第50夜






現在、あたしはピンチに陥っています





「ねぇ、ってどこの世界から来たの?」

「ああーー・・え、えーーーーーーーと・・・・」

「日本って国、わかるか?俺達もそこから召喚されてきたんだけど」

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーと・・・・・」

「ええと・・アメリカとか、イギリスとか・・そんな国もありますよ?」

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーと・・・」


あたしは今、誓約者達(3人)に質問攻撃を受けています。
彼らも4つ以外の世界・・・名も無き世界から来たといっても、あたしとハヤト達の世界は根本的に違うわけで。

ので、あたしには彼らの質問にはとても答えようがなかったりする。


(言えない!これこそとても言えないわ!
ヘタすればあたし、今よりもっと深刻な事態を招きかねない・・!)


あたしはとにかく、苦笑いでごまかすことにした。


「あははは・・で、でも一応・・一緒の世界だと思う・・うん(ごめんなさいごめんなさい<平謝り)」

「へー、じゃあはどこの県に住んでたんだ?」

「・・え゛?」


ハヤトの質問に、嫌な予感が胸をよぎった。


「あ、あたしもそれ聞きたい!元の世界に帰れたとしてもが住んでいる所まで遊びに行けるし・・」

「はぁ?!マジっすか?!!(ちょっと待って・・!!)」

「それじゃ帰れましたら、トウヤも一緒に連れて皆で行きましょうか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、アヤ・・・・(何でそんなことに・・!)」




・・・・・取り合えず。




黙秘続行確定。(どう言えと・・!)



(あぁ、それにしても何でこんなことに)


あたしは膝でぐっすりと眠り込んでいるマグナの髪を撫でながら、いつもよりも間近にある空を仰いだ。
空が間近にある・・ということは、今あたしは、レヴァティーンの背に乗っているからである。
いや!もう乗るときは本当怖かったけどね!っていうか飛ぶ瞬間が怖かった!うん!!


(まさかハヤト達と行動を共にできるようになるなんて思わなかったわ・・どうなってるわけ?)


禁忌の森の出来事の後。
あたし達はハヤト達にレヴァティーンでファナンまで送ってもらっていた。
マグナは呪いが解けた(治った?)とはいえ、運動したり動かしたりするのは危ないという意見が、
カイナとキールから出たのだ。

そのため、ハヤト・ナツミ・アヤ・トリス・アメル・ロッカ・リューグ・護衛獣ズ・・・っと言ったメンバーを乗せて、
ハヤトが召喚したレヴァティーンで森からファナンまで飛行している。
人数が人数なだけにちょっと狭いも気もするけど、我慢をすればどうにでもなるものだ。


(ネス達も、どうしたんだかねぇ)


先ほど挙げた名前以外のメンバーはと言うと、話したいことがあるらしく、ちょっとの時間、森に残るそうだ。
なんでも、彼らのことと、これからについての話し合いだそうで。
・・・マグナのこともあったのであたし達は待つことすら許されず、強制的に先に帰らされたのだ。


それが、今の現状の元の出来事。


(・・アメル・・)


あたしは、沈んだように草原を見下ろすアメルを見た。
さっきの・・“もういいです”と言った彼女の声と、あの淋しげな表情が忘れられない。
すごく淋しくて、悲しくて、そして辛いことを堪えたような、声。

それはあたし達が傷ついて、マグナが危なかったことに対する罪悪感なのか。
それともこうまでしても祖母には会えなくて・・悔しい気持ちに覆われて漏らした声なのか、あたしにはわからない。


必死になって、必死になって、森の奥へと踏み込めば。
会いたい肉親はおらず、出会ってしまったのは悪魔の軍勢。

最初からいない事を知っているあたしにすれば、罪悪感が溢れ出そうだ。


(・・・アグラ爺さんに嘘を吐かれたって、思ってる・・よね)



彼女を傷つけないための、優しい嘘



けれど             その優しい嘘が、彼女の心を傷つけている



あたしはこっそり、ため息を吐いた。
それは何も言えない自分への呆れ。


(・・でもあたしにはアグラ爺さんの気持ち、わかってしまうから)



傷つけたくないって、キモチ



わかるから



風に髪を攫わせながらぼんやりとマグナの髪を撫でていると、マグナの瞼がピクリと動く。
それにあたしは彼の顔を覗き込んで、そっと声をかけた。


「マグナ、起きれる?」

「・・ん・・」


マグナはそっと目を開けて、ふっとあたしと目を合わせる。


「マグナ?」


彼が、ゆらりと手を伸ばした。
そしてマグナの前髪を梳いているあたしの手を掴んで、彼は少し身体を起こすと向きを変えて。
ポスンっとうつ伏せにあたしの膝に頬を当てて収まった。


「・・っちょ・・?(ギャーーーーーーーーーー!!膝に!膝に!膝にマグ、マグナの顔・・!!)」

「・・スー・・」


膝に頬を摺り寄せて幸せそうな表情を浮かべて眠るマグナに、あたしは思わず鼻を抑えた。
鼻血・・出そう・・(ヤバイ)


「・・さん、何で鼻を抑えているんですか?」



ロッカ、それは乙女の永遠の秘密よ



あたしは必死に“何でもないです”と答えて、マグナの背中に手を当てて撫でてやる。
つーかこのワンコはあたしを悩殺する気なのかしら・・・(遠目)


あたしの隣で訳が分からないと言うような表情を浮かべるロッカの隣りで、
リューグが一人、不機嫌そうな表情を出してマグナを見ていた。
今度はあたしが小さく首を傾げる。


「あんた何怒ってんの?」

「別に」


リューグはそう答えても、明らかに不機嫌になっていることがわかる。(顔・・つーか目が怖い・・!)
彼はムスっとした表情であたしの膝でなんとも気持ち良さそうに眠っているマグナを見ると、
その表情は更に険しくなって。

何故か、緊迫した空間が出来た。
・・な、なんか空気が寒いゾー・・・(鳥肌が・・!)


「ははは、リューグは子供だな・・それぐらいでヤキモチか?」

「う、うるせぇよ!馬鹿兄貴!!!」

「僕のように余裕ある人間にならなくては、いつまでも子供だぞ?」

(じゃあその、さり気に持ってる槍は何だよテメェ!!)←言いたくても言えない人


首をかしげながらもギャーギャー騒ぐ双子を無視して、あたしは今度はトリスに視線を向ける。
トリスはロッカ達の喧嘩(?)に笑っていて、ふっとあたしと目が合った。


「どうしたんですか?さん」

「あーと・・マグナ、助かって良かったね?・・アヤたちにも感謝しなくちゃ!」

「うん!・・あと、さんにも・・・」

「え?」


トリスはレヴァティーンの背から落ちないようにそろそろと、あたしの側に歩いて来て。
ポスンっとあたしの背中に背中をくっつけてもたれてきた。


「?」

「・・あの時・・・叩いた時・・」

「(はぅ!過去の古傷が!!<泣)あああああ・・ご、ごめんねトリス!痛かったでしょ!?」



あの時のことは悔やんでも悔やみきれない・・っていう永遠に残る出来事ヨーーーーーーー!!!


















が背中越しに慌てているのがわかって、トリスはふっと微笑んで、膝に顔をうめた。
背中から伝わる心音がとても心地よい。



違うよ



本当に感謝してるの



あの時、貴女があたしを落ち着けてくれなかったら



きっともっと取り乱して、皆に迷惑をかけてた





                     一人でどうにかしようだなんて思わないで”





それに



あの言葉が



貴女が言ったあの言葉が



真っ直ぐに



ふわりと、優しく・・降り積もってきた




トリスはその言葉を、こっそり心の中に刻んでいた。
の体温と心音を背中に感じながら改めて思い出して、次には恥ずかしそうに頬を染める。
なんとなくこそばゆい感じがするのは何故だろう?



“・・トリス、あたし達は貴女にとって何?”



大事な、大事な・・大好きな仲間



“仲間って、思っていいの?”



こんなあたしを、仲間と思ってくれるの?



“それじゃ、あたし達を頼ってよ”



              怖かった)



頼ることが、怖かった

頼ってしまって、自分が・・皆が傷つく事が怖かったから

迷惑がられて、離れて行ってしまわれる事が怖かったから



“マグナが好きで、トリスも好きだから、本気で頑張る・・・だから、トリス           



(・・・・・・あたしも、好き)



好き


貴女が、好き


本気で頑張れる


頑張ろうと思える



(だから           


トリスはこっそり、の後頭部に目を向けた。




だから




貴女も




貴女も、”一人でどうにかしようだなんて思わないで          ・・・”




「・・と、トリス・・?」


の慌てる声が、トリスの耳に届いて。
トリスは隣に座るハサハの頭を撫でながらポツリと呟いた。


さん」

「え?え?な、何・・(あああぁぁぁ、嫌いって言われたらどうしよう!いっそここから飛び降りるしか・・!!)」←落ち着け


答えるに、なんとなく恥ずかしい心地に覆われて。
トリスはハサハを膝に座らせて、彼女の髪に顔を埋めながら・・・・・・・また小さく呟いた。



大好き



ありがとう



その声は、レヴァティーンの翼がはためく音と。
吹き荒れる強い風に流れて、焦っているの耳には届かなかった               ・・・・。
























うっそうと茂る緑に覆われた大地。
ただの暗い森、と見られ、誰の目にも留まらぬ広い森。


一部の人間はそれを、禁忌の森と呼ぶ。


ネスティ達は達を見送った後、そのまま入り口まで戻り、その途中でいくつか話を続けた。


「マグナを助けてくれたことには感謝する・・だが、僕達はまだキミ達のことを信用できない」


ネスティは警戒するようにトウヤ達を見て、バノッサを見た。
けれどもトウヤはネスティを見返して、淡々と言い返す。


「いや、僕は別に構わな」

「あーー!!構うって!トウヤ!!!」


カシスは横から飛び出て来て、慌ててトウヤの口を塞ぐとネスティに笑った。
そして”ちょっと失礼”とトウヤが首に巻いているモノを引っ張って草陰に引っ込めると、
怒ったように眉を顰めながらボソボソと耳打ち。


「だめでしょ!トウヤ!何の為にわざわざここに来たと思ってるの?
女の子の事を調べに来たんでしょ?!あのメガネ君が知ってるかもしれないでしょーが!」

「・・・」

「まったく、トウヤはほんっと無関心なんだから・・あたしにまかせなさい!」


笑いながらポンポンとトウヤの肩を叩くカシスに、彼女を良く知る義理の兄弟は心底思った。


(不安だ)

(ああ、不安だ)

(不安ですね)

「何か言った?キール、ソル、クラレット」

『何でもない(よ)(です)』


ジロリと3人を睨んで、カシスはコホンっと咳払い。
そして警戒の色と解かないネスティににっこりと微笑むと、挨拶するように手を振った。


「どーも初めまして、メガネさん♪あたしはカシス・セルボルト」

「・・・ネスティ・バスクだ」

「よろしくねー♪早速で悪いんだけど、あなた達に質問があるんだよね」


カシスはふっと目を細めて、探るようにネスティ達を見た。
ネスティもそんなカシスの表情の変化に眉を潜めて、警戒の色を更に深める。


「あのさ、この森の奥に入ったんだよね?」

「・・ああ」

「カイナから聞いた話だと、ここは悪魔が封印されている<禁忌の森>。
でもあたし達はこの森に用なんてまったくないの」


ネスティはますます、警戒心を深めた。
彼女達の目的はこの森の奥にあるモノだと思っていたのに、まったく用がないという。
・・・・・・目的がわからなくなった。



ネスティは知っていた


森の奥深くに封印されている、遺跡を


それは過去の、召喚師たちの罪を



当のカシスはにっこりと笑ってネスティ達を見た。


「不思議な力を持った子とか、何だか普通じゃない女の子・・知らないかな?
あたし達はその子を探しているの」


“ちなみにそこで不貞腐れているバノッサ兄さんもそうでーす♪”とカシスは笑ってバノッサを指差した。
指をさされた本人はカシスの言葉に”誰が不貞腐れてるだと?”と鼻を鳴らすと、レヴァティーンを
見上げて視線を逸らす。


「取り合えずオンナノコ!これは絶対条件。そして次は召喚術でもない不思議な力を持っている子!
なんかビミョーな条件なんだけど・・・・・この二つの条件を持った子・・知らない?」


ネスティはアメルの姿が思い浮かんだ。
森の封印を解いた、あの光の爆発・・・あれは召喚術でもない、未知の能力。
全てを包み込むような慈愛を感じさせる、力。


そう、あれはまるで天使           ・・・。


「・・そういう人物はいる。
だが君達の目的がわからない限りそれを教えるわけには行かない」

「・・うーん、目的って言われても・・あたしじゃよくわからないんだよなー・・?」


カシスは困ったようにトウヤを見て、今度はクラレットに視線を映す。


「カシス、変わりましょうか?」

「うん、お願い。説明ってやっぱり苦手で・・」


クラレットはクスクス笑いながらカシスと入れ替わると、ネスティにペコリと頭を下げた。


「初めまして、ネスティさん。私はクラレット・セルボルトです。
先程のカシスとソル・・キ−ルの兄妹の一人です。
あそこで拗ねているのはバノッサさんというのですが、あの人も私のお兄様です」


“どうぞ、よろしくお願いします”とまた頭を下げる。
ネスティも思わず頭を下げてしまい、フォルテの目には奇妙な光景が映ったように見えた。
”あのネスティが流されてるとはなぁ”と、隣りにいたカザミネに声をかける。


「おい、カザミネ。ネスティが流されてるぜ?」

「ううむ、さすがはクラレット殿。あの兄弟の中で一番の礼儀正しい女子でござるな」


途中でカシスがこちらを睨んできたが、カザミネは気付かずうんうんと感心するように頷いている。
・・いつか死ぬぞ、カザミネ。


「・・そういや、あいつら知ってるのか?」


目を丸くするフォルテに、カザミネは深く頷いた。


「共に、戦った仲間でござるよ」


そんなカザミネの表情は誇らしく、フォルテは”へぇ”と笑みを浮かべた。
あのカザミネがここまで自信いっぱいに話すのだ、相当な力の持ち主でもあるだろう。
・・・二人の会話を聞いていたネスティは驚いたようにクラレット達を見て、警戒の色を緩める。


「・・本当なのか?」

「はい、カザミネさんにはお世話になりました」

「いやいや、こちらも世話になりっぱなしだったでござるよ。
・・ネスティ殿、彼らは決して悪道を行う類ではござらん。
拙者に免じてここは一つ、信用を与えてやってれぬか?」

「・・貴方がそういうなら・・仕方がないでしょう」


ため息を吐きながらネスティはふっと目を閉じて心を落ち着け、警戒の色を解く。
そこまで悪い人間ではないことは確かということは、自分の目にも映っていたのだから。
そんなネスティを見て、ソルはボソリと呟いた。


「これからの交渉はクラレットに決定だな、カシスじゃ微妙な結果になる」

「・・・ソル・・あなたねぇ・・」

「ありがとうございます、ネスティさん。・・ではお聞きしてもよろしいでしょうか?
・・先ほどのカシスの質問の通り、不思議な女性は貴方がたの身の回りにいますか?」

「・・ああ、さっきの茶色い、長い髪の女の子がそうだ。
彼女がこの森の結界を解いて・・あの悪魔達を結果外に出したんだ」

「・・だそうですよ、どうですか?バノッサ兄様、トウヤさん。
その方から何かを感じられましたか?」

「・・・・・」

「・・いや、特には感じなかった」


“その前にその子の事、少ししか見なかったから”というトウヤにカシスは呆れた表情をして、
クラレットも小さくため息をついて・・ネスティに目を向けた。


「それではネスティさん、私達もファナンへ向かいましょう」

「・・・は?」

「だってハヤト達をお迎えに行かなくちゃいけませんし・・それに」


クラレットはここより少し離れた方向に目を向けた。
それに、ネスティもつられるようにそちらを見れば。


「トウヤ!久しぶりねー♪」

「ミニスも元気そうで良かったよ」

「ね、サイジェントの皆も元気??フィズは?ガゼルは?リプレは元気なの?」

「ああ・・皆、元気過ぎるほどだよ」


クラレットはにこにこ笑いながらネスティを見て、ネスティは小さくため息を吐いた。
どうやら、彼らに接する時間がまだまだ増えそうである。


















バサッ・・・!


ファナンの外壁周辺で、レヴァティーンはその巨体を青々と茂る地面に着地させる。
ロッカとリューグがマグナの肩を担いで降ろし、あたしも彼らの後に続いて飛び降りた。
地面に足をつけた途端・・・・・・・・・嫌な予感が、あたしの胸の中をざわめつかせた。


「・・?」

「ご主人様?」

「あー・・何でもナイ」


レシィは心配そうにじっとあたしを見上げていたが、次にはふと、ひくっと鼻をひくつかせる。
それはバルレルもハサハも同じような行動をしていて、あたしは彼らの行動に首を傾げた。


「どうしたの?みんなして」

「血の匂いがするぜ」


バルレルは鼻をひくつかせながらその方向へ歩いていく。
すると外壁周辺に馬が止められてあって、その馬の体に微かな血、そして地面にも点々と残されていた。
・・・・・・・馬を見て、嫌な予感がますますあたしの中を覆い始めた。


(何で・・?それにあの馬、どこかで・・)

「時間も結構経ってんな・・見ろよ、乾いてる」


バルレルがは爪で地面を撫でると、その爪の先端に赤いモノ・・血痕がこびりついていた。


血。


あたしはそこでもう一度馬を見た。
何でこんなに嫌な予感がするかと思ったら、この馬・・!


(前にイオスに乗せてもらった馬だ!)


馬の顔を覚えるなんて器用なことは出来ないが(馬を見分けること自体出来ない)、
この髪、色も、鞍も確かに記憶にある。
どうりでどこかで見たことがある馬だと思ったのだ。


(でも、なんで?何で、ここに・・・)


あたしは弾かれたように颯爽と身を翻して、駆け出した。
後ろでトリス達があたしを呼んだけど、あたしの目にはその微かな、道標のような血痕しか映っていない。

血痕を辿って街中を奔走する。
途中で人にぶつかりながら謝りつつ、でも走る速度は落とさない。



胸の中がざわめく


ざわざわして、すごく嫌な気分になる


まるで何かの予感のように


あたしの胸を占め付ける



血痕が道場にまで続いていて、あたしの荒くなってしまった呼吸を整えつつも道場の門を見上げた。
すっかり我が家となってしまっている、モーリンの道場。
ここに来て道場の門を見上げれば自然と心が緩むのに、血の色が目に焼きついて心は緩まず、
逆に嫌な予感がさらにあたしの胸の内を覆っていく。

背に、悪寒が走る。

あたしはそっと道場の門を開けて中に足を踏み入れた。
夕暮れが迫りつつあるその世界に、妙にしんとした空間が広がっている。
町の人々のざわめきもこの場所だと微かにしか響かず、地面を踏みしめる音が妙に大きく響いた気がした。

土を踏みしめる音に、心臓の動きが一段と速くなる。


「・・だ、誰かいるの・・?」


誰も答えなかった。
けれどふと地面を見やれば、今まで続いていた出血量と比にならない血がそこに広がって、
一瞬上手く呼吸が出来ず、引きつった声を零してしまった。


「・・っひ・・!」


錆びたような臭いに、血の量に思わず後ずさりして戻ろうとする。


けれど、後ろから腕を掴まれた。


「ぃ、いやっ!」


反射的に、抵抗するように手を振り払うとそれは意外なことに、あっさりと離れて。
”え?”と、あっさりと離れたそれに驚いていれば、あたしの耳にどさりと何かが倒れるような音が届いて。


「・・?」


恐怖のため閉じていた目を開けると、金色の髪が一番に入った。
そして白い肌と、血まみれの手。
着ている衣服は既に黒くなりつつある。


「・・           っイオス!!」


あたしはイオスに駆け寄って、そっと頭を持ち上げてその顔を覗き込む。
肌の白い青年だったが、今は白いと言うより青いといったほうが正しいほど顔色が酷く悪く、真っ青。

この間に触れた手も冷たかったが、その冷たさとはまた別の冷たさがあたしの手に伝わって、
思わずぞっとした。


「イオス・・!イオス・・どうしたの?!」

「・・・」

「返事して・・ねぇ・・?!」


あたしはギュッと彼の頭を抱きしめて、周りを見渡して人の姿を探すけれど、誰もいない。
自分ひとりでも運んでやりたいとは思うけれど、でも彼を今、動かすこと自体が危険な気がする。
これでは医師に診せるということは不可能で      


(どうしよう)


アメルに言えば助かるかもしれない、でも助けてもらえないかもしれない。
イオスはアメル達の村を壊滅させた、デグレアの軍人だから。
トリス達の、敵だから。


(どうしよう、どうしようどうしようどうしよう・・!)


祈るような気持ちで、イオスの頭を抱きしめた。
その間にも血があたしの服を真っ赤に染めて、肩の出血を和らげようと傷口を抑えていれば、
手もイオスの手と同じように真っ赤になって・・・次第に、自分の肩が震えだすのがわかる。





どうしよう





どうしよう





誰か             ・・。






さーん?」




頭の中が真っ白になりかけた途端、追いついてきたトリスの声。

それにあたしは思わずびくりと身体を震わせ、ぎゅうっとイオスを抱きしめる。
心臓がいつもよりもずっとずっと早くなって、肩も更に震えを増す。



どうしよう



イオスの顔を見て、今からイオスを連れて医者に走っても間に合いそうにないと判断できた。
今のイオスはもう、本当にギリギリ、瀬戸際だ。

もう、絶対、確実に、すぐに治せる治療がなければ生きながらえることは出来ない。



「っ・・イオス、イオス・・・っイオスぅ・・・」



どうしようもなくて。
どうすればいいか、わからなくて。
泣きそうになりながら、あたしはただイオスの名前を呼んだ。

何度も、何度も。

そうすれば、ふっと        イオスの唇が動いた。
何か言いたそうな、掠れたように声が、あたしの耳に届く。


「・・?」

「・・・、て」

「ぇ・・」

「・・             あの人・・助け・・」



あの人?



あたしはイオスの唇に耳を寄せて、彼の言葉を聞き取ろうとする。
でもとてつもなく小声のうえ、“ヒュー”っと器官の鳴る音しか聞き取れなかった。


「・・イオス・・?」

「・・あの人、を・・救け・・・・・」



アノ人ヲ救ケテクレ



それは               



「・・・・っ!!人より今は自分でしょ?!あんた何考えてんのよ!!」

「・・・」

「死んだら許さないからね!イオス・・ちょっと聞いてるの?!」


彼の、わずかに開いた瞳が、酷く優しく笑んで。
あたしの頬にそっと触れる。


「・・・っ・・イオス!」

「・・・・・・」


瞳が再び閉じた。
同時にイオスの手も、力尽きたように地面に落ちる。
その瞬間に、堪えきれないかのようにあたしの目元に熱いモノが溢れて、でもあたしは袖でぐっと拭った。



もう、なんでもいい


気にしてる暇なんてない



レルム村の死んだ人達の顔が、レディウスの死に顔が、あたしの中にふわりと浮かび上がって。
あたしはきゅっと唇を噛む。

トリス達が、あたしを嫌いになったらと思うと。
ものすごく冷たい目で見られてしまうと思うと、すごく怖い。


(でも)



死んでしまったら


そこで全てが終るから



だから            怖がるな





(怖がるな)



怖がるな、あたし



しっかりと、今の状況を受け入れろ



逃げるな





あたしは、大きく息を吸った。
そして、すぐそこまで来ているだろうトリス達に届くように、空に叫ぶように声を響かせた。


「アメル!アメル来て                    !!!」




























お爺さん



あたしは貴方に嘘を吐かれていました



初めての嘘です



初めてだったからその分、酷く痛かったです



・・・・・・お爺さん





アメルはぼんやりとしながら、が走っていった道を歩く。
もう少しで道場が見える。
だが心の中は“ただいま”といえるモノではなくて、帰りたくない憂鬱さがアメルを支配していた。


(・・帰ったら、少し考えなくちゃ・・)


泣きたい気分だ。
なりふり構わず、叫びたい気分だ。



お爺さん



あたしは貴方の気持ちがわかりません



お祖母さんのことを教えてくれた貴方の気持ち、それは何だったのですか?



その場しのぎの、心無い嘘だったのですが?



それとも他に何か理由があったのですか?



          あたしにはわからない



「・・アメル・・だったよね?」


ふと顔を上げると、いつの間にか隣に並んで歩いていたナツミがにっこりとアメルに笑った。
その笑顔はとても可愛らしいものだと、アメルは思う。


「どうしたの?顔色が悪い・・もとい、落ち込んでいるようだけど?」

「・・・そんな事は・・ないですよ・・」

「そのバレバレの嘘、やめた方が良いよ?」


ナツミはアメルより一歩先へと足を出して進み、呟いた。
”嘘”という言葉にアメルはびくっと肩を震わせて、その小柄な背中を見る。


「そんなんじゃ、返って相手が傷つくだけだから」

「・・あ、ご、ごめんなさい・・そんなつもりじゃ・・・・」

「うん、わかってる。
あたしに気を遣ってくれたんだよね」


ナツミはやはり、にっこりと笑顔でアメルに振り返った。
けれど次には笑顔を消して、少しだけ、苦笑のようなものを浮かべる。


「でも<嘘>を吐かれるって、痛いよね」


嘘は。
知らなければ、気付かなければ、何も痛くもないというのに。
知ってしまうと、酷く重く、痛みを心に与える。


「でもね」


ナツミは、アメルをじっと見つめた。
意志の強さが瞳に現れているような、そんな瞳にアメルは思わず、心奪われる。


「<嘘>は吐く方も痛みを感じる時があるってこと、覚えておいた方がいいよ」


ナツミは再び微笑んで、くるりと正面に体を向けると先を歩き始めた。
アメルはその言葉の意味がわからなくて、ふっと顔を俯かせる。


(・・痛み・・?)


「アメル!!アメル来て!!!」


の声。
いや、それは叫びに近いものがある。
彼女に何かあったのかと思って慌てて道場へ駆けつけて門内へと足を踏み入れれば、次の瞬間、
体が強張ったのがわかった。

そこには。


「・・・・さん・・・?」


血まみれのイオスと、それを抱きかかえている
守るように抱きかかえて、その顔は今にも泣いてしまいそうだった。

        アメルには信じられないような状況だった。


「・・な、何で・・?」

「アメル!イオスを助けて!!」

「?!」

「危ないの!今から医者に診せても間に合わないの!!・・っお願いアメル!!!」


イオスを抱えながら必死に訴えかけるからアメルは思わず、一歩後ずさった。
傍でマグナを抱えていたロッカとリューグもただただ、驚きの表情を浮かべて、
次にはリューグは怒りの色に染め、ロッカも眉を歪めた。
明かに好意的でない様子。


アメルは小さく首を振った。


「・・い、嫌です・・」

「アメル・・?!」


の声が胸に痛む。
トリスもハヤト達も困惑したような表情を見せて、交互にアメルとを見る。
それでもアメルは首を横に振りつづけた。


「嫌です・・嫌です嫌です嫌です!!」

「アメル!!!」

「嫌です!あたし達の村を壊した人たちの治療なんて・・あたし達の居場所を壊した人たちを癒すなんて・・」



この人は何を考えているんだろう

その人物が自分達の村を壊滅させた酷い軍人なのに

どうしてこの人は自分に助けを求めるのか

考えている事がわからない



「アメル!!お願いだから・・」

「嫌です!!絶対に嫌です・・・!!」



やめて


これ以上あたしを傷つけないで


もうたくさん


何もかもが


全部がツライ



リューグとロッカはマグナをトリスに預けて、それぞれの武器を手に持った。
その顔は本気で怒って・・・・けれど悲しそうで、兄弟のその表情にアメルの胸は更に痛んだ。


今一番傷ついているのは

彼らかもしれない


・・テメェが旅団と繋がってるって思っても良いんだな・・」

「・・・いいよ」


はきっぱりとそう告げた。
泣きそうだった表情も消して、責めるような視線を向けてくるリューグから目を逸らさず、見返している。
・・もっとも、イオスを抱きかかえるその手や肩は微かに震えていたが。


「・・さん、貴女にも事情や気持ちがあると思います。
でも僕達はその人の治療をアメルにさせたくない。
この子がどれだけ傷ついているか・・傍にいた貴女だって知っているはずだ」


ロッカの言葉に、が、一気に泣きそうな表情になった。
アメルが傷ついたことを考えてしまったから、気持ちがくじけそうになったのだろうか。
けれど一度深呼吸をしてそれを堪え、ぐっと唇を噛んでロッカ達を見上げた。

その表情は何者にも彼を譲らぬ、意志の表れ。
アメルは更に混乱した。


さ・・」

「アメル、下がってろ」


リューグがアメルを押しのけて、イオスとに近づこうとする。
はぎゅっとイオスを抱きしめて、リューグを睨む。

だがその瞬間。
レシィとレオルドが飛び出して彼らの背後を取り、そのままの勢いに乗って二人を地面に抑え付けた。
倒れこむように抑えられ砂埃が一瞬、小さく舞う。


「・・な・・?!」

「ご、ごめんなさい!ロッカさん!!」

「テ・・テメぇら・・!」

「リューグモ、非礼ヲ詫ビル」


本気の力で押さえつけているのか、ギリギリと、何かが軋むような音が聞こえる。
その音に、動こうとするリューグ達を力いっぱい抑えつけているのがわかる。



何で、そこまでするの?

さんが貴方達のご主人様だから・・・?



けれど一番驚いていたのは、彼らの主人のだった。


「レシィ・・レオルド・・」

「ごめんなさい!ごめんなさい皆さん!!でも・・でも僕もイオスさんが死ぬことが嫌です!」


自分を泣き虫だと、言っていた彼。
確かにその通りに、彼は今も泣いている。

けれど、ロッカを押さえつける手の力を決して緩めず、彼は続けた。


「その人は優しくて・・僕たちを助けてくれたんです!ご主人様を助けてくれたんです!!
僕もその人が好きで・・だから死んでほしくなくて、ご主人様が悲しむのも嫌で・・!」


ぼろぼろと泣きながらロッカを抑え付けるレシィを見て、は唇を震わせて、
”イオス、レシィの言葉が聴こえる?”と励ますように彼の耳元で囁いて、イオスを抱きしめる力をこめた。

そして、再びアメルを見上げる。


「・・アメル」

「い、嫌・・」



何故、こんなことに


何でこの人は、こうも何もかも投げ捨てられるのだろう


彼を庇えば、今まで共に過ごしてきた時間がなくなってしまうかもしれないということは、
わかっているはずなのに



首を振って更に後ろに退こうとするアメルの手を、誰かが掴んで遮った。
それにビクリとしてアメルが肩を震わせ、振り向けば・・今日出会ったばかりの、ハヤト。


「逃げちゃ行けない」

「嫌・・嫌です!あたし・・」

「逃げちゃ、ダメなんだよ・・事情を知らない俺達だってそれくらいはわかる」


何が


何が、わかるというのだろう、この人は


そういう考えが脳裏によぎる。
会ったばかりの人が、何をわかるのだろうかと。
・・イオスを助けようとするを見れば、わかってしまうのだろうか          


「嫌です!!あたしだって・・聖女だって人間です!!!誰かを憎みます嫌いにもなります!!
ずっと綺麗な心でいられないんです!だからその人の治療だけは・・お願いですから、その人の治療だけは・・」


ハヤトは抵抗するアメルの腕を更にきつく握りしめて、アメルは痛みに顔を歪めた。
リューグとロッカはなんとか起きあがろうとするが、レシィ達に抑えつけられて動けないままに終わる。


「お願い、です・・」


ぼろぼろと、アメルの頬に伝うのは涙。
何故こんなにも苦しいのだろう。


(・・あぁ、そうか・・)



を助けたいと思う。


けれど彼の治療は、彼に殺された村の人を裏切っているようで怖いのだ。



涙を流して、首を振るアメルに、ハヤトは静かな口調でそっと問いかけた。


「キミとは友達なんだろ?」

「・・・・」

「仲間なんだろ?」

「・・・・・・・」

「キミは仲間を裏切るのか?仲間を悲しませるのか?」

「・・っ・・ヤメテ・・・」

「・・俺にだって、ここに来て仲間が・・命をかけた仲間がたくさん出来た。
死にそうになって、逃げ出したい時だって何度もあった。
でも今は一緒に乗り越えられて・・元の世界でいる友達よりもずっと確かな『何か』を・・・
大事なモノを見付けたよ」

「・・やめてくだ・・やめてください・・」

「キミはさっきの森のことで傷ついたんだと思う、それは俺が知るよりもずっと深いものだと思う。
でも友達が信じてる人を・・大事に思ってる人を見放さないでやってくれよ・・。
・・キミには癒す力があるんだろう?・・・なら・・なら助けてやってくれよ・・・」

「ハヤト・・」


ナツミが、責めるようにも訴えるハヤトの名前をぽつりと呟いた。
・・彼が彼女にああいうのも、助けられずに死なせてしまった人達がいたからだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・結果的には、その人達は生き返ったのだけれども。


「・・っ・・」


アメルは、もうどうすればいいかわからなかった。
を助けてあげたい。
けれど彼の治療は怖い、・・ただでさえ、村が滅ぶ原因にもなったというのに、
死んでしまった彼らに申し訳がない。

けれどハヤトの言葉が酷く痛い。
自己嫌悪に陥って、自分が一番汚く思えて嫌になる。



やめて


やめて


何も聞きたくない



「・・・アメル・・・」


アメルは呼ばれて恐る恐るを見る。
だがは今にも泣きだしそうな表情をしていて、アメルにポツリと呟いた。


「・・・ごめんね」



謝らないで


悪い人になりたくないの


彼を救けて


村の人に恨まれるのは嫌


憎まれるのも嫌なの



「・・確かにイオスたちは奪うようなことばかりしてる」

「・・・」

「でもそれすら覚悟で、彼らは守ろうとしているモノがある」


はそっとイオスの髪を撫でて、彼の頬についた血を拭ってやる。
その仕草には、確かな優しさが込められていた。


「・・それがどんなにくだらないモノでも、守ろうとしている本人達にはとても大切なモノで。
・・他の人の命を測りにかけられないくらい、大切だと思えるモノ。
だから彼らはあたしのことだってきっと、彼らを命令している人たちに差し出すよ」


それは違う、とアメルは思った。
彼らはアメルを差し出すことはあっても、は差し出さないと思う。
・・・・・どんなに大切なモノがあっても、自分達を大事にしてくれている人を差し出すことなど、
そう簡単に出来ないはずなのだから。


「あたしも悔しかった。村の皆が殺されたこと、本当に悔しかった。
今だって悔しい・・何もいえなかった自分が悔しい」


そこまで言ったの言葉に、なんとなく違和感が胸を過ぎった。
・・何も言えなかった、ということはどういうことなのだろう。

はアメルを見た。
何の迷いもなく、真っ直ぐと。


「でも、あたしは彼を救けたい」

「・・・」

「酷い人でも、それでもあたしには大事な人なの。
皆が彼を嫌っても憎いと思っても、あたしにとって憎むべき人であってでも生きてほしい人なの」


アメルは、涙を拭った。
で辛くて、憎くて、村の人を悲しんでくれて、悔やんでくれている。
・・たとえがそう思ってくれていても、自分の中の悲しさも癒えることはないだろうし、
村の人が帰ってくるなんてこともないのだけれど。




       友達が信じてる人を・・大事に思ってる人を見放さないでやってくれよ”




「アメル!」


アメルはそっと近づいて、とイオスの元へ向かう。
途中でリューグが叫んでいたけれど、アメルはそのまま二人に近づいて、イオスを抱きかかえる
の正面に膝を着いた。


「アメル・・」

「・・傷、看ます・・・」

「・・・・」

「・・あたし・・本当は怖いんです。
・・この人を癒すことによって、あの村の人達があたしを憎んでしまうようで・・、
殺されたことを許してしまう事のようで・・・・怖い」

「・・・・うん」

「でも・・・さんを・・貴女を助けるためと思ってやれば・・・村の人達も許してくれますよね?」



友達を助ける事だって、割りきってくれますよね?

大事な

大事な友達のため

・・それは自分の勝手な解釈でしかないけれど


「・・アメル・・・ありがとう」


そっと手を振りかざし、アメルは力を使うことに意識を集中した。
自分の中にあるモノが目を覚まして、イオスの体を光で包み込むようなイメージを描き、
力を緩やかに、けれど強く引き出していく。


癒しを行えば、自然とイオスの心を見ることになる。

彼が見てきたモノ。
彼が抱えているモノ。
彼が生きてきた、その道の筋。

それは                       

















「・・・っ」


治療が終り、光が消える。
イオスの呼吸は穏やかになり、体温もほんの少し温かみが戻り、彼は静かに、
寝息をたて始めた。


アメルの目元から涙が零れ落ちた。
それは止めど無く溢れてきて、傍にいたにすがりつくように、アメルは泣いた。



アメルの中に流れ込んできたイオスの気持ちは。



イオスの心は。



とても悲しくて、とても寂しいモノで、・・けれどどこか温かかくて。



彼が持っているモノは、自分の迷っているモノよりも、とてつもなく大きいモノだと理解して。








アメルは更に声を上げて、泣き崩れたのだった                     ・・・。














NEXT



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後書き



第50話をお届けさせて頂きました。

なんといいますか、ようやく半分。
ぽつぽつと続けてこれたのは、これも皆様のおかげです。
何よりも感謝しております。(ぺこり)

シリアスになりながら、こうしてイオスも助かったというわけですが。
さてこれから、本格的デグレアストーリーとなります。
完全オリジナルストーリーといいますか、明らかに捏造しているという設定、ダークな表現もございますので、
そこのところをどうかご理解いただけるようお願いします。
サモンナイトらしくない、という部分もあるかと・・・ヒー!

色々と思想の違いというものもあるのですが、それを突っ込みまくっていればキリがなく。
それを良い部分と言う人もいれば、悪い部分と言う人もいるわけで。
放っておけばいいじゃないかと、無関心な人もいるわけなのですが。

やはりそれぞれ、思う所があるということで。
つまり何が言いたいのかと言えば、・・その事に傷ついても、どうしようもなく苦しくても。
ほんの少しでもいいから自分らしくいてほしいということです。
・・・・・どうしてそういう結果になるの・・・!!(滝汗)


それではここまで読んでくださってありがとうございました!



2002.3.22

2004.8.3大幅修正