か用があったんじゃないの?」 「えーと・・確かトリス・・だったかな?その子がキミの様子を見てきてくれって。 結構心配してたから・・安心させてやっても良いんじゃないかな」 「・・あ、ごめん・・」 自分とイオスの事しか頭になかったから、うっかりしていた。 マグナもアメルも、皆今大変な時だっていうのに・・あたしがさらにややこしくしてしまったんだ。 “トリス、ごめんーー!”と頭を抱えるあたしにハヤトは笑う。 普通の少年の笑顔だ。 そんな彼が誓約者・・もといエルゴの王だということには本当、驚きしか出てこない。 こ、こんなラブリーな王様・・!イイ・・!!(落ち着け) 「そろそろカシス達も戻ってくる頃だし、もこれからが大変なんじゃないか?」 「・・そーなのよ・・超毒舌乙女系説教魔がここに帰ってくるのよ・・! 取り合えず“馬鹿”って言葉は絶対一回以上は聞くと思うわ・・・!!」 (・・乙女系・・?) ハヤトは首を傾げて、ネスの説教に思わずブルブルと身を震わせるあたしの言葉を考え込む。 ネスの説教って色んな意味でキツイのよね・・反論できない説教をするもんだから、 ただただ聞いてることしか出来ないのよ・・! 「・・ま、まぁとにかく今は気にしないわ、うん。 ・・・・・・・・・・あ、ハヤト。来たついでにこれ持ってくれない?」 あたしはハヤトに水の入った桶とタオルを渡すと、イオスの服を脱がしに掛かる。 よっしゃ、今行くわあたしの時代ーーーーーーーー!!!(落ち着け) ”レッツ脱衣!”とあたしがイオスの服に手をかけようとすれば、ハヤトに手を掴まれた。 あたしはそれを離すように言おうとすると、ハヤトはいつもの笑顔で笑う。 「は女の子だろ?折角来たし・・男の俺がやっとくよ」 「(ああ!その善意があたしの野望の妨げにいいい!!)え?!い、良いわよ! そんなのあたしが脱ぎ脱ぎっと脱がしてささっと拭けばすぐ済むし・・」 「気にするなって。・・それに、はアメルに言いたいこと、あるんだろ?」 「・・・・・・・・あることは・・あるけど・・(せっかくの脱衣タイムが・・!)」 「行ってこいよ、彼女もきっと待ってるから」 ハヤトは優しくあたしの頭を撫でて、そっと送り出してくれて。 あたしはそんな<ハヤトスマイル>に瞬殺されながらも、しぶしぶと部屋を出て行った。 うわーん!脱衣ィィィィィィーーーーーーーーーーー!! ・・そんな嘆きを、心の中で絶叫しながら。 その部屋には、密かに嗚咽が満ちていた。 「・・うっ・・う・・、ひっく・・」 暗がりの部屋の中。 整理整頓された室内にある、汚れのないシーツがかかったベッドの上。 そのベッドにうつ伏せになり肩を震わせながら、アメルは泣いていた。 小さな涙を一粒一粒零れ落としながら、頬を真っ赤に火照らせながら。 鼻をすすって、また声をあげて泣いていた。 ・・・・・・・・・自分が恥ずかしくて情けなくて堪らないから。 アメルは少し顔をあげて、滲む目元を拭う。 腫れて痛かったがそれすらも我慢して、ぐっと唇を噛んで自分の有様を鏡に映した。 なんて酷い顔なのだろう。 嘘を吐かれて痛かったです お爺さんが教えてくれた、お祖母さんの存在は、あたしのとってある意味、希望でした だから、それが嘘だと知ったときには、すごくすごく痛くて、悲しくて、 お爺さんが憎くなったりもしました でもわずかに伝わった、イオスの心 酷い人間だと、思っていた彼の心は 痛い思いを、苦しい思いを、はがゆい思いをしても それでも進もうとしている あの人はたくさんのモノを背負い、たくさんの痛みを背負い 進もうとしていた 負けぬよう、必死に、進み生きていた 鏡に映っている、泣くことを堪える自分の目にまた涙が滲んできた。 だがアメルはそれをまたキツク拭い去って、噛み締めている唇を、血が滲むほどまで噛んで堪えた。 ピリっとした痛みが唇に走るがアメルは睨むように自分を見つめ続ける。 ただ泣くことを堪えるために。 泣いたから何? 何が解決するというの? お祖母さんがあの森にいなかった それだけじゃない もしかしたら別の場所にいるかもしれないし 最初からいなかったかもしれないだけじゃない 「・・あたしには・・」 あたしにはロッカとリューグがいる あたしには優しい友達が、優しい仲間がいる 守ってくれて、一緒に歩いて来てくれた人達がいる それだけで充分じゃない これ以上望むことは ただの我が侭で、ただの贅沢者だ アメルはふっと目を閉じて、イオスを庇ったの姿を思い浮かべる。 初めて会った頃のあの弱々しい瞳とは全然違う。 強くて綺麗な光を宿した瞳 きっと誰かが あの人を変えた (あたしも、変わらなくちゃ、進まなくちゃ・・) 甘えてばかりではいられない。 立ち上がらなくてはいけない。 生きていかなくては、いけない。 村の人たちのためにも 進もうと思う、自分のためにも 敵がどんなに、巨大でも 絶望的な、力の差でも あたしは、足掻くことをやめない アメルは立ち上がってベッドから降りると、部屋出て廊下に出た。 けれど扉のすぐ隣の壁に、ナツミが立っていて。 彼女はアメルの表情を見て満足そうな笑みを浮かべて言った。 「わかった、みたいだね?」 「はい」 「ん、よろしいよろしい♪」 ナツミはぽんぽんとアメルの頭を撫でる。 アメルは恥ずかしそうに頬を染めて、ぱっとナツミを見上げた。 「あ、あのナツミさん。・・本当にありがとうございます」 「いーの、いーの・・あたしなんかにお礼を言うより・・とハヤトに言った方がいいよ。 結局貴女の背中を押したのは・・あたしじゃなくてあの二人だから」 「いいえ、ナツミさんもあたしの背中を押してくれました。貴女のあの言葉が・・」 アメルの中に、ふっとナツミの言葉が浮かぶ。 優しくて,強い響きがこもったコトバ。 “<嘘>を吐かれるって、痛いよね” “<嘘>は吐く方も痛みを感じる時がある” 「・・ きっと ハヤトとナツミの言葉と イオスの気持ちと の強さがなかったら 自分は我が侭に気付かなくて 自分は贅沢者なんだって気付かなくて たくさんの人に心配や、迷惑をかけていた 「・・だから、本当に・・ありがとうございました・・っ!」 「や、やだなぁ・・恥ずかしいよ・・」 ナツミは頬をうっすらと染めて、ごまかすようにパタパタと手を振る。 それにアメルが笑ったら、ナツミもにっこりと笑って、和やかな空気に包まれた。 ・・・・・するとその時、走る音。 それにナツミとアメルは“?”という表情で足音の到着を待つと、薄暗い廊下から現れたのは。 「アメルっ!」 「あっ・・」 はアメルに走り寄るとマジマジと顔を見て、はーーっとため息を吐いた。 心底安堵したような、そんなため息。 「・・さん?」 「ごめん!アメル・・!!・・でもあたしイオスをどうしても助けたくて」 は何度も謝まった。 イオスを助けて皆と気まづくなってるのに、それでも自分の心配をしてくれて。 (・・この人は・・・本当に・・・) 本当に、強くなったんだ ああーーー!!!アメルがどーか許してくださいますように!! “イオスの脱衣も見逃したことだしね!”と、半泣きになりながらもアメルにもう1度謝って。 アメルの目を見つめた。 先ほどまで泣いていたのがわかるほど、潤んでいる。 「・・さん・・」 「でもね、トリス達と同じくらい・・・・イオス達が大事なんだって知って欲しかった。 イオス達はあたしを救けてくれたの。・・・あたしを必要としてくれた」 「え・・?」 “キミが必要なんだ”って イオスは言葉で伝えてくれた それは、友達になりたいと思っているあたしにとって 大きな、衝撃と、力になった 「あたしも、ルヴァイドに助けてもらったとき・・彼を傷つけたくて、殺したくてたまらなかった。 だってレルム村の皆の笑顔とかが、皆の顔が頭に残ってたから・・だから、悔しかった」 「・・さん・・?」 あたしはふっと顔を上げて、アメルにやさしく微笑んで。 イオス達の笑顔を思い浮かべながら話し出した。 ・・・イオスが助かった安堵感で、あたしは饒舌になっていた。 「でもルヴァイドは、あたしの怒りも恨みも全部受け入れようとしてくれたの。 逃げないって言ってくれた、傷つけてもいいって言ってくれた・・あたしのために」 人から恨みを、怒りをあえて受け入れるなんて そんなことは、そうそう出来ないのに 彼は、大きなその両手と身体で、あたしを受け入れようとしてくれた 「イオスも、ゼルフィルドも・・喧嘩したりしたけど、でもあたしを必死に助けてくれた。 ・・・守らなくてはいけない大切なものがあったのに・・・・あたしを、助けてくれた」 彼らの口から、彼らの<守りたいもの>を聞いたことはなかった でもあたしは、異常な存在だから、<守りたいもの>を知っていて だからあたしは、彼らを許してしまった <守りたいもの>のために、剣を振るい、人の命を奪って、進んでいく彼らを ・・・・・・・許して、望んだ ”生きてよ、苦しんでよ、喜んでよ、怒ってよ・・いっぱいいっぱい、悩んで後悔してよ” それはずっと、ずっと前に ルヴァイドに望んだ、あたしの言葉 「・・で、でも・・」 「うん。だからって、人を殺す事が許されるわけじゃない」 人を殺すことはいけない それは殺されたその人の気持ちを消し去って その人と共に過ごした人達の時間すらも 消し去ってしまうから 「・・でも、あたしには彼らにもう誰も殺さないでなんて言えない。 彼らがあえて、何もかも受け入れて進んでるから・・・言えない」 ルヴァイド達は全てを承知で剣を振い 鮮血を浴びながら 大事なモノのために戦ってる ・・あたしとは、全然違う、世界 立っている場所は、全然違う 「 もっともっとルヴァイド達が知りたいの、できるなら助けたいって思うの」 「・・・さん・・」 「ごめんね、アメル・・あたしはイオス達を許してしまったの」 許して、しまった。 彼らを両手で抱きしめて、泣いて、許してしまった。 アメルが首を横に振った。 ほんの少しだけ泣きそうだったけれど、”さんとあたしが見てきたものは、違うから”と言ってくれた。 怒りたかったのか、泣きたかったのかわからない微妙な表情を浮かべるアメル。 ・・彼女の優しさに、あたしは思わず笑む。 「ありがとう、アメル。 ・・・でもアメル、あたしはあなたにイオス達を許してあげてだなんていわないよ」 「?」 「憎んでもいい。嫌っててもいい・・でも、見てあげて」 彼らの<守りたいもの>は、ルヴァイドの父・レディウスの誇りと名誉 けれどもレディウスは裏で動く悪魔に殺され、さらには冤罪をこうむった それが悪魔の策略とも知らず、ルヴァイド達は国のために剣を振るい続ける そのためだけに、彼らは命を奪う ・・・・・それを「とてもくだらない」と、人は言うだろう そんなもののために、人の命を奪ったのかと けれど、それはルヴァイドの全てだった 目の前で父親を殺されたルヴァイドの、全てなのだ 「・・見届けて欲しいの」 許せとは言わない 好きなだけ憎んでいい、嫌いになっていい 村が燃え尽きたときに生まれた、そのままの感情を持ったままでいいから 彼らが行きつくその先を どうか、見届けてあげてほしい それはとても勝手だけれども この人は 本当に、彼らを許した アメルは顔を歪めた。 先ほど止めたはずだった涙が再び溢れ、胸が締め付けられる感覚にただ嗚咽しか零れない。 それにが目を見開いて、驚いたようにアメルを呼んだ。 「あ、アメル?!」 「・・さ・・ごめ・・ごめんなさい・・」 「・・?」 「あたし・・あたしやっぱり、どうしても、あの人達を許すことは出来ません・・」 許せない。 どうしても許せない。 許すことができない、心も、感情もそれを納得してはくれない。 脳裏に甦るのは、紅色に彩られる光景。 木々や家が燃え落ちて行く音や匂いも、叫び声も、怒鳴り声も、何もかも、今でも こんなに・・鮮明に思い出せる。 だから許すことが出来ない。 ・・は、頷くだけだった。 「・・っでも」 けれど の言葉を聴いて、イオスの心の中を見て 「・・でも・・でもいつか・いつか、そんな自分を乗り越えられる人間になりたいです・・。 ・・さんみたいに変わりたい・・っ・・・」 恨みも憎しみも抱えたまま生きていくのは、苦しい だから、飲み込まれないような、そんな自分に 変わりたい、と・・思う (変わりたい 変わらなければいけないのだ。 そうしなければ、きっとこれからも何度も躓くに違いない。 戦いの日々も苦しい、狙われている恐怖も消えない・・けれど。 それでも、変わらなければ。 せめて、が大切にしようと思っているイオス達を見る視線だけでも、変えなければ。 (・・じゃないと) でなければ これから、ルヴァイド達と戦う度に が、顔を歪める だから彼女は、顔を歪めて、唇を噛み締めて、見届けるのだ 彼らの行きつく先を、見届けようとする アメルが再び唇を噛み締めれば、にふわりと抱き寄せられた。 イオスの血がついている服を着たままの。 抱きしめられて、鉄錆びた匂いが鼻についた。 「・・、さん」 「ありがとう」 一瞬、驚いて声が出せなかった。 どうして礼を言われるのかわからない。 乗り越える人間になりたいとは言っても、許すことができないとも言ったのに。 ・・けれどもはぎゅうとアメルを抱きしめて、アメルは血の匂いが香る彼女の肩に顔をうずめた。 こんなに強く抱きしめられたことは、久しくなかった気がする。 「・・ありがとう」 「さん」 「なんか、ね・・・・・・・・嬉しい・・」 嬉しい、と。 小さく、呟くように言った声は、酷くかすれていた。 (何が、嬉しいんだろう・・) アメルにはわからなかった。 けれどは確かにそう言って、自分の身体をさらに強く抱きしめて。 もう一度、”嬉しい”と。 (・・不思議な、人) 本当に、不思議な人。 何がどう不思議が言葉では言い表しがたいけれど、不思議だ。 (・・さん、あたし) あなたの力に、なりたいです そんな想いが浮かんだ瞬間。 がそっと身を離して、アメルに笑った。 ほんの少しだけ潤んでいるその瞳は・・・泣いて、いたことを何よりも示す。 「それじゃ、あたし戻るね」 「あっ・・さん!」 薄暗い廊下の向こうに消えていく背中に、アメルは思わず声をかけた。 それにが不思議そうに振り返れば・・・・・・・・・・アメルも、微笑む。 「あたし、皆にさんが話してくれるまで待つように説得してみます」 「え?」 「さんが話してくれるまで、あたしは待ちますから」 彼らと何があったのだろうと思う。 今知りたい、聞いてみたい。 ・・けれど今は多分、その時じゃないのだろう。 先ほどから傍観していたナツミにちらりと視線を送れば、彼女もにっこりと笑っていた。 待とう あと、もう少しだけ 「アメル・・」 「リューグは、もう少し待つように説得するのは難しいかもしれないですけど・・」 憎しみは 1度根付くと離れない だがはにっと笑って、そんなのは平気だと言い放った。 ナツミとアメルはそれに驚いたようにを見れば 「あたしが頑張るから。頑張って何とかしてみるから」 わずかながら深夜に近づきつつあるその時刻の空は、いつもより一段と深い紺色に覆われていた。 満月が浮かんでいたのだが、時が進むにつれ雲間に顔を隠したからだ。 月の光をものともしないほどの、その深さ。 ルヴァイドが見つめる泉も、その深い夜色に染まり静かに水面を揺らめかせている。 ルヴァイドの瞳には,暗い泉の水面が映っていた。 風で水面がゆらされて、ゆらゆらと揺れている水面。 昼の休憩時に来たときに見た泉は浅くみえたのだが、今はとてつもなく深く見える。 わずかに冷気を帯びた夜の風は木々をゆらし、泉のほとりに佇むルヴァイドを包む。 何をしているわけでもなくただ泉の水面を見下ろす彼の瞳は、どこか、虚空を見ているに近かった。 そんな彼の耳元で、囁くような声。 ”・・・オ前ノセイデ・・俺ハ死ンダ・・・” 幻聴だと言うには酷く生々しく、重みのある囁き。 怪しく響く声が聞こえるだけで異常事態だが、今のルヴァイドはそれに何の疑問ももたず、 ただただほとりに佇み・・立ち尽くす。 ”死ニタクナカッタ・・家族ガ・・待ッテイタノニ” ”何故オ前ガ死ンデイナイノダ・・俺達ハ死ンダトイウノニ・・・” 憎悪に満ちた声。 それにルヴァイドはそこで、自嘲気味に口元を歪め、呟く。 「・・・・俺は、死ぬべきか?」 ルヴァイドの問いかけに、水面は更にゆれを増す。 周りの木々が揺れる音も一段と激しくなって、ルヴァイドの問いに肯定するように揺れ動いた。 風がルヴァイドの紅紫色の髪をなびかせる。 ”・・ソウダ・・” ”・・オ前モ死ヌベキナノダ・・” ”・・サぁ・・ルヴァイド・・” ルヴァイドはいつの間にか、剣の柄を握っていた。 それに抗うことなく、ゆっくりと引き抜いていけば鈍く輝く銀色がその姿を現していく。 父親から受け継いだ愛剣が、酷くぞっとする輝きを帯びているようにも見えた・・・・その時。 ” 霞がかかったような思考の世界から、声。 はっきりと、鮮やかに、大きく聴こえた、声。 それに一気に現実に引き戻されて、一瞬自分がどこにいるのかすらわからないほど 意識が混濁し、立っていられなくなってルヴァイドはガクリと膝をついた。 「・っ・・・あ・・」 訳も分からず荒く呼吸を繰り返していれば、背後から響く草を踏みしめる音に我に返る。 重々しく、そして機械的な音を出して歩くのはこの軍では一人しかいない。 「我ガ将」 「・・ゼルフィルド」 彼の登場に、囁きが聴こえなくなった。 囁きも失せて、ただ暗がりに揺らめく水面がそこにぽつりとあるだけだ。 ・・それにほんの少し安堵したかのように一息を吐いて、ルヴァイドはゼルフィルドを見た。 「イオスがどこかへ向かったという報告が来ているが・・お前は知っているのだろう?」 「彼ハスグニ戻ルト我ニ告ゲ、馬ヲ走ラセテ行キマシタ」 「・・・そう・・か」 どこへ向かったという報告はなかったが、ルヴァイドは気にしない様子で水面に視線を映した。 黒い水面、暗い水面。 昼に見たときと随分と印象が違う。 ・・囁きがまた甦る。 ”・・ルヴァイドぉ・・” ”・・・早ク・・オ前モコチラヘ来イ・・・” 引き込むように、重く、粘り付くような声。 とてもこの世のモノとは思えないほど・・憎しみ溢れた声。 その声に頭痛を感じて、ルヴァイドはわずかに顔を歪めた。 (・・俺は・・) 何故、死のうとはしない? 何故、彼らに従おうとはしないのだ? (従う、べきだろう・・・彼らを殺したのは、俺で・・) ぐらりと歪む視界の中で、そんなことを考える。 ゼルフィルドが自分を呼んだ気もするが、その声はどこか遠くに聴こえる。 囁きばかりが、ルヴァイドの思考を覆い尽くしていく。 黒い負の念が静かに渦を巻いて、ルヴァイドの思考の全てを飲み込もうとその触手を伸ばし ”楽になろうと、楽にさせようとしてくれても、それで、誰かが帰ってくるわけないのに!!” 触手が消えた。 堪らなくなったように叫ぶその声が、飲み込もうとする負の念を打ち負かして、ルヴァイドに届く。 どれもこれも怒ったように発せられた声だというのに、その声が聴こえると、心がどこか酷く 安堵したように落ち着きを取り戻した。 ( 膝をついた体制のまま再び水面を見つめれば、意識が暗くなってきた。 引き戻すようにゼルフィルドの呼ぶ声が聞こえたが、意識は無理矢理に真っ暗な 空間の中に引き連り込まれる。 まるで、自分と自分の中にある“何か”と遠ざけるように。 消えそうな意識の中、ルヴァイドはふっと微笑んだ。 一瞬だけ、思い出せたからだ。 (・・やはりお前は、不思議だな) 暗闇に意識が飲み込まれる寸前の、彼の中に在ったのは。 (・・もう少しでうまくいくものを・・) 男は倒れたルヴァイドを運ぶゼルフィルドの背を見つめながら、忌々しそうに舌打ちをした。 その目にはわずかな殺気と、楽しみを奪われて不機嫌になった者の光がある。 (これでは彼の負の気も、吸い取れないではないですか) 男・・キュラーは残念そうにため息を一つ、零した。 キュラーの任務は、ガレアノと同じくレイムのために兵士を作ることだ。 憑依召喚術というもので人間に鬼を憑かせ屈強なる兵士を作っていたのだが、 最近多くの兵士を作製して使いすぎた力を取り戻すため、キュラーは様々な人の負の気を吸っていたのだ。 ・・・負の気とは、人間の心にある後悔・憎悪・悲痛の念のことだ。 それは悪魔にとって最高の力の源だった。 特にルヴァイドの負の気は普通の人間にしては酷く深く、味わいもあるためキュラーにとって お気に入りのようなものだったのだが・・・・・。 (・・レイム様は別に殺しても構わないと仰っていたし、今まで食事のつもりで頂いていたのですが・・ 最近は思うように吸い取れませんね・・・) だからこそ、ルヴァイドの到着を見計らいながら部下の悪魔を増やしてルヴァイドの部下を殺させ、 死んだ兵の怨念を無理矢理呼び覚まし、こうして彼を追い詰めていたのだが・・・。 彼が負の念に呑み込まれようとしたり、己の手で死のうとする時に限って、 ルヴァイドが思い出すのだ。 彼の中でもっとも、忘れられぬ存在を。 (あの、人間の娘か・・?) 自分の主人でもあるレイムが妙に気にかけている(と、いうかえらくハマっている・・?)、 ルヴァイド達がレルムの村で助けたという人間の女。 ・・・・・・あれが、ルヴァイドを守っている・・? (しかし、いつまで明かさぬおつもりなのか・・) 上司は今だにあの娘の正体を明かさない。 聞こうとしても彼ははぐらかす。 かと言って無理に聞こうとすれば竪琴でボコられるのは自分だ。←嫌な上下関係 「・・・ キュラーはふと目を伏せて、集中する。 そうすれば周りの緑も空も何も映らなくなり、己の意識が別のところへと移動していくのがわかる。 ・・ルヴァイドの、精神世界の中へ。 ルヴァイドの精神世界・・もとい、意識の中に潜り込めば、心地よい負の念が渦を巻いている のがわかる・・・それは、レイムや自分達に対する憎しみと、ルヴァイド自身の迷い、憎悪、悲しみで。 混ざり合っているその世界に、キュラーは笑みを零さずにはいられなかった。 「折角ここまで追いつめたのです、一番熟したモノを頂いて・・」 キュラーはぐるりと辺りを見回した。 様々な感情が混沌としている世界のどこかに、ルヴァイドの負の念の化身がどこかにいるはずだ。 「 あたしはアメルやナツミと別れたあとで、急いで自分の部屋に戻っていった。 イオスにはもっとゆっくりと眠ってもらわなくちゃだめなんだけど、彼がここに来た 理由はルヴァイドに何かあったからなのだから、いつまでものんびり寝かせておくわけにはいかない。 ・・それにどーせ、着替えタイムは終っただろうしなー・・(遠目) 少々やさぐれた気分だったのでノックもせずに、あたしは扉を開けた。 「レシィー、ハヤトー、そろそろイオス起こし」 「あわわ!ご主人様だめですぅー!!」 ・・・・・・・・・・・・ああ、神様 脱衣シーンを見逃してしまったあたしに、慈悲の手をありがとうございます・・! こんなにも素敵なご褒美をくださるとは思っても見ませんでした まさか・・まさか・・ 念願のイオスの生着替えシーンを拝めるなんてッッッ!!!(萌!) レシィは慌てて上半身裸のイオスの前に廻りこむが、いかんせん身長の差が激しすくありぎて、 腰までしか隠せておらず胸の辺りは全然隠せていない。 ああレシィ!ついでに脱いでくれェーーーーーーーーーーーー!!! (いやしかし!こんなあたしでも性別は女よ!ここは普通に振舞うべきだわ・・!) 恥らえよ 天からのツッコミなんていうものは無視して、あたしはちぎれそうだった理性の紐をどうにか結び、 部屋に入って鍵を閉め、その場にいる彼らににっこりと笑った。 「イオス、大丈夫?(あぁもう本当イイ身体だよアンタ最高ーーーーーーーー!!!!)」 「・・、顔、なんかすごい輝いてないか・・?(汗)」 ハヤトのささやかなツッコミを無視して。(シカトー!?<byハヤト) あたしは着替えようとしていたイオスに駆け寄った。 白い肌に痛々しくも包帯が巻かれている。 「顔色はちょっとマシになっ」 「・・」 イオスは着替えようとしていた服をベッドに置いて、ふわりと、包む込むようにあたしを抱きしめる。 頬に彼の胸が当たっているせいで心臓の音が直に伝わって、顔が思わず熱くなってくるのがわかる。 ぎゃあああああ!!!いきなり何のイベントーーーーーーー?!?! イベントなのかこれ 混乱しているあたしにイオスが微かに笑う声を零したのが聴こえた。 包帯以外何も身に着けていない彼の胸に頬を押し当てている体勢なので、 あたしの頬がものすごく熱くなっているということが彼にはお見通しなのだろう。 「ちょ・・離してってば!」 だけどあたしはごまかすように、わざと怒った口調でグイーっとイオスの頬を横に伸ばす。 傍にいたレシィはかなり驚いたような表情で(そりゃイオスの頬を横に伸ばす女なんてそうそういないわよ・・!)、 あたしとイオスを見比べてオロオロしていた。 ハヤトは呆然と硬直している。 しかしあたしはイオスの頬を掴む力をこめて、怒鳴った。 「この馬鹿ーーー!!あたしすっごく心配したんだよ?!あんた何考えてんのよ! 軍人のクセに自分の命が危ない事なんてするんじゃないわよ!このアホーーー!!」 「・・・(アホ?!)」 あたしは頬をグイグイと横に伸ばしながら、更に怒鳴る。 1度でもキツク言っておかなければ、こういうタイプはまた同じ事をするかも知れないからだ。 「あたしが常々心配してんのに、どーしてあんたはそういう心臓に悪い事やるかなぁ?! ってかそんな事より反省してんの?!イオス!」 「・・一応は」 イオスは頬を掴むあたしの手をそっとの離させて、困ったように苦笑した。 あたしは先ほどの返答に更に腹を立てて、“一応じゃねぇー!(怒)”と叫び、今度は鼻を摘んだ。 だがその手はあっさりと離されて、逆にぐっと手首を掴まれて身動きが取れなくなってしまった。 ぎゃー!拘束ーーー!!! あたしは何をされるかビクビクしたが(この世界で男がどんなに危ないかを知りました<泣)、 イオスはふっと顔を俯かせて、あたしを解放して頭を下げた。 「・・すまない」 イオスの、本当にすまなそうな声色。 その瞬間に、あたしは胸が締めつけられたように苦しくなって 「」 伸ばされた手を、あたしは軽く払った。 それにイオスが驚いたように目を見開いたけれど・・・・・すぐに、困ったような笑みを浮かべて。 「君に泣かれると困る」 「泣いてないっ」 「 包み込むように抱きしめられて、よしよしと頭を撫でられた。 それに目頭が熱くなって、堪えきれなくなったように嗚咽が喉の奥から零れて出た。 「・・っ本当に、心配したんだから・・! 今度はもうダメかって・・・ダメかって思って・・っ」 怖かった あんな思いは、もう二度としたくない とうとう涙までボロボロと零れ落ちてきた。 イオスはイオスでそれにまた驚いたような表情を見せて・・・・事もあろうか、次には嬉しそうに笑った。 彼の笑顔を見るのは、結構久しぶりのような気がする。 ・・・・・・気がするが、笑顔に何やら腹も立ってきた。 「わ・・っ笑ってんじゃないわよ・・!」 「いや、そうじゃなくて」 イオスはやっぱり、嬉しそうに口元を綻ばせて、あたしの顎を掴んで持ち上げた。 それに”?”と不思議そうに彼を見上げれば、イオスは妖艶な光を瞳に宿らせながら顔を近づけてくる。 ヒィ!?何事!?!? 「泣いてるも、可愛い」 ・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は? 「・・イオス?血が抜けすぎて頭おかしくなった?」 「いや、正常だ」 「真顔で返すな」 きりりっとした面持ちで”正常だ”と言うイオスに思わずツッコミをいれて、あたしは考えた。 (・・・イオスってこんなセリフ言う人だったっけ・・?あぁやっぱり出血多量が響いちゃったんだわ、 きっとそうだ、どうしよう、輸血するべき・・?イオスって何型だっけなぁ・・) 深く深く思考に沈めば、イオスはペロリとあたしの涙を舐め取った。 ・・ぺろり? 「は無防備過ぎる、そんなことじゃいつ襲われるかわからないぞってあれほど言ったのに・・」 「(鳥肌)アホかーー!!つーかあんたそんな事やってる場合じゃないでしょ?!」 「でも、誘っているように見え」 「誘ってねぇーーーーーーー!!!(どんな目ぇしてんのよ?!)」 あたしはスパーン!とイオスの頬にビンタして、彼の上着を手渡して着替えるように指示。 本当にこんなことしてる場合じゃない。 とにかくネス達が帰ってくる前にここから出なくては。 ・・・・あたし、このままいたら確実にリンチをくらってしまうかも・・!(ブルブル) 「イオス、話しはあとで!今はここから出るわよ」 「・・いいのか?」 イオスの問いかけにあたしははぁーっとため息を吐いて・・にんまり、笑う。 「いいのよ、友達でしょ」 あたしはイオスの手を引いて、レオルドとレシィについてくる?と問えばレシィは必死に何度も頷いて、 レオルドも一言返事をして、あたしは彼らに微笑んだ。 彼らの存在は本当にありがたい・・勇気が出てくる。 「よっし、それじゃ行くわよ・・わっ!」 扉を開けた途端、何かにぶつかって思わず鼻を押さえた。 何にぶつかったのだろうと顔を上げれば。 (ヒィ!ば、バノッサーーーーーーー!?!??!) 心の中で大絶叫だった。 不健康ともみられそうな白い肌、獲物を睨むがごとくに鋭い赤の瞳。 強さはすでに知っている・・あの悪魔達をあっという間に何体も葬ったのだから。 部屋にいたハヤトが驚いたようにバノッサに声をかけた。 「あ、バノッサ。もう追いついたのか?」 「どこに行くつもりだ」 その言葉は、あたしに向けられたものだった。 探るように鋭い瞳を向けられて思わず怯みそうになるが、あたしは胸を張って彼の前に立ち。 「知らない」 キッパリと答えてやった。 ルヴァイドのところだっていうのはわかるんだけど・・本当にどこに行くか知らんのです・・! (ん?でも待って・・トウヤたちと一緒に残ったバノッサがここにいるってことは、 他の皆も帰ってきたってことで・・・・・・) そこで、あたしの世界はビシッと固まった。 っていうか、ものすごくヤバイということを脳裏が告げている。 (超毒舌乙女系説教魔・・・もとい。 ネスも帰ってきてるってことじゃないさーーー!!!) 絶望的な叫びが、あたしの中にいつまでも響くのだった・・・。 NEXT ----------------------------------------------- 後書き 第51話をお届けさせて頂きました。 前半はシリアス街道突っ走っておりますが、後半はどうにかギャグを 入れられた・・ような気がします。 イオスも無事に治療されて、アメル嬢ともラブラブ(違)に。 しかし今度危ないのはルヴァイドです、キュラーに狙われております。 逃げろルヴァイドォォォォォ!(笑) 補足説明をさせて頂きますと。 45話でルヴァイドが悩んでいたこと・・・全てはキュラーが原因だったりします。 ルヴァイドの負の気が欲しいがために、わざとルヴァイドを追い詰めてたりして・・ 悪魔らしく頑張って頂いております。(は) 次からハヤトやバノさんが絡んでくるかと。 イオスもどんどん独占欲の塊に・・大丈夫かイオス・・! それではここまで読んでくださってありがとうございました! 2002.3.25 2004.8.18大幅修正 |