快晴だった空は消え、独特の匂いを漂わせる雨がリィンバウムの聖王都領域に降り注いだ。
それは乾いた大地に潤いを与え、茂る木々を甦らせる恵みの雨。




帰れない




雨の音をどこか遠くに聴きながら、その言葉が浮かんだ。
それはやはり、あたしにとっては大きいダメージ。




帰れない




どこかで、帰れると思っていたのだろう。
けれど、帰れないと決定付けられ・・それは終わって。
ここにいること事態が、怖くなってきた。





時たま見える、不思議な力



あの訳が解からない力に、飲み込まれることとかあるのだろうか?





進むべき道の先には何もない、ただの暗闇が広がっていて。
足が竦んで動けないようだ。
・・聖女で、狙われ続けているアメル達はこの道を、どんな気持ちで進んだのかな?











第19夜












雨音が、心地よい。


重たい瞼を必死に起こして、あたしの視界は木で作られた屋根を映した。
それは、あたしの世界の作りとほとんど同じで。
懐かしくて、あたしは思わず涙を零した。



違う

違うの

ここはあたしの世界じゃない

どんなに似ていても、どんなに同じ空気でも

友達も、家族も存在しない

ゲームの世界なんだから



「・・っ・・」


あたしは布団に顔を埋めた。
溢れ出る涙が頬と枕を濡らして、髪が頬に張り付く。
妙な疲れが身体中を支配して、更にあたしを泣かせた。



帰りたい



ふと、近くに水の入った桶と綺麗に畳まれている元・イオスの服がある事に気付いた。
あたしは混乱した頭を何とか整頓して、ここに来た経路を思い出す。


(・・何でこの家に来たんだろう・・?)


その前に、ここは誰の家なんだろうか?と、疑問が浮かび上がる。

和風な家。

それはシルターンの者の家と考えて間違いないだろう。
ん?シルターン???
あたしは次にはサッと顔を青くして、肩を震わせながら呟いた。


「・・まさか・・ここはサモン2女性ゲーマーのハートをがっちりチャッチし、小
説では“鬼畜性があること希望!寧ろあれ!!”と大きな支持率を誇る
かの有名な・・(滝汗)」

「ああ、気が付きましたか?」

                !!!!???!?(声にならない叫び)」


あたしの目の前で緑の湯のみを持って笑顔で立っているその人は。
細い目をしたにこにこ笑顔、艶やかな、ウェーブのかかってない長い黒髪。
あたしの世界の、昔の人がよく着ていた着物と似た服装。
背の高い、落ち着いた雰囲気を出した男の人。
・・素晴らしく鼻が高いこの人は・・・?!


「驚かせてしまったようですね?申し訳ありません」


彼は笑いながら、うつ伏せたまま動けないあたしの肩を掴んで
身体を抱き起こす。(ぎゃー!髪が!)そして再びにこやかな笑顔を見せた。


「私は蕎麦屋を運営している“あかなべ”の店主、シオンといいます。
貴女は店前で倒れていたので、私が保護しました」


“保護って・・あたしは珍獣かよ!”とツッコミながら、あたしは引きつった笑いを返した。
なんか異様なオーラを感じるのよ!!?(怖っ)
シオンはニコリとまた笑って、あたしの頬に触れた。


「・・・泣いて、いたのですか?」

「・・(うわー!綺麗な指ー!)あ、あはは・・でも、もう大丈夫だから・・」


乾いた笑いをするあたしに、シオンの瞳は開かれた。
黒い色の、細い瞳に思わずドキっとしてしまう。


「我慢をするのはよしなさい」

「・・?」

「誰にだって、泣いてしまいたい時があります、貴女が泣くのは今この時です」

「・・・」


シオンはあたしの頭を撫でて、顔を覗き込んできた。


「だから泣いてしまいなさい、・・誰も貴女を責めませんから」

「・・・うっ・・・」


あたしはシオンにぎゅっとしがみついて、泣いた。
情けなく、大声で、小さい子供のように泣いた。
シオンの服に涙が滲んで黒い点を残す。




ねぇ、あたしって何?

ここにいると、いつかおかしくなってしまいそうだ

あたしの中にある“何か”は、誰かを幸せに出来るの?




(・・帰りたい・・)


何もない、平和な世界


そこであたしがおかしくなることなんて、ちっともなかった


(・・死にたくない、消えたくない)



不幸とか、悲しい気持ちを運んでくる力なら消えてしまいたいと思う

あたしの存在を、消してしまいたいと思う



でも、本当は嫌



消えたくない

生きていたい

笑って、泣いて、怒って、迷って、嫉妬して、傷ついて

生きていきたい


この際もう、元の世界に帰れなくていいから



・・ただ、生きたい





シオンはあたしに何も言わなかった。
ただ、頭を撫でながら黙って側に居てくれた。
泣いているあたしの耳には、あたしの嗚咽と雨の音。

それが妙に心地よかった。

あたしはずっとずっと泣き続け、今までのモノを全部涙で流した        ・・・・。




















一方、ゼラムから少し離れた所にあるデグレアの駐屯地では一人の青年がいた。
多少雨に打たれたのか、金の髪は雨に濡れて艶やかに光り、
白い肌にもまた別の潤いが宿る。

だが青年・・イオスは自分専用のテントの入り口から水を降らせる天空を見上げていた。


「・・雨・・か」


ぼんやりとした思考の中、イオスは昔を思い出していた。
自分の故郷の為、戦っていた自分。
幾度となく、血で汚れてしまった自分の手。
常に勝利を確信していたあの時の愚かな心。


(・・僕は、変わってしまったのだろうか?)


そんな疑問が頭を掠める。
ルヴァイドに出会い、敗北し、復讐を誓うと共に尊敬をした自分。
信じられる戦友と出会い、多くの者を見て、多くの声を聞いた自分。
全て過去の自分とは違うかった。


(・・変わった。デグレアに来て・・昔の自分は消えてしまった)


良かったと、思う。
そう、思えるようになった。
見てくれた人が、出来たから。


「・・


血塗られた道で二つの存在と出会え、価値観が変わった。
血に汚れていない一つの小さな存在で、全てが変わった。

イオスは空を仰ぎ、目を閉じた。



雨は、不思議だ

気持ちを落ち着かせ、忘れていた何かを思い出させてくれる

彼女も不思議だ

あまり笑わなかった自分を、笑顔にさせる

安らいだ気持ちにさせる

逆に心配したり、困らせられる所もある

だけど、その分色々な自分が見えてくる

昔の自分には決してなかった



イオスは苦笑した。
そして願った。



今の、在りのままの自分でいたい、と




・・雨は相変わらず降っていて、イオスは再び空を見上げた。
この雨が、何故か今日の雨は涙を思わせる。




「・・まるで、誰か泣いているみたいだ」



















取り合えずイオスは書類を持ち、走ってルヴァイドがいるテントへ向かった。
そして入り口を捲ろうとした時、ルヴァイドの怒声が響き渡った。


「どういう事だ!?レイム!」


“レイム”という名前でイオスは眉を潜め、テントへ入るとそこには。


「・・・レイム」

「ああ、こんにちは、イオス」


竪琴を持ち、穏やかな笑みを浮かべながらレイムはイオスに挨拶した。
その背後には彼の部下、キュラー、ガレアノ、ビーニャも立っていて、イオスは更に
不機嫌そうな表情をさせる。


「・・・」

「ちょうど良かった、聖女捕獲の任務を貴方も受けているのでガレアノに呼びに行かせようかと
思いましたよ・・。」


今度はガレアノが嫌そうな表情をしたが、スグに表情を変える。
上司の命令には逆らえないのだから、文句など言えはしないのだろう。
ただ、黙ってルヴァイド達に視線を移した。


「ルヴァイド様、また何か命令が・・?」

「・・・」


ルヴァイドの横顔に、イオスは背筋を凍らせた。
溢れそうな怒りを必死に押し殺している彼の、その圧力に恐怖してしまったのだ。
しかしレイムはニコリと微笑んで、用件を述べた。


「貴方達に、追加任務です。これは私の個人的な希望なのですが・・アルミネの森の調査
にも関る事だと睨んでいることなので元老院議会にもちゃんと承諾は頂いています」

「・・追加?」

「ええ」


レイムはスッと目を細めて、再び笑った。


「聖女達一行に混ざっている<>と言う人物を、聖女と共に捕らえて来て欲しいのです」

「・・!!??!」


イオスははっと息を呑む。
ルヴァイドは怒りを抑えながらも、レイムの願いに意見をする。


「・・レイムよ、いくら元老院議会が許したとしても・・その<>と言う者に一体何の役割がある?」


それはイオスもゼルフィルドも同じ疑問だった。
ただの少女に一体何の力があるというのか、どこに目をつけたのか。

ルヴァイドの質問にレイムはふっと影を落としながら、薄く笑った。


「・・いえね、不思議な力の“何か”を感じるのですよ」




嘘ではない




不思議な、強力な力




秘められた、力




それを知っているだけだ




一目見た時は一瞬、わからなかった




けれどあの怯えよう




そしてあの悪魔と、シルターンの護衛獣




それが自分の中で、確信を生んだ




ようやく




ようやく、見つけた



あの者の              生まれ変わり




今度こそ、逃がさない




「嫌だとは、言わせませんよ?」



必ず、手に入れてみせる



ルヴァイドはレイムの様子がいつもと違う事に気が付いた。
いつも何を考えているのかわからないレイム。
まるで隠れていた何かが、顔を覗かせるように彼の中に垣間見えた気がした。
得体の知れないその雰囲気に、少し怯んでしまった。


(だが)


ルヴァイドはきつく、レイムを見返した。
を、守る為に。


「何かとは、何なのだ?」

「・・貴方が知る必要などありませんよ」


それでもルヴァイドは承諾出来なかった。
いや、したくなかった。



彼に渡せば、必ずあの笑顔が消える

彼女の安心出来る居場所を、奪う資格など彼にはないのだ

奪う資格など、誰にも渡してなるものか



「それにその力はこれから解明して行くつもりです・・ルヴァイド」

「・・・」

「元老院議会の命令は絶対・・そうでしょう?」

『!』


レイムはルヴァイド達の表情を見て、妖しく笑った。
彼らを唯一服従させる事が出来る“元老院議会”。
そんな者達はとっくの昔に死んでいるとも知らないで、従って剣を振るう彼ら。


(・・滑稽な事ですね・・)



おかしくて、おかしくて、しかたがない

滑稽で、愚かな人間



レイムは黙った彼らにもう1度言い放った。


「黒騎士ルヴァイド・イオス・ゼルフィルド及び黒の旅団の者達に、鍵となる聖女と<>の捕獲を
元老院議会の代理人の名において、要請します」


それだけ言うとレイムは銀の髪をなびかせながら、その場から姿を消した。


「ルヴァイドよ、あの方の御命令を逆らう事などしないほうが良いぞ?」

「キャハハハ!そーそー、別にいーじゃない♪アンタ達は今まで何人も殺してきたしぃー・・」

「たかが少女一人に、何をそんなに迷う必要があるのですか?クックック・・」


笑うガレアノ達にイオスとゼルフィルドは抗議しようとしたが、ルヴァイドはそれを制する。


「迷ってなどいない」



“ルヴァイド・・”



「・・お前達に言われなくとも」



“ルヴァイド達が元気で良かったよ、安心した。”



「・・言われぬとも・・」



“・・ごめんね、ありがとう・・”



ルヴァイドは、そこまで言うと俯いた。




苦しい



居場所を壊す手伝いなどしたくはない



彼女の信頼を裏切りたくないのに



迷っている自分がいる



汚名を返上出来る機会かも知れないが



こんな思いのままだと、自分が後悔してしまう



後悔をしない生き方を、信じた道を歩くつもりだと言うのに



深い後悔と、悲しみと、悔しさが残ってしまう




俯くルヴァイドを愉快そうに笑いながら、キュラーは一歩前に出た。
そしてイオス達にも視線を向ける。


「・・まぁ、いいでしょう。私達も協力くらいはして差し上げます。
私達にとっては、あの方の命令は絶対なので・・異論はありませんね?」

「・・帰れ、僕達だけで充分だ」


イオスの睨みもあっさりと受けとめ、キュラーはまた笑った。


「クックック・・いいでしょう、少しの間なら手を出さずにいて差し上げます。
私達も貴方がたと同じく別の任務を引き受けているのでね」

「ナンダト?」

「ガレアノ、ビーニャ。・・・戻りましょう」

「ハーイ♪」

「カーッカッカッカ!しくじらぬようにするんだな!」


最後の最後まで笑って、ガレアノ達は姿を消した。
残されたルヴァイド達は、ただ言いようもない思いに呆然と立ち尽くしただけだった・・。















「キュラーよ」

「何ですか?ガレアノ」

「・・レイム様は何を考えておられるのだ?力もなにもない人間の小娘を捕獲する為
とは言え、わざわざあやつらの元まで出向くなど・・」


その疑問にはキュラーは何も答えなかった。
いや、答えられなかった。


「・・私にも、判断を付けかねます。ですが・・レイム様も何かお考えがあることなのだと、
私は思いますよ・・・」



だが、あそこまであの方を惹き付けたその存在は興味がある

一体、どんな姿形をして、どんな力を秘めているのか

興味はあるのだ



「・・1度、自分達で調べに行った方がよさそうですね・・・」

「それじゃーさ、今度レイム様の後をコッソリ付いていっちゃえば?
そしたら顔もわかるし?」

「・・そうだな・・、行って見るか・・・」


こうしてガレアノ達は明日あたりにでも行こうと計画を練り、館に戻って行った。
そして彼らは上司の意外な一面に涙し、胃を痛める事になるとはまだ知らなかった・・・。



















「・・あー、気持ち良いー・・・(悦)」

あたしはたくさん泣いた後、シオン大将に薦められて<あかなべ>のお風呂に
入らせてもらった。
ギブソン邸よりかは狭いが、木製の檜風呂は最高に気持ちが良かった。



くはー、旅館の温泉に泊まってるみたーい、きーもーちーいーいー・・(悦)



ザバァッと湯から出て、貸してもらった浴衣を羽織る。
シオンの服なので、サイズは大きいが浴衣なので無理矢理帯を締めて大きさを調整する。


(ってーか、まさかシオン大将の服まで着れるなんて幸せよねー(うっとり))


元・イオスの服は大将に繕ってもらっている。(裁縫も出来るんですか、アナタ・・)
どうやらフロト湿原に行った時、結構ボロボロになったらしいのだ。
あれが動きやすいので、ずっと着ているのだがそろそろ代え時なのかもしれない。
次は誰に服借りようかなー・・?(遠目)

あたしは風呂から上がると、<あかなべ>のカウンターへ向かった。
そこでは優しい笑みを浮かべた、<あかなべ>の大将。


「大将ー、出ましたー」

「ああ、気持ち良かったですか?さん。」

「うん!もう最高に!!」

「何か食べますか?サービスしますよ(^^)」


どうやらシオンが蕎麦を作ってくれるらしいので、あたしは天ぷら蕎麦を頼んだ。
あの美味しいと有名なシオンの蕎麦!彼のファンなら1度は味わって見たいあの一品!!
それにお腹も空いてるし・・超!役得よね!!(ガッツポーズ)

泣いた後のせいなのか、えらく気分がハイテンションだ。
あんなに大泣きしたのはいつだったっけなぁ・・・?
まぁ、おかげで吹っ切れたけど・・・


「でもあのお風呂、すごく気持ちよかったーvv本当にありがとうございました(深々)」



貴方が入っている風呂だと思うと、思わず鼻血を出すところでした!



「(・・とは、さすがに言えないけどね・・)木のお風呂って出た後でも温かいから、
好きなんですよー」

「それはそれは、良かった・・さ、どうぞ、お口に合うといいのですが・・」


苦笑しながらシオンは蕎麦の入った皿をあたしの前に出す。


おおおおお!!!これが・・これがシオン大将のゴールデン・SOBA?!
くうううう!ま、まぶしいいいいいいいいいい!!!(眩暈)

あたしは緊張しながら箸を受け取り、手を合わせる。


「で、では・・いただきます!(緊張)」

「はい、どうぞ」


・・ズルっズルッ・・


「・・・・・お、美味しい!大将!おいしいよ?!」


あたしは多少興奮しながらズルズルと蕎麦を食べて行く。
だって、素晴らしく美味しいのよ?!これはもう・・あれよ!!(何)
三ツ星シェフも洗剤飲んで自殺しそうなくらい美味しいわよ?!(嫌な例えだ)


「お気に召しましたか?さん」

「はい!もーすごく!!」


しばらく、嬉しそうに食べるあたしの蕎麦をすする音だけが<あかなべ>に響く。
外ではまだ、雨が降っていて。
何だか、とても心地よくなってくる。

その音に聞き入っていたら、シオン大将があたしに問うてきた。


「・・さん、貴女はさっき、“自分がわからない”と言いましたね?」

「あ・・うん・・」


泣いていた時、シオンに少しだけ弱音を吐いたのだ。



“自分がわからない”

“ここに居ていいのかわからない”

“自分のせいで誰かが傷つく事が怖い”




「・・・わからないのは当たり前です。人とはそういうものだと、
私は生きていて学びましたから」

「・・」

「貴女が今、迷っているものは今から・・これから見つけて行くモノだと私は思います」



だからわからなくて当然のモノなんです



そう言ってお水の追加をしてくれるシオンの言葉が、あたしの中に響いた。
同時に心が軽くなって、ボロっと涙が溢れ出てきた。
すごくすごく、優しく響いていく。



彼の言葉が、あたしの中に



「・・っ・・〜〜〜〜・・・!」

「あなたは若いのですから、今そう思い悩んでいてはこれから先が見えませんよ?」


あたしはコクコクと頷いて、涙をぬぐう。
帰りたい。
自分の中にあるものに怯えて生きていくだなんて、苦しい。

でも、死にたいとは思わない。

もっと生きていたくて。
・・帰れなくてもいいから、生きていたくて。



そして



「・・あ、あたし・・幸せにしたい人達がいるのっ・・」



その人達はいつも傷ついていて



「あたしなんかが・・幸せにしてあげる事が出来ないってことは・・わかってる・・でも・・・」



ほんの少しでも、安らいでくれるなら



「あたし・・すごく良くしてもらったから・・だから・・」



独りにしないでくれたから



シオンはあたしの目元を自分の指で拭う。
その動作が優しくて、あたしはそっと目を閉じた。


「何もわからなくても、その気持ちを覚えていなさい。
それは・・あなたを真っ直ぐに連れ戻してくれるものですから」

「・・うんっ」



重たい気持ちが、流れていく



帰れない事実に傷ついたココロも、少しだけ癒えた気がする



でもそれだけで、あたしの中で安心感が強くなって



思わず、小さく欠伸をした。
長い間積もっていた重みが、半分くらい減った気がして眠気が襲ってきたのだ。


「・・大将・・あたし・・ちょっと眠い・・・」

「・・眠っていいですよ」

「・・うん」



あー・・何かもう・・久々によく眠りそうな気がするーーーー・・・



そう思いながら、あたしはカウンターの机にうつ伏せて深い眠りに入った・・・・。















が(かなり)深い眠りに入って、寝息が聞こえてきたのを確認すると、
シオンはを抱き上げて、慎重に運ぶ。
とても軽い、けれど温かい、柔らかいその身体。
人間の死体とはまったく違う、生きている人間の身体。


それはなんと、心地よいぬくもりか


最初に運んだ寝室に連れて行って、布団に寝かせる。
の前髪を掻き上げてその寝顔に魅入る。



不思議な、人だ



酷く落ち込んでいる姿は、思わず手を差し伸べたくなる。
少しだけの言葉をかければ、酷く安心したように笑み、ついには寝てしまうとは。



こんな自分でも、誰かを癒せる



その事実が、シオンにとってはとても嬉しくて




”・・あ、あたし・・幸せにしたい人達がいるのっ・・”


「・・その人は、きっと幸せを感じれていると思いますよ」


その小さな呟きは、深い眠りに入っている少女の元には届かなくて。
シオンはおかしそうに喉を鳴らしながら、店の片づけをするため
彼の自慢の店<あかなべ>へ戻って行った・・・。





空は、淡い光が差し込んで美しく晴れていた                 











NEXT







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*後書き*

第19話をお届けさせて頂きました。

マトモ・レイム登場。(やっと・・?)
そしてシオンさんも登場です。(愛)

ルヴァイド達は苛められ(笑)、ヒロインには少し弱音を吐かせてみました。
今度は癒してもらう側にー・・シリアス路線一直線で!
でも途中でデグレアを無理矢理入れてしまったため、話が一気にこじれて私の
頭も見事ゴチャゴチャになりました。(吐血)

だ、駄作・・・!!(汗)


それで次回予告!!
今度はギャグ一直線で変態レイムとそれに苦悩する苦労人・部下三人衆!!
アルバイトで主人公はとうとうメイド服を着る?!
そんな彼女に迫るレイムのカメラ!どうなる!主人公!!?

・・・大丈夫か私。(頭が)


2003,12,14修正