・・海の匂いがする



海の声が、波の音がする



・・ああ、この世界は



あたしの世界とは、まったく違うというわけじゃないね







第24夜







「・・・う・・ん?」


ザァン・・と流れる波の音で、マグナの意識は目を覚ました。
どうにか腕に力をこめて身体を起こし、ふらふらと立ち上がって見渡せば、
一面の青が視界を覆う。


(・・・・・・・海?何で、俺達・・こんなところで、寝て・・?)


思考回路が、ようやく働き出した。
そうだ、自分達はデグレア軍からどうにか逃げてゼラムを出て、無我夢中で逃げていた
ものだから、海が見えたところでようやく足を止めて・・そこで、皆して眠ってしまったのだ。


逃げおおせた、安心感で。


(・・ええと、取り合えずここは・・ファナン?だっけ??)


見渡せば、少し離れた場所に港町が見える。
自分にとっては初めての港町。
それはとても新鮮に映り、これからあの町に入るのかと思うと、わくわくしてたまらない。


「目ガ覚メタノカ?」


一瞬、誰の声がわからなかった。
あまりにも無感情な、機械的な・・人の声とは思えない声。
デグレア軍という考えが脳裏をかすめたが、敵意すら感じなかったことが不思議だった。


「誰だ!?」


剣を引き抜き、足元で眠るトリスを庇うようにしてそれに振り返る。
振り返って、剣を向けたその先には             


「ええと・・れ、レオルド?」


黒の機体。
人ではない、ロレイラルの産物である・・機械兵士。
リィンバウムでも滅多に見られないそれは、昨日のあの夜に・・仲間になっていた。


(多分、仲間なんだろうけど・・誰が召喚したんだろ?)


ルヴァイドと戦ったというリューグとアメルは、がリューグを庇って、ルヴァイドの剣に
殺されてしまいそうになった瞬間。
光もなく、音もなく、詠唱もなく、どこからともなく現れて、を助けたと言う。

・・そんな召喚が、あるというのだろうか?


「他ノ者モ、起コサナクテ良イノカ?」


そこでマグナはようやく、仲間達を思い出した。
まずはネスティとトリスを起こして、他の仲間も起こし、の側ですやすやと
眠っている      彼もに召喚されたようなことを言っていた        レシィと
いう名前の、メイトルパの亜人だという。


「レシィ、大丈夫か?」

「ふぇ・・?」


少しタレている大きな目が、開いた。
どこか弱弱しそうな印象を受けるのは、気のせいではない。
マグナを見上げた途端大きな目を最大に見開いて、今だ眠っているにしがみついた。


「わーーーーーん!僕達は食べても美味しくないですーーーーーーーーーぅ!!!」

「ええぇ!??(汗)」

「この人も食べちゃだめですーーーーー!いい香りがするけど絶対!絶対食べちゃ
だめですーーーーーーーーーーーー!!!!」

「え?え??い、いいかおり・・?!」


香りって、何だ?
から美味しそうな香りでもするということか??

そこまで考えて、”ああそういえば”とマグナはを見た。
彼女の側にいれば、ほんのわずかだが良い香りがする。
食べ物の匂いとか、そういうのじゃなくて。
・・それは自分にはない、甘い香り。


たまに落ち着かなくなる、モノ。


(・・女の子っていっても・・トリスで慣れてるって思ってたんだけど)



けれど、彼女だけが違う。


まだ知り合って間もないけれど、落ち着かなくなる。



側にいれば、安心するのに、けれど何故か緊張してしまうのだ




「と、取り合えず落ち着いて・・」

「うわーーーーーーーーん!!!」

「うるせーぞ羊ーーーーーーー!!!!!(怒)」




バルレルの怒鳴り声。
それに今だ眠っていた仲間達が、慌てて起き上がったのはいうまでもない。



















「・・ったく、何で俺がテメエを背負わなくちゃいけねぇんだよ」


賑わう港町に、そんな文句が呟かれた。
それに頬を引きつらせながらも、あたしはリューグに背負われてファナンの街を歩いていたりする。
っていうか、さっきから文句ばっか言われてハゲそうなんだけど!あたし!(怒)



バルレルの怒鳴り声で目が覚めたあたしは、何故か座り込んだまま動けなくなっていた。
足にも、どこにも怪我がないのに、立てろうとしても何度も座り込んでしまうのだ。

足に力が、まったく入らない。

・・・本当に、どうしてなんだろ?

そこで色々と話し合った結果。
レオルドに背負われて逃げてきたリューグが、あたしを背負う事になったのだ。
リューグはレオルドに背負われたまま逃げていたらしいので、大して疲れていないだろう
と(アメルとロッカに)判断されたせいらしい。
・・・その判断が、少しだけ恨めしいと思ったことは、あたしだけの秘密である。


あたしはリューグの隣をとてとてと歩いているレシィに顔を向けて、礼を言う。


「それよりも・・レシィ、背負ってきてくれてありがとね」

「あ、・・え、ええと・・・」


レシィが、恥ずかしそうに頬を染めて俯いた。(ギャー、可愛いー!)

最初、砂浜で目を覚ました時は、自分がどうして砂浜で倒れているのかわからなかった。
そこでレシィ(どうやらあたしが召喚したらしい?んだけど・・)がトリス達の匂いを追って、気絶して
しまったあたしを皆のところまで背負ってきてくれたらしい。

あたしのほうが身長高いのに、その苦労を考えると感謝せずにはいられない。
もう一度、彼ににっこり笑って礼を言う。


「本当、ありがとうね」

「は、ははははい・・」

「こんな小せぇナリしててよくこの女を運べたな。途中で何回か潰れたんじゃねえか?」

「リューグ!」


我慢できずにベシっ!と一発、リューグの後頭部を殴ってしまった。
殴った後で一瞬”ああやばい落とされる?!”と胸中に叫んだけれど、リューグはあたしを
落とすことなく”何しやがる?!”と怒鳴るだけで終わる。
ち、ちょっとだけ優しくなった気が・・!人間変わる時は変わるんだね!


「ほらほら、。もう少しの我慢だからさっ」


金色の、長い髪を風にあおらせながら、先頭を歩いていた彼女は振り向いた。
黒いロングコートに、肩を露にした衣装、瞳は優しい色を見せている。

彼女の名前は、モーリン。

バルレルの怒鳴り声に皆が目を覚ましたあとで、泊まる場所もなかったあたし達を
助けてくれた、港町・ファナン出身の女の子。
言動の端々に少しだけ男っぽいところもあるのだけれど、とても優しくて、無邪気に
笑える可愛い女の子だ。

あたし達は、彼女が住んでいるという道場に向かっていた。
彼女のお父さんが道場を営んでいた師範で、けれどそのお父さんが放浪癖のある人だったのか、
モーリンを置いて旅に出てしまったらしい。


「さぁ!ここがあたいの家さ!」

「ほぅ、道場か」

「広ーい、大きーい!」

ネスは感心して見上げて、ミニスははしゃぎながら中の門をくぐる。
やっぱりこういう作りは珍しいんだろうか、とあたしは首を傾げながらも一緒に見上げた。

しばらく眺めていて、リューグに背負われている事を思い出す。
あれだけブツブツと文句を言っていたのだから、よっぽど重かったに違いない。
道場にも着いたし、とあたしは慌ててリューグに降ろすように言った。


「リューグもういいよ、降ろしてっ」

「・・あのなぁ・・テメエ、ちゃんと歩けるのかよ?」

「失礼ね!ちゃんと歩けるわよ!」


あたしはリューグの背から降ろしてもらう。
足を地につけて、自分の力で立ち上がろうとした途端。


ガクンっ


「わっ?!(汗)」


足が、ガクンっと曲がった。
だけどあたしは再びリューグの背にがしっ!としがみ付いて、無様に座り込む事をなんとか避けた。
ふー、危ない危ない・・・。(汗)


「・・お、オイっ」


しがみつかれたリューグが、何故か慌てていた。
ああ、いきなりしがみつかれて驚いたのね。


「ご、ごめん・・でも、何で立てないんだろ?」


ガクガクと足が震えて、立つ事すらままならない。
自分の足が言う事を聞かないみたいで、変な気分になる。


「・・召喚術の使い過ぎかも知れないな」


ポツリとネスが漏らした言葉に、リューグにしがみ付きながらあたしは目を見開いた。
召喚術??


「召喚術の使い過ぎいぃ?あたしはただの一般人です、パンピーですよ!」

「・・ぱんぴーって何だよ・・テメエ・・・」

「(無視)それにあたしから魔力なんて感じないーって言ってたのはネスじゃない?」

「それはそうだが・・」


そこでネスは、レシィとレオルドを見た。
あたしはそこではっと気がついて、彼らがここにいることの意味を、初めて考えた。



あたしが、召喚術を・・?



「はいはーい!玄関で突っ立ってないで、話は後にしなよ!」


モーリンは笑いながらあたしの肩を支え、引っ張りながらネス達から離れる。


をどこへ・・」

「潮風に当たったから、身体を洗わなくちゃ気持ちが悪いだろ?」


そこであたしは自分の足をぺたっと触ってみた。
ヒー!ちょっとベタベタしてるーーー!!!(汗)


「それとも・・あんた達、見たいのかい?」

『なっ?!』


ニヤリと笑うモーリンに、一斉に顔を朱に染めて慌てるリューグ達。(一部除くが)
けれどフォルテはニヤつきながら、うんうんと大きく頷いた。
・・って、あんた本命がいるでしょーが・・・(遠目)


「俺は見たいねぇ!だってよー、最近戦ってばっかりで潤いというものがだなぁ・・」


メゴォっ!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・ロッカの拳がうなり、フォルテはズゥンっと、一発で地に沈む。
・・・・・・・打撃戦の方が強そうね、ロッカ・・・(遠目)


「ははは、嫌だなフォルテさん。同じ男として恥ずかしいですよ(笑顔)」


痙攣するフォルテをにこやかに見下ろすロッカに、あたしは寒気を覚えてしまった。(ってか、怖ぇよ)
あたしははっとして、チラリとケイナを見る。

ケイナも殴ろうとしたらしいけど、無糖ロッカの出現に唖然として固まっていた。
トリスは乾いた笑いを浮かべながらケイナを引っ張り、あたしもモーリンに支えられながら
奥へ案内される。

あーもー、ここは本当に恐ろしいおもしろい世界だわねー・・・(遠目)

















「あー、気持ち良かったー!」

「ベトベトして気持ち悪かったもんねー、あ・・ハサハ。髪が濡れてるよ」


あたしはハサハの髪に付いている水気を拭いてやる。
髪を傷めないように、もちろん優しくだ。

身体を洗っている間に足の力も戻ったあたしは、モーリンが用意してくれた服に手を伸ばす。


「あれ?あたしの服がない・・・?」

「あたし達のはありますよね・・どうしてでしょうか?」


ま、まさか変態が・・・!?と困惑してるあたし達の前に、モーリンが現れて豪快に笑った。
手には・・更に汚れを増したあたしの服。
・・いや、洗濯したんじゃなかったっけ・・・?(汗)


「あはは!ごめんごめん!あんたの服は洗濯をしてたんだけど・・」


脱衣所の向こうから、レシィの泣き声が聞こえた。
あー・・・何となく予想がついたわ・・


「ごめんなさーーい!ご主人様の服を落としてしまいましたーーーーー!」


やっぱり・・・って、あたしがやっぱりご主人様なの?!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


いい響き!!(コラ)

もっと言って!マイ護衛獣ーーーーー!!!!(萌え)


「ごめんなさいごめんなさい」と謝るレシィの声に笑ってたら、突然ドガッという音が聞こえて、
次に怒鳴り声があたしの耳に入ってきた。


「おいてめえ!さっきからピーピーうるせぇんだよ!」

「うわーん!ごめんなさいバルレルくん〜」

「ダーーーーーー!うるせえっつってんだろーーーーーー!!!(怒)」



バルレルー、マジギレしてんじゃないわよーって、でも何かいい光景・・・(うっとり)



「・・とまぁ・・、理由はこんなんだけど・・取り合えずこれでも着ておきなよ」


モーリンはあたしに白いショートパンツとノースリーブ型の上着を持ってきてくれた。
あたしは取り合えずそれに着替えて、脱衣所から出ると一目散にレシィに抱き付いた。


「レシィ超可愛いーーーーーーーーーーーー!!!」

「う、うわわわわ・・?!ご主人様???!?!?」

「(ああ!本気でいい響き!!)可愛いよー!可愛いよー!もう大好きーーーーー!!!」


ぎゅうううううっとレシィに抱き付いているあたしの背中に、誰かが抱き付いた。
ん?と振り向くとハサハがあたしの腰に抱き付いて離さない。


「ハサハ?」

「・・・・(ぎゅう)」

「ハサハ?どうしたんだ?」


マグナに呼びかけられても、ハサハはぎゅうっとあたしにしがみついて離れない。
ああ儚げな感じが超いい感じ!耳がピクピクして可愛いよー!


「おねえちゃん・・ハサハもぎゅってしてほしい・・」

「イエスイエス!イッツオーライ!!」


あたしが手を広げると、ハサハもあたしの首にぎゅっと抱き付いてきた。
片手にはレシィ、片手にはハサハ。
・・これはもうハーレムと言ってもいいわよねー・・・あ、鼻血でそう(危険)


「今なら死んでもいいかも・・・(至極幸福)」

「・・・(?!)と、取り合えずこの後のことを考えよう・・モーリン、キミには感謝するが」


そこで、あたしはふっと我に返った。
足首に手を添えて道場に座っているネスの姿に、思い出したのだ。


「あーそうだ、ネス!あんた足怪我してるんでしょ?」

「?!な・・そんな事は・・・」

「おや、あんた人の<<氣>>が見えるのかい?」


”へ?<<氣>>?”と、あたしは一瞬、きょとんとした。
あああああ!そういえば!ここはモーリンの出番だったのにあたしの馬鹿ーーーーーーーーぁ!!!(滝汗)


もはや胸の内は、後悔の嵐である。


「み、見えないけど何か・・足を引きずってるように見えたから怪我してるのかなって思って・・・(汗)」


苦しそうにいい訳をするあたしに、全員の視線が突き刺さる。
うっわー、今なら視線で死ねるかも。

微妙に焦るあたしを、モーリンはじっと見つめてきたが、次には苦笑しながら顔を離した。


「・・ふーーん、そっかぁ・・それじゃ話は早いね。皆も疲れているだろうし、しばらくここにいなよ」

「え?いいの?!」


トリスはモーリンの手を握って、素直に喜んだ。
モーリンも素直に喜ばれるその姿に、少しだけ照れくさそうに微笑んでいる。

っていうか・・貴女も抱きしめたいです、トリスさん・・・(切ないため息)
って!あたしまであの変態化してどーすんのよ!(汗)


ぱぱっと頭の中に浮かんだ妄想を消して、あたしはモーリンに微笑んだ。


「お世話になりまーす!よろしくモーリン!!」

「な・・!キミまで・・」

「怪我人は大人しくしておきなさい、逃げる事も大事だけど・・ネスの身体も大事なんだからね?」


あたしは笑って道場の床に座っているネスの頭を、ぽむぽむと撫でる。
ネスはネスであたしの行動に呆然とした後、大きなため息をついた。


「・・まったく・・キミは・・」

「それに・・貴方一人の身体じゃないのよ!(まだ愛でてないし!)」

「・・(セリフ間違ってないか?)の言う通りだよ、買い物は俺達にまかせて、
ネスは休んでおきなよ。な?

「イエス!それじゃ・・まずは今後の事を話し合いましょ!」


そうしてこうして、あたし達は今後の計画を立てるため話し合った。
取り合えず、当初の目的・・アメルのお祖母さんがいる村へ向かう事にしたのだ。
ここまではちゃんとゲーム通りのシナリオなので、あたしはそっと安堵のため息を吐く。



マジで心臓に悪いなー・・



色々あると、あっという間に日は沈んでしまった。
あたしはモーリンに割り当てられた部屋のベッドで、ぼんやりと夕食が整うのを待った。
そんなあたしの側には、レオルド。(レシィはお手伝いに行った)
レオルドとレシィは取り合えず、あたしの護衛獣ということになったらしい。
・・ので、部屋も自然に一緒になる。


「あー・・動けないってツライなぁ」

「アルジ殿、私ガオ連レシマショウカ?」

「・・れ、レオルドは背が高いからなー・・って、レオルドレオルド。
ロレイラルに融機人っていう種族がいるって事知ってる?」

「融機人デスカ?エエ・・イマシタ」

「え?本当?!」

「彼ラハろれいらるノ大戦ガ始マッタ時、りぃんばうむに亡命シタト
記憶ガアリマス・・融機人ガ何カ?」


あたしはしばらく考え込んで、レオルドにニンマリと笑って抱き付いた。
おおお!すげぇ!久しぶりに本物のロボを触ったわ!(歓喜)


「何でもないの!ただ、そういう種族が居るって聞いたことがあるから・・(嘘です)ありがと」

「オ役ニ立テレバ光栄デス」

「(気分はもう女王様だわ・・)あ、こちらこそどうも・・」


思わず礼を言ってしまうこの礼儀正しさは並じゃないと思う。
・・本当にあたしが召喚したんだなって、改めて実感が湧いてくる。


「・・頼もしいなぁ・・レオルド・・」

「アリガトウゴザイマス」


機械的。
無感情。
それに加えて大きくて、あたしの世界ではなかったもの。

けれどあたしの言葉に反応して、返してくれて。

それが何だかおかしくて、あたしは笑って彼の腕を撫でた。
その腕に、ゼルフィルドを思い出して・・ルヴァイド達も、思い出す。



あたしは笑ってる

笑えてる

でもルヴァイド達はどうなんだろう

状態がまったくわからない

・・・会いたいなって思う事はダメなのかな?

会いに、行っちゃダメかな?


・・ダメだよねー・・やっぱり



あたしははぁーとため息を付いて、ベッドの窓から空を見上げた。
空は満月で、空気が澄んでいるのか見ているだけで清々しくなって、気持ち良い。


(・・そーいや、アグラ爺さんを探してやらなくちゃいけないんだよね?)


ロッカもリューグも残っちゃったから、アグラ爺さんの行方を知るものはいない。
もしかしたら爺さん泣いてるんじゃないでしょうね・・?(んなわけあるか)
号泣してたりしてー・・(笑)

・・あたしはそこまで考えて、心臓を抑えた。



号泣するアグラ爺さん



頭の中では“うおおおおおおおおおおおーーーーーん!”と泣き叫ぶ恐ろしい素敵な
アグラ爺さんが思い浮かんできたのだ。
あああああ、何だか胃が痛くなった・・・!!(怖いよー!)

ちょっと見たい気がするけど、すっげぇ嫌だと拒否してる自分もいるわ・・(遠目)


「・・うう・・頃合を見て話すしかなさそうね・・・(胃痛薬欲しいかも)」

「アルジ殿、大丈夫デスカ?」

「ああレオルド・・貴方はなんて優しいのかしら・・!」



あたしの周りには胃を痛めさせるような野郎ばっかりで嫌になっちゃうワ!



神に祈るような仕草をするあたしを見て、レオルドは妙な機械音を出したかと思うと
彼のドリルが激しい音をして回った。
ひぃ!ジェ●ソン???!(汗)


「貴女ノ胃ヲ痛メサセル者ハ私ガ排除致シマス(ギュイーーーン!)」


そう言い放つとレオルドはガションガションと部屋から出て行こうとする。(え?!マジ!?)
あたしは慌てて呼びとめた。


「あああああああああああ!!!いい!!別にしなくていいからそのドリルストップ!
仲間同士の殺し合いはだめーーーーーー!!」

「シカシ・・」

「あ、あはははは!冗談!ジョーク!だから本気に取っちゃだめよー?
本当に嫌になる野郎が現れたら、そのドリルで貫いてもオールオッケーだから、
その時にお願いするわ、ね?(滝汗)」

「了解」


あたしはレオルドの前では冗談を言うのをやめようと本気で誓ったのだった。



・・ってか、これで死人が出たらシャレにならんっちゅーねん・・・・



















「あれ?リューグとロッカは??」

「・・喧嘩して道場の壁に穴開けてモーリンとアメルに叱られて修理中」


スパゲッティを食べながら哀れむように言い放つマグナに、あたしは礼を言って
彼の隣りに座ると目の前のアメルはにこにこと笑って食べていた。


「ど、どしたの?アメル・・(汗)」

「ふふ・・あの二人は喧嘩ばっかりしてるけど、最近は一緒に居る事が多くて嬉しいんです。
・・レルムの村に住んでいた頃は言葉を交わす事すら本当に少なかったから・・」


あたしはそういえば、とレルムの村でお世話になっていた頃を思い出す。
着替えようとしていたら喧嘩している場面に居合わせて、大変だったなーと苦笑しながら
アメルに笑いかけた。


「あ、でも夕食抜きはツライんじゃない?」

「・・そうだ、さん歩けますか?」

「はぇ?い、一応歩けるけど・・・」


アメルは更に輝かせたような笑顔になって、ご飯が乗ったお盆を手渡した。


「二人に持って行ってあげてくれませんか?」

「・・あたしが?アメルが持って行った方が喜ぶと思うけど」

「ううん、あの二人はね・・さんが大好きなんですよ」


ブハッ!!


ネスティ、マグナが水を噴く。
けれどアメルはそんな二人を無視して、相変わらずにっこりと笑いながらも話を続けた。


「だってさんが居てくれると、あの二人すごく柔らかい雰囲気になってるんですよ?
あたしが居るよりさんが居てくれた方が、あの二人らしく見えたから・・」

「アメル・・?」

さんの方が・・すごく聖女らしいってあたしは思うな・・」


















さんの方が・・すごく聖女らしいってあたしは思うな・・”



「ね、どー思う?二人とも」

「どうって・・・(トントン)」

「俺らに聞くなよ・・・(ギコギコ)」


あたしは夕食後、レオルドとレシィと一緒に問題を起こした双子に夕食を届けてあげて、
そしてさっきの出来事を話した。


「あたしはアメルの方がずーっと聖女らしいって思うわよ?女の子らしくて、清楚で可愛い。
しかも料理上手と来た!これで萌えない男はいないと思うのよ。ね、萌えるでしょ?」

「・・も、燃える??(トントン)」

「燃えてどーすんだよ・・(ギコギコ)」

「ノンノン、漢字が違うわよ。ってか、さっきからトントンギコギコと音が五月蝿いんだけど?」


あたしは呆れた表情で、さっきからトントンと釘を打ち、ギコギコとノコギリで木材を切っていく双子を見た。
それにリューグがむっとした表情であたしを見返して。


「しょうがねえだろ、これを今日中に直さねえと俺達はアメルに何言われるかわかった
もんじゃねえぜ・・・」


リューグを身を震わせながら、ギコギコと木材を切る。
ロッカはロッカで無言で金槌で釘を打っている。
・・アメルさん、貴女何者ですか・・・?(天使だけど)


「ま、まぁ・・喧嘩するほうも悪いし・・頑張って直してねー」


乾いた笑いを浮かべるあたしに、ロッカは釘を打ちながら言葉を繋ぐ。


「・・・さん」

「んー?何?」


振り帰ると、ロッカは何かを言いたそう口を開けるがまた俯いて。
次には儚げに笑った。

「・・あ、と・・その。・・・・・・・・夕食、ありがとうございました」

「・・?う、うん・・・」


黙ったロッカの様子に、あたしは何か言いたそうに見えて何だか気になった。
何か・・相談したそうな、そんな感じがして。


「ロッカ」

「?」

「相談したい事とか、悩みがあるんだったらいつでも言ってね」


あたしは笑って、彼に言ってやった。
それにロッカは不思議そうな表情であたしを見て。


「悩み、解決は出来ないかもしれないけど・・聞いてあげる事は出来るから」


ロッカの悩み、何だろう?
けれど今はまだ、踏み込んじゃ行けない気もして、こういう言葉しか言えなかった。
まだ、ちゃんと解かってないから。

ロッカはポカンとしてあたしを見下ろすが、次の瞬間には顔を俯かせた。
何となく、耳まで赤いような気がする。


「・・?」

「あ・・あの・・その・・」


ロッカは変に固まったような動きをしながら、慌てて走って向こうへ行ってしまった。
あたしはリューグを見ると、リューグは我関せずと言った様に無視してギコギコ切り続けている。
ちょっとちょっと!ロッカ乱心?!(汗)


「ろ、ロッカ・・何処行くのー?」


しかしロッカは答えずに、あたし達の前から姿を消してしまって。
・・・何なのさ・・・?

あたしはぼんやりロッカを見送り、レシィもオロオロと、あたしとロッカが去って行った
方向を見比べて首を傾げた。


「ど、どうしたんでしょう・・ロッカさん」

「・・さ、さぁ・・?」

「・・嬉しかったんじゃねぇの?」


ギコギコと木材を切っていくリューグの言葉に、あたし達はまた首を傾げた。


「・・嬉しかった?何が?」

「・・俺が知るかよ、馬鹿兄貴じゃねえんだからな」

「そりゃ・・そうだけど・・・」

「・・おい、ちょっとこっち来い」

「?」


不審そうな表情をしながらも素直にリューグの前に立って、しゃがんで座り込む。
リューグは顔を近づけて、じっとあたしの顔を見つめて。
大きなため息を吐いた。



うわ、何さこの反応



「何よ、そのため息」

「・・テメエ、つくづく変な女だよな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」




















リューグは心底、深いため息を吐く。
心の底から、本当に心の底から。
生きて来てこんなに深いため息を吐いたことはないと思えるほどの、深いため息。



本当に変だ

目の前にいるコイツが

コイツの目の前にいる自分が

変だ

妙に、安心する

ただそこに居るだけで、安心する

そこに居てくれるだけで



リューグは半眼になりながらの頭をペシペシ叩いて、更にまたため息を吐く。
も叩かれて“訳解からん”といったような表情をさせて、不機嫌な表情をさせた。


「ちょっと、何すんのよっ」

「・・っとーーーーに、変な女だな」

「は?それって褒めてるの?」

「一応な」

「・・あたしには喧嘩売ってるようにしか聞こえませんけど?(怒)」


怒った表情から、すぐに笑った表情に変わって。
リューグは思わず目を逸らした。



変な、女



「でもま、一応褒め言葉として取っててあげる。そろそろ眠いし、お先に寝るわ」

「・・お、おう///(ギコギコギコギコ)」

「それ以上切らなくていいんじゃないの?自然破壊に近いわよー」

「う、うるせえよ!テメエこそとっとと寝ろ!明日早いんだからな!!」

「・・そんな言い方しなくったって・・あーはいはい、それじゃロッカによろしく。
おやすみ!!レシィ、レオルド・・行こう!!!」


レオルドとレシィを連れて部屋に戻るを見送ると、リューグはノコギリを放り出して
ドカッと地面に座り込んだ。


「・・ったく、俺も何やってんだか・・・」


頭を掻きながら、リューグは切った材木を眺めてうめいた。



・・・やべぇ、木、切り過ぎた・・・(汗)



明日の朝飯食えるのか・・?と考えながら、リューグが突っ立っているとロッカが戻って来て。
二人は一晩中、この木の処理に頭を悩ませるのであった・・・。























部屋に戻ったあたしはまた、別の問題に頭を抱えていた。


「それじゃ、どうやって寝ようかな?」



まっさか川の字で寝るわけにもいかないしなー・・



「アルジ殿、私ハ睡眠ヲ取ラクテモ大丈夫デス」

「あ、僕は・・・・寝なくちゃいけないんです・・ごめんなさい(><)」

「あはは、いいのよ、一緒に寝よう!(嬉々)」


半泣きなレシィの背中をさすってやりながら、あたし達はベッドに潜り込む。


「それじゃ、おやすみー、レオルド、レシィ」

「オ休ミナサイマセ」

「お、おやすみなさい」





こうしてあたしは目を閉じて、深い眠りの闇に意識を手放した。
耳に、ファナンの海の波の音を聞きながら。
隣りに、側に、不思議と安心できる存在を感じながら。






深く 深く








NEXT




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*後書き*

第24話をお届けさせて頂きました。

レシィとレオルドの口調がよくわからないままです。
どうなってんだろう・・ほとんどバルレルくらいしか使っていなかった馬鹿者です、うわぁん!(泣)

モーリンは好きキャラ入ってます。
一時期リュトリからリュモリに入ってたくらいです。
そういえばネストリよりもリュトリだったなぁ・・。

バルレルVSレシィはかなり好きです。ほのぼの出来る・・!

それではここまで読んでくださってありがとうございました!

2001.12.30

2003.12.20修正