澄んだ空気が空に舞う。


そしてそれは、清々しい空気。


それを身体に蓄えながらも、それぞれの命が安息から目覚め、思い思いに行動に移り始める。




そして今日も、世界は動き始めるのだ。







第25夜








・・そんな中、ゼラム周辺の駐屯地でルヴァイドはテントの中で剣を磨いていた。
以前の戦闘で血を浴びて、愛剣が錆び付くのを防ぐ為に。

         そして雑念であろうその思いを、消し去る為に。

だがずっと磨いていても、それは消し去ることはできなかった。
もう数十分間も続けている一種の瞑想、それが効果がないということはやはり、
この胸のうちにある思いは軽いものではないのだろう。


ルヴァイドは諦めて剣を横に置き、そっとため息を漏らした。
そしてふっと目を閉じて昨夜の事を思い浮かべる。

自分の手を抱きしめて、泣きそうになりながらも訴えた・・優しい人。



「忘れろ」と言われた瞬間、頭が真っ白になった



少しかすれた声がまだ耳に残る

彼女は泣きそうだった

・・抱しめたかった

あの細い肩を

あの震える身体を抱きしめて、何者からも護ってやりたかった



彼女は「忘れろ」と言った



何もかも忘れられるのか?

彼女の声、笑顔、言葉

思い出すだけで、あんなに優しくなれた



あの全てを




ルヴァイドはやがて、自嘲気味に笑みを浮かべた。




胸の奥が痛かった

ココロが痛い

忘れられるハズがない

忘れられないのだ




この心が、魂があの全てを刻んでいるのだから




目を開いても、そこにあるのはただの空間。
笑っている彼女は、いない。
怒っている彼女も、いない。


それがひどく、切ない。


「・・俺は、弱いな」


彼女がいなくて悲しいと感じている自分がいる。
なのに上の者に抗えず、悔しいと感じている自分がいる。


「・・・・・・」



会えないなら

言葉を交わす事も出来ないのなら

せめて名を呼ぶ事だけでも



再び目を閉じたルヴァイドの髪に、何か温かいモノが触れた。
“?”としながら目を開いて顔を上げると、目の前には彼女の心配そうな顔。


「・・・?」


幻覚まで見てきたか?と考えたが意識は正常・・だと思う。
ルヴァイドは困惑の表情を隠せずにいると、はしばらく考え込むような表情を見せ、
次には思い付いたようにポンと手を打つ。

そして笑いながらルヴァイドの頭をクシャクシャと撫でる。

その感触は確かに存在していて。
ルヴァイドは手を伸ばした。


・・!」


そこに居る事を信じたくて腕を掴もうとするが、擦りぬけて空を切る。
何度も掴もうとするが全て空を切って終ってしまう。
だがはあっさりとルヴァイドに触れてきて、ルヴァイドの行動に首を傾げる。


「・・俺は・・触れられない・・・?」


俯くルヴァイドには驚いたような表情をして慌てて頭を撫でる。
その反応は何処か温かくて、何だかとても安らげた。


「・・俺は・・もうお前と話すことすら叶わんのかもしれん・・」


彼女の幻影でも、どうでもよかった。



会えて、嬉しい



ただ、それだけで。



その言葉にはきょとんとした後ブンブンと首を横に振って、ルヴァイドの手を抱きしめた。
”そんなことはない”と、行動全てで表現する。
それがまた嬉しくて、抱きしめてしまいたい衝動が、胸を覆う。


(・・何?)


そこで、ルヴァイドははっと気がついた。
抱きしめたい?を?・・・・・・・・・何故?


(・・これは、そういうものではないはずだ)


自分は、彼女にとって奪う者だ。
抱きしめて、あの手を握り締めて、互いに笑って、その全てを独占し、望むなど       


が、不思議そうにルヴァイドを見上げる。
その顔をじっと見下ろせば、ルヴァイドの行動に少々の戸惑いを覚えながらも、は微笑んだ。


優しく、微笑んだ。


               ・・・」


その笑顔に、彼は言葉を失った。
彼女と出会って、まだ日も浅いというのに。
出会い方も最悪で、自分がそんな立場にいられるはずがないというのに。





なのに





何もかも投げ捨てて





抱きしめたいと思うのは何故?





腕が、伸びかける。
けれどやはり掴むことも、触れることも出来ない。


(透けて・・いるのか?つまり実態はないということに・・)


良く見れば、その身体は透けていた。
それにどこか神秘的さを感じる。

・・神聖な存在かと思えるほどに。


は、また笑った。
ルヴァイドを励ますことが笑うことだと思っているように、彼女は微笑む。


「お前は・・どこにいても変わらないな」


手を伸ばして、の頬を撫でる。
例え触れられなくても、其処には確かにはいる。

目の前に、居てくれる。

はルヴァイドの手に自分の手を重ねて、微笑んだ。
優しく、柔らかく。
そして目に入った桜色の唇が、そっと言葉を繋ぎ出す。
聞こえなくとも、唇の動きを読めば何を言っているのかわかるのだ。
ルヴァイドはじっとそれを見つめ、唇の動きを読もうと試みる。

・・彼女の言葉が欲しい。



“ダイジョウブダカラ”



それだけ告げると、の姿は掻き消えた。
掻き消えた後には、不思議な存在感と温かさが残っていて・・それに心が包まれたような気がして。
ルヴァイドはしばらく何かを考え込んで寝床に横になり、軽く目を瞑った。



“大丈夫だから”



この言葉の意味はよくわからない

だが

何か大きな空間ができた

余裕のなかった自分の心に、安らげる空間が



たった一言で



ルヴァイドは、今日始めて深い眠りに入った。
が触れた、手を握り締めながら・・・。



























場所は変わってファナンの街。
あたしはぱちっと目が覚めて、ムクっと起きて、自分の頭をバシッと殴った。
あう、痛い・・(ため息)


「・・痛い、これは夢じゃないってこと?」



変な夢を見た

ルヴァイドが、目の前にいた

すごくツラそうに、苦しそうに表情を歪めて


あたしの目の前に


だからあたしは思わず頭を撫でた

すると驚いたような表情をして、あたしに何かを言ったけどあたしには全然聞こえなくて

でも何だか否定しなくちゃと思って首を振って

わかってもらえるように手を抱きしめた

すると穏やかな表情になって、やっと笑ってくれて

あたしも嬉しくて笑い返した


その後思わず“大丈夫だから”って言ったら・・




目がさめたんだっけーー?




ボーっとしながら顔を上げると、窓から海が見えた。
青くて蒼くて、果てしない。


「・・取り合えず起きようかな・・」

「おはようございますvvさんvvvv」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今の声は誰じゃ(滝汗)



あたしは扉の方へ目を向けると、男がいた。
その男はあたしににっこりと微笑んで、(無駄に)熱い眼差しで己を抱きしめて悦る。


「ああ・・貴女のその生足に私はもうメロメロです・・!」

「・・ふ」

さん!ビデオカメラを新調しました!バッテリーも26時間持ちますよ!
これで貴女と1日中一緒にいることが出来ます!さぁ!スマイルプリーズ!!!


以前は黒だったビデオカメラが何故かピンク色に変色してて。
レイムは嬉々としながらあたしにレンズを向けた。



・・変質者、ランクアップ



あたしは大きく息を吸って、腹の底から叫んだ。


「不法侵入者ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

「HAHAHA!いやですねさん!今日はちゃんと扉から来たじゃないですかvv
あ、胸元が艶かしくて良いですね!素敵だ!!

「いやぁーーーーーーーーーー!!!見るな撮るな近づくなーーーーーーー!!!
鼻血が!鼻血拭えよ!!あんた!!!(退)」

さん!私は!私はもう我慢できません!私のために一生味噌汁を作ってください!!」

「一生作ってたまるかーーーーーーーー!!その前に一生も味噌汁作りたくないわよ!
その前に何で味噌汁知ってんのさあんた!!」

「シルターンの文化にも興味津々なのですよ!美しい着物を着たさんに味噌汁を
作ってもらうのが私の夢です!そして夫婦的会話を・・!!」

「嫌な夢だな、オイ!(退)」

「夫婦的会話・・着物を着たさんと“あなた、味噌汁が出来ましたよ”“ああ、ありがとうござます
美味しいですよ、”“本当?嬉しいわ、レイム”“ですが私はもっと美味しいモノを知っている
んですよ?”“あら、それはなに・・?”“ふふ、貴女に決まってるじゃないですか!”“ああっだめ
よこんな所で・・!”“ジュテーーーーーーーーーーム!!”・・こんな会話を!」



どこのドラマだ



「いらねえよ!ってか、帰れ!!(ゲシィ!)」

「(踏まれて)ああっ・・!!い、良い・・!!(恍惚)

「キモーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!(嫌過ぎ)」


あたしは恍惚と悶えているレイムを置いて部屋から逃げようと身を翻す。
部屋を出ようと扉をあければ、先にガチャリと扉が開いて、「助け?!」と思わず
ぱぁっと顔を輝かせてしまった。

そこにいたのはミニスで、彼女はひょっこり顔を覗かせて。


「話し終わったの?レイムさん」

「(歯を輝かせながら)ええ、ありがとうございます。ミニスさん」


いつの間にか復活したレイムは笑顔でミニスに笑いかけた。(歯ぁ輝いてんぞアンタ)
・・ちょっと待て、何でそんなにフレンドリーなのさあんた達!


「ちょ・・ミニス!どういう事!?コイツ知ってるの?!」

「朝早くに訪ねて来て,旅のお話しを聞かせてくれたの。お菓子も持って来てくれたのよ、ホラ」


ミニスがあたしに差し出したのは、可愛らしいクッキーだった。
それは美味しそうで女の子にはたまらないお菓子だったりする。
・・・・・・・・・・・・・・賄賂にはうってつけだ。


「相手の家を訪ねる時に、お土産を持参するのは当然の礼儀です。
ましてやそれがさん達の家ならば尚更ですよ(笑顔)」

「いや、あたしらの家じゃないんだけど・・」

「ミニスさん、気に入っていただけましたか?」

「ええ!すっごく美味しかったわ、アメルやトリスも喜んでたし」

「それはそれは・・光栄ですね」



ちょっと待てい



あたしはレイムの腕を掴んで窓枠に近づいて、レイムは笑顔であたしの手を握り返し、後ろに続く。
バタンッと、あたしは窓を開けた。
青々としている空に、そしてレイムに一度にっこりと微笑んで。


さん、どうかしました・・」


そこからレイムを突き飛ばした。


「かああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!」


いい悲鳴が、落ちていく。
ベシャっと下の植木に突っ込むのを見送ると、あたしは笑顔で窓をしめ、爽やかに汗を拭い。


「ふぅ・・駆除完了・・!!(レッツ爽やか)」

「・・・・・?(汗)」

「いい?ミニス。あいつは女の敵だから駆除しなくちゃ(あたしが)大変なの。
わかってくれるわよね?わ・か・っ・て・く・れ・る・わ・よ・ね・?(念押し)」


ミニスはあたしのプレッシャーに押されながら、苦しい返事を返した。
・・とても大きな間が空いていたが。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う、うん・・・」

「いい子ねー、それじゃレオルドに下の変態をドリルで思いっきり刺してオッケー、
寧ろ貫けって伝えておいてくれるかな?」

「・・・・・え、でもそれじゃ死・・(汗)」

「つ・た・え・て・お・い・て・く・れ・る・わ・よ・ね?(更に念押し)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」


あたしは満足そうに頷いて、ミニスの背を見送ると近くに用意されていた服を
手にとって着替え始めた・・・・。



ってか、あたしってなんて健気・・!(どこがだ)





















「あ、さんおはようー!」

「おはよん、トリスv所で聞きたいことがあるんだけど?」

「うん、なぁに?」

「(くぁ!抱きしめてぇ!)何であたしの服がまた変わってるの?」


そう、起きて2番目に驚いた事は服が変わっていた。
濃い紫で、半袖のタートルネックにトリスマグナとお揃いのバツ印のボタンのようなものが
ついていて、下は黒の長ズボンだったけどファナンには少し暑いので折って半ズボンに。


「あのね・・洗濯に乾してたら何時の間にかなくなってたの・・レイムさんが来てくれてたから
服がなくなった事・・誰も気付かなくて・・・・」


あたしの胸の奥に、嫌な予感がマッハで駆け抜けたがあたしはそれを無視した。
何となくだが気付きたくも、考えたくもなかったからだ。


「・・・・・・そ、そう・・ありがと・・・(眩暈)」

「あ、さんあたしね。買い物に行きたいんだけど・・一緒に来てくれる・・?」

「うん、いいわよー一緒に行こう行こう!(デートしましょ!)」

「ありがとう!それじゃ後でね!」


“オッケー”とあたしはトリスの背を見送って、密かにガッツポーズをした。
護衛獣付きだけど、トリスとお出かけは初めてなので喜ばずにはいられない。

あー、癒されるなー・・(愛)

しばらく喜びに浸っていたらモーリンの後姿を発見。
あのコートはオシャレなのかなー?と思いつつ、取り合えず挨拶をする。


「モーリン、おはよー!」

「おや、じゃないか?昨日はよく眠れたのかい?」

「もち!すっごく助かったわー・・助けてくれてありがと」

「いいって、あたいも楽しかったし昨日は大勢で食事を食べれたから嬉しかったよ」

「モーリン?」

「親父が旅に出てからこの広い道場では一人だったからね・・」


モーリンは一度、廊下の窓から遠くを眺めた。
それは遠い目をしていて、・・・遠くにいるであろう父親を思い出しているのだろうか?


「あんた達が転がり込んで来てくれて、本当に嬉しかったよ」


本当に。
本当に、嬉しそうに笑って、あたしの肩を叩いた。



優しくて、強い姉御肌のモーリンだけど

やっぱり女の子で、人だから淋しいこともあったんだ

一人の食事は淋しい



それがずっとであれば尚更



あたしも笑い返して、ぎゅーっとモーリンの首に抱き付いた。


「それじゃしばらく住み付いちゃうけどよろしく!・・追い出したら泣くからね?」

「あいよ!どんどん居てくれよ!」


あたし達は笑い合って、皆の集まる居間へ向かう。
あー、朝から叫んだからお腹空いてしょーがないわぁー・・・。

空腹で鳴る腹を抑えながら角を曲がると、あたしはどんっと何かにぶつかった。
顔をあげるとそこにいたのはリューグで。


「あれ?リューグ・・?ごめん、大丈夫?」

「・・ああ」


リューグはあたしに返事をすると外へ足を向ける。


「・・って、どこ行くの?朝ご飯食べないのー?」

「・・アメルに言ってあるからかまわねえよ、後で食う」

「あ、うん・・」


あたしはリューグを見送ると、モーリンは表情を歪めて呆れていた。


「なんだい、あいつは・・えらく不機嫌じゃないか・・」

「・・あれは不機嫌って言うより・・落ち込んでいるように見えた・・けど、気のせいかな・・?」

「・・・・・・あれが?」


モーリンは訳解からんって首を傾げたけど、本当にそう見えてしまったから。


(・・後で聞いて見ようかな・・?)


そう考えながらあたしはモーリンと一緒に居間に向かった。





















「・・なるほど・・買い物っていうのはこれねー・・」

「うん、まだみんな怪我してる部分があるし・・。
それに一応これからの事も考えなくちゃ行けないからね」


あたしとトリスはマグナとモーリンと護衛獣カルテットを連れて薬屋にいた。
いろいろな種類があってよくわからないけど、取り合えず一緒にきてくれたモーリンに選んでもらう。


「これなんかどうだい?結構効くからあたいも愛用してるんだ」

「んー、よくわかんないけど・・それ決定!カゴにいれちゃおうー」

「トリス、無駄使いはダメだからな。わかってるな?」

「うん、大丈夫よ、お兄ちゃん・・あ、これ欲しい!」

「(今いったばかりなのに・・)財布の中を見ていってくれ・・・(泣)」


そんな二人を笑いながら、あたしは砂浜の方を見た。
すると視界の隅に黒い何かが転がっているのが見えた。


目をこりつつもそれを見ると、それは人で。


「あ!誰か倒れてる・・、ちょっくら行ってくるわ!」


モーリン達に声をかけて、あたしはだっと店を出て砂浜に下りた。
黒いそれに近づこうとすると後から来たレオルドが前に出て、それを止める。


「?」

「アルジ殿、敵カモ知レマセンノデ私ガ先ニ様子ヲ見マス」

「いや、ってーかあれは・・」


レオルドはあたしの言葉を聞かずにガションガションとそれに近づいて、倒れている男を揺さぶる。
しかし男はまったく動かずで、レオルドはちょっと考え込んでドリルを回し始めた。
え?え?ちょっと待って、まさか貫くんじゃないでしょーね・・(滝汗。)


「今カラ5秒数エル、ソノ間ニ起キナケレバコノどりるガ貫クト思エ」

「ああああああああ!!レオルド!何て荒療法で・・」

「5・・4・・3・・2・・1・・」

「ちょっと待つでござるーーーーーーーーーーーー!!!(がばぁ!)」


跳ね起きた男は青ざめながら刀に手をかける。
だけどすぐにガクッ!と膝をつき、ばったりと砂浜に倒れこんだ。(・・・死んだ?)

一応起きた反応を見せたので、レオルドはドリルの回転を止め、カザミネを分析し始める。


「しるたーん風ノ衣服ニ性別・男。体温ハ低温デ栄養失調」

「・・ああ、分析ありがと・・・(汗)ちょっとあんた大丈夫ー?」

「・・くぅ・・み、三日間・・何も・・食べていなくて・・(沈)」

「・・(うわぉ、チャレンジャー・・)マジで?それじゃ一緒に食べない?お昼奢ってあげるから・・」

「・・・!な、何と・・見ず知らずの拙者に・・奢ってくれると申すのか・・・?!」

「(いえ、めちゃめちゃ知ってます)うん、あたしも一応お金持ってるし・・このまま
あんたに死なれても困るから」

「困る?・・いや、しかし・・」


あたしはカザミネを支えながら、笑う。
だってあんた死んだらファナンが助からないっつーの!
クレーターが出来るって、クレーターが!


「あっちにあたしの連れがいるから、・それに時間も丁度良いし取り合えずお昼を取りましょ」


あたしは支えながら・・と、言うより半ば彼を引きずりながら、光り輝く砂浜を後にするのだった。
ってか、カザミネって何か浮いてる気がする・・・(禁句)
















「・・馳走になった!」

「・・・カザミネさん、すごーい・・・」

「ああ、本当にすごいな・・」

「へー・・よく食べたもんだね、・・払える?(汗)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大丈夫よ・・・・・(泣)」



食い過ぎでしょ、カザミネ



沈むあたしにカザミネは深々と頭を下げ、えらく爽やかに笑う。


「本当にかたじけない・・殿。この恩は必ず返すでござる」

「あははははは・・・(もう笑うしかない)」


あたしの引きつった笑いが、店に流れていく。
モーリンもそんなあたし達を見て笑いながら、店のおじさんに話しかけた。


「本当に大繁盛じゃないか、どうしたんだい?」

「おお、新しい酒を作ってみてな・・これがまた大成功だったんだよ。モーリン、一杯どうだい?」


モーリンは笑って酒を受け取ると、何故かあたしに手渡した。
いえ、ちょっと待って・・・(汗)


「・・モーリン・・?」

「飲んでみなよ、は結構行けそうだしねー・・」

「え?!ちょ・・」

さん、頑張ってー!」


あたしが迷っていたら、服の袖を引っ張られる。
下に向くとバルレルが何か不機嫌そうな表情を浮かべながら、手を差し出してきた。


「飲めなかったら俺が飲んでやる!よこせ!」

「・・・あたしはねー・・自分で言うのも何だけど・・すっごく捻くれてると思うのよ」

「・・だから何だよ!俺によこせー!」


あたしはニンマリ笑って、バルレルの欲しがっている酒を一気飲みしてやった。
バルレルは「あー!」と半泣きになりながら叫び、マグナ達は「おおー」と歓声を上げる。
あっはっはっは!バルレルが可愛いぞコンチクショー!

ゴクゴクと飲み干して、あたしはドンッとグラスを置いた。
あー、クラクラする。


「・・ちょ・・っと・・これはキツイかも・・(汗)」

「おう!これはバリバリにキツイ地酒だからな!」



早く言え、このオヤジ(怒)



あたしはグラァとふらついて、そのまま座り込んでしまった。
うわー・・目が回るー・・


「ご、ご主人様!大丈夫ですか?!」

「・・レシィー、あたしはもーだめだー・・」

「おねえちゃん・・」

「ハサハー、キミはいつも愛らしいー・・」

「・・コイツ、完璧にツブれてやがる・・・(汗)」


バルレルは大きなため息をつきながら「だから俺に渡せば良かったんだよ」と
ブツブツ文句言って、座り込んでしまったあたしの頭をペシペシはたく。
ああ・・何か幸せだわ・・・(危険)

あたしは気分が良くなって、ぎゅうっとバルレルに抱き付いた。


「バルレルー・・かわいいーーーーvvvv」

「な・・っ?!」

「バルレルは華奢かと思ってたけど結構良い身体付きしてるねー・・」

「っげ!撫でるな!触るな酔っ払い!」

「酔っ払いでオッケー・・だからもっと身体触らせて〜」


あたしはツツーとバルレルの背中をなぞると、バルレルはビクンっとしてあたしを
本気で引き剥がそうと力を込める。


「ぎゃああああああああ!!!背中なぞるなーーーーーーーーーーー!!!(半泣き)」

・・そろそろやめておいたがほうが・・(汗)」


あたしはマグナに羽交い締めにされるが、スルリと抜け出してぎゅっと抱き付く。
こうなったら誰にでも抱き付いてやるー!


「・・マグナもカワイイー・・ワンコーvv」

「え・・?!ちょ・・!!」


ガタガタン!とマグナはあたしごと倒れて、あたしがマグナを押し倒すような形になる。
・・このまま襲おうかな?(待て)


・・!ななななな・・・!///」

「んふふふふーvvマグナー・・すっごくカワイイ・・・(悦)」


顔が真っ赤にさせながらも、マグナは押し返すようにあたしの肩を掴む。
可愛い、この一言に尽きるわー・・


・・とにかく酔いを覚まして・・」

「オイ親父!!一体どういうことなんだ、オラァ!!」


突如怒鳴り声があたし達の耳に入って来て、その場にいた者の視線は全部そっちに向いた。
・・ッチ,誰だ邪魔したのは・・(オイ)

向こうの方では骨格のよい大男が椅子を蹴り飛ばしながら、店のおじさんに怒鳴っていた。


「俺達に酒を飲ませないって・・テメェ・・それでも商売人か?!」

「お前達のような海賊という職についている輩に、飲ませる酒はない!帰れ!!」

「んだと・・っ?!」


あたしはさっきのハイテンションがまだ続いているのか、店のおじさんに声援を送る。
だってもう乱闘寸前よ!これは応援するしかないとあたしの中の野次馬根性が叫んでいるのよ!


「きゃー、おじさんカッコイイー!」

「わ・・!(汗)」

「・・オイ、あんな小娘に酒を飲ませて、海賊には飲ませられねえって言うんだな・・?」

「ああ。あの子はれっきとした客だ」


不穏な空気が流れる中、あたしはマグナの制止にも関らず応援する。


「おじさーん、もっと言っちゃえー!どーせこいつらのボスのジャキーニなんか濃いヒゲの親父
で外道召喚師なんだからー!」


あたしの言葉に、海賊達は凍り付いたような表情を浮かべながらあたしを見る。
マグナ達も困惑したような表情を隠せずにあたしを見た。
あっはっはっは、もう何でもオーライ!(謎)


「・・え・・?・・こいつらのボスを知ってるのか・・?」

「イエース!すっごく色黒でー・・もうその存在自体が<海の漢>だーって叫んでるもの!
暑苦しいったらないわね!」



もう逝け!って感じ!



海賊の一人があたしの胸倉を掴み、更に怒鳴り散らす。


「貴様・・!何でボスの事を・・!」

「あー五月蝿い」


あたしは不機嫌に表情を歪ませながら、海賊の男の頭にガシャン!と酒瓶の入った瓶をたたき付ける。
そしてくぐもった悲鳴を出し、流血しながら倒れた男の背中を踏みつけて、にっこりと笑った。

今までの鬱憤を晴らすように深呼吸をすると、言葉の羅列を男にぶつける。


「あたしに軽々しく触らないでくれる?あたしに触って良いのは美青年と美少年と美少女と
美女と美中年とナイス・ダンディ☆だけよ。あとこのあたしに向かって貴様ぁ?様と呼びな
さい、様と。じゃなきゃ埋めるわよ?千と●尋の神●しの某美少年風に言うなら“私の事
様と呼べ”よ。ドゥーユーアンダースターン?」

「・・・・さん?(汗)」

「うう・・何で俺がこんな目に・・(涙)」

「大体なんでこのあたしがあの変態相手に受けなわけ?!あたしは愛でる側強く希望なのよ!
そもそもアレほどの変態に纏わり付かれるなんてあたしには耐えられないわ!ビデオカメラが
ピンクって何?!カラーリングしてんじゃないわよ!ある意味怪し過ぎて悪寒が走るわ!!
それもこれもあんたのせいよーーーーーーーー!!!」

「そ、そんな無茶苦茶な言いがかりをつけないでくれよー・・!」

「こうなったらあんたを脱がせるわ!さぁ!脱げ!見たくないけど詫びとして脱げーーーー!!」

「ぎゃーーーーー!!ボス助けてーーーーー!(泣)」

「男だったら潔くしなさい、オラーーーーーーーーーー!!!!」


脱がせにかかるあたしをマグナは肩に担ぎ上げて、トリス達と共に走り去る。
ああ!またかい!!


「ちょっとマグナ!何するのよーーーーーーー!!!!」

「コレ以上ここにいたら乱闘にあるよ!さっさと帰るに限る!!」

「いやー!まだあの野郎を脱がしてないのにーー!!」

「ぬ、脱がさなくてもいいってば!それに2度とお酒飲んじゃだめだ!禁止!!(汗)」

「ケチーーーーー!!!」


ギャアギャアと言い合うあたしとマグナに、トリスはレシィに笑いかける。


「仲が良くていいよね♪」

「・・そ、そうですね・・・・(苦笑)」



こうしてあたし達はモーリンの道場に戻り、あたしはネスに延々と説教をさせられるハメになった。
おまけに頭痛が酷くて酷くて話なんて聞いてられなくて。
ネスの声と頭痛の二重の攻撃に苦しむのだった。



・・これが本当のダブルアタック・・・?






<<今日の格言>>


飲み過ぎに注意しましょう















Next


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*後書き*

第25話をお届けさせて頂きました。

前半がだいたいシリアスです。ルヴァイド、恋を自覚・・?(笑)
ですがレイムが出た時点でもうだめですね!あれはもうギャグにしかなりません!
そしてリューグの落ち込み理由はまた今度語られます。


ルヴァイドの独白の所はyukka様の詩をお借りして、ちょっと加えさせていただきました!
ありがとうです!yukka様!!
では書き加えていない詩はこちら↓

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「忘れろ」と言われた瞬間、頭が真っ白になった・・・

少しかすれた声がまだ耳に残る
泣きそうだった・・・
抱しめたかった・・・

何もかも忘れられるのか?
彼女の声、笑顔、言葉
思い出すだけであんなに優しくなれたのに
いまは少し痛い・・・

忘れられるハズがない
この心が、魂がそれを刻んでいるのだから

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■構想(いや妄想)5分で完成した詩です!(殴)
この前書いた「記憶」の兄弟詩みたいなものということで書いてます
ちにみにこれはルヴァイド視点ですv
ちょっと主人公に言われた事に混乱気味風味?(訳解らん)な感じの詩をかきたいなvとか
思ったのですが!書くほうの自分が混乱していたりして(笑)

・・やっぱり勢いで書くのはだめですね(遠目)

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コメントのほうもこちらに掲載をさせていただきました!
本当にありがとうございましたーーーー!!



2001,1,4アップ

2003.12.24修正