ルヴァイド達に逃がしてもらったあたしは、ヘトヘトだった。 妙に疲れて疲れて、晩御飯も食べないまま、眠りに落ちる。 意識は深く、深く 第18夜 あたしはぼんやりとした意識の中、暗闇の中にいた事を感じていた。 何も見えない深く冷たい暗闇の中に、身体が堕ちているような重力の錯覚も感じていた。 そこには光すらなくて。 ただただ冷たい暗闇が、あたしの視界を覆っていた。 ・・なんか寒い・・ そう思って、あたしはぶるりと身を震わせた。 背中を丸め、両手で自分の肩を掻き抱き、自分で自分を暖めようとするが全然効き目が無い。 あ、コート欲しいー・・・ そこであたしは初めて自分の姿に思考を巡らせた。 理解したと同時に呆れるようなため息も出る。 何で裸なのさ・・・(汗) そう、あたしは何も身に付けていない状態、裸で暗闇の中にいたのだ。 うっはー、これじゃーネスとアメルエンディング状態ね!(寒いけど) 思わず笑ってしまうが、周りにはトリスもマグナも誰もいない。 ただ一人きり。 ・・・寒いなぁ・・ってか、ここどこよ・・・? キョロっと周りに目を配らせ、視界の隅にチカリと何かが光ったのが映る。 首を傾げて目をこすり、あたしはジッとそれを見つめた。 それはだんだん大きくなり、ハサハの宝玉並のサイズになるとあたしの目の前に降りて来て。 ただ儚く光を放つ。 ・・・何これ・・・? 好奇心が芽生えてしまったせいか、疑いも警戒心もなくそれに手を伸ばした。 あたしがそれに触れた途端、急に光の中に身体が飲み込まれてしまう。 だけどあたしは驚かなかったし、怖くもなかった。 その光は暗闇の広がる空間の中で、唯一温かかったから・・・ あたしが再び目を開けると、そこは見慣れた派閥の部屋。 やっと戻って来れたーっと自分の姿を再確認。 そして声にならない絶叫を上げてしまった。 (ぎゃーーーーーー!!何で裸のままなのさああああああ!!!??) 夢オチじゃないんかよ?!その前に黒ヒゲ危機一髪って所かしらね・・!(汗を拭いながら) ってか、これ見られてたら嫁にも婿にも行けないっつーの・・・ その前に婿は無理だろと自分でツッコミを入れて(寒っ)あたしは何かないかと立ちあがって外へ 出ようとドアノブに手を伸ばすが違和感に包まれる。 (・・?何か・・・違う?) 以前マグナの所で爆睡してしまった時とは違う空気。 カーテンも、何やら古そうで思わず首を捻ってしまった。 (・・?あれー?どうしてこんな変な感じが・・・?) あたしは自分の異常その2に気付く。 声が、出ない。 (何でじゃあああああああああ!!今度は声?!) そういえば、どうして自分はここにいっるのだ? 自分はフロト湿原から帰ってきて、ギブソン邸にいるはずだ。 何故に、派閥? その前に、服どこさ? 取り合えず服は諦めて近くにあったベッドシーツに手を伸ばす。 (見られるよりかはマシだしね!それではちょっと借りまーす・・) スカッ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は? あたしは自分の手を見て、もう1度シーツに手を伸ばす。 (再び掴む)スカッ ・・・・・・・・・・・・・・。 (何度も掴む)スカッスカッスカッ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 あたしはしばらくシーツと見つめ合い、冷や汗を感じながら拳を握った。 (・・つ、掴めん・・・・!!) どういうこっちゃー!とベッドの上でのたうち回るあたしの耳に、怒鳴り声が容赦無く響いてきた。 それは聞き覚えのある声で。 「いい加減にしてくだされ!フリップ殿!!」 (・・?ラウル師範?) だが、その声は何だか凛々しく聞こえる。 まるで若返ったような・・そんなミラクルヴォイスだった。 あ!なんかトキメキを感じるわ・・!!(悦) 「あの子達はまだ幼子ですぞ!そのような無粋な発言は控えていただきたい・・!」 「・・フン、子供の内からしつけておかねば、後から力を暴走させるようなことになるのでは ないのか?ラウル・・・」 「・・だからと言って・・過ぎた言葉は心に直接傷をつける刃にもなる! お前さんにならわかるだろう?!」 あたしはその光景を、数ミリ開いた扉から覗いていた。 かなり必死で。 だって数ミリって・・見えないっつーの!! くそー!触れないから若きラウル師範の姿を拝めないじゃないのよー!! ラーウールーしはーん!!(愛) あたしが地団太踏んでいると、もう一つのベッドがもぞりと動いて。 思わずビクっとしながら後ろに退いた。 (な、何・・・?!) 布団の中から出てきたのは2つの頭。 しかも似たような顔をした男の子と女の子。 それにも見覚えがあった、マグナの古い写真に映っていた少年少女。 (・・マグナと・・トリス?) 「・・・・」 二人は黙って、扉の近くに歩み寄って・・口論をしているフリップとラウルの様子をそっと覗く。 トリスはマグナの服の裾を掴んで、マグナはトリスの手を握って二人は虚ろな 表情でその光景を見つめていた。 その姿は、深い哀しさを誘う姿で。 ・・今、何を思ってる? そんな疑問が頭を掠めた。 笑っていてよ、そんな顔は見たくないよ 哀しい顔は似合わないと思うから、・・思いたいから・・ 涙が、零れているのがわかった。 同情しようにもその気持ちはわかれなくて、哀れもうにもその痛みがわからない。 でも、一つだけ解かった。 ここは、あたしの夢じゃない ここは、あたしの世界じゃない ここは、別の誰かの世界なんだ 哀しい日を乗り越えた、二人の世界なんだ 何も知らないのに蔑まされる日々の記憶 遠い遠い、過去の記憶・・ 居た堪れなくなって、思わず二人を抱きしめる。 でもその小さな身体はあたしの腕からすりぬけて、虚しく空を切る。 それでもあたしは後ろから二人を抱きしめる様に包み込んだ。 二人の髪に顔を埋めて、ただ泣いた。 ねぇ、泣いてもいいんだよ? どうして泣かないの? 哀しくないの? ツラくないの? なんて不器用な子供なんだろうか この歳だと、ただ“泣く”事で気持ちを、悲しみを流すのに その“泣く”と言う事すらしないなんて 不器用過ぎて 愛しい 途端にふっと、マグナとトリスが顔をあげた。 虚ろな瞳に光が宿る。 その瞳にはあたしは映っていないのに、二人はあたしを見ているかのように見ていた。 「・・なんか・・不思議な感じがするな、トリス・・・」 「・・うん、誰もいないのにね・・・」 それでもあたしの気配はわかるらしい。 これはクレスメント一族の魔力の賜物なんだろうか? 少し考えにふけると、目の前のトリス達が突然に放たれた光にかき消される。 (・・マグナ・・トリス・・!) 思わず手を伸ばして、あたしは二人の名前を呼んだけれど。 無情にも、あっさりと消え去って。 あたしの視界に再び暗闇が訪れたのだった チュン・・チュンチュン・・・ 鳥の鳴き声がする。 眩しい光が閉じた目を通して感じて、あたしはふっと目を覚ました。 見慣れた天井、ギブソン邸のあたしの部屋。 「・・・?」 ムクリと起き上がって、あたしはそっと頬を撫でると手が濡れた。 涙で濡れた自分の頬が、夢じゃない哀しい夢を物語る。 胸にもまだ、切ない痛みが残っていてあたしはそっと膝に顔を埋めた。 「・・ごめんね」 抱きしめて、あげられなくて その呟きは誰にも聴かれる事はなかった。 聴かせるつもりなんて、これっぽっちもないけれど。 起きあがろうとして顔を上げると妙な機械音が自分の耳に滑り込んできた。 ・・・なんだろう、今すっごい寒気が走ったわ・・・!!(汗) そう、まるで某吟遊詩人が現れた時のような・・そんな悪寒が! 「・・ま、まさかね・・・(乾いた笑い)」 「おはようございます、さんvvvvv」 「・・・・・・・・!!!!???!」 窓枠に、そのいるだけで悪寒が走る某吟遊詩人ことレイムが優雅に腰掛けていた。 銀の髪は朝日に輝いて美しいが、その手に持っている黒色の物体が鈍く輝いていた。 それはあたしの世界にもある便利な機械・・・ビデオカメラ。 いやいやいやいやいや、ちょっと待て どーしてあんたがビデオカメラを持っているのさ? レイムはあたしの疑問を察知したかのように、輝いた笑顔で言い放った。 「ロレイラルに興味があったので、暇つぶしに作って見たのですが・・良い出来でしょう?」 うっとりとカメラを見つめて次にニコリと微笑むと、ビデオカメラを通してあたしを見る。 「さん、今日の貴女も素敵ですvv」 その寝起きの表情がまたそそりますね!!(ガッツポーズ) 超、嫌(吐血) あたしの中の本能が警告を出す。 “叫べ!”と。 「誰か・・むぐぅ?!」 レイムは素早くあたしの口を片手で塞ぎ、身体を押し倒してきた。 ってか、ってかピーーーーーーーーーンチ! 「HAHAHA、さん。貴女の考えは私にはちゃんと伝わってますよ?(笑顔)」 「むぐー!(HAHAHAって何よその笑いはー!)」 「さんは私と熱い口付けを交したいのでしょう?(熱っぽい目で)」 「・・・・・・・・・・・む?(は?)」 「さぁ!さぁさぁさぁさぁさぁさぁ!さん、私はいつでもカモンベイベ★(顔降下中)」 「むごおおおおおおおおおおおおお!!!!(ノーーセンキューーーー!!!!)」 「私的には深いキスを希望大!なのですがいかがでしょう?」 「むうおおおおおおおお!!!!(聞くなーーー!!!)」 あたしは絶体絶命の大ピンチに陥ってしまった。 ってか、ヤられるー!!(泣) “(かなり嫌だけど)もうダメだ!”と思った次の瞬間に、隣りのすぐ側で可愛らしい声が耳に入った。 「むー?さぁん・・・??」 「・・・・ト、トリス・・・!!?(ああ、助けて!ってか可愛いわ!ビバ寝起き!!)」 「トリスさん・・?!(ここで正体がバレたら明かにキュラー達に外出禁止を食らう上にさんに ペタペタ触れなくなると言うキツイ罰が・・・!!)」 あたしが助けを求めるより先にレイムは行動していた。 バサリとシーツをトリスに被せ、あたしに額に口付けてから素早く窓枠に手をかける。 「ではさん、また会う日まで!今度はちゃんと愛でて差し上げますから!! それでは身体にお気をつけて!」 爽やかに笑いながら飛び降りて、レイムは消えて行った。(と、言うより落ちて行った) シーツを被せられたトリスはもがくようにモゴモゴ動いていて。 ・・・・当のあたしは鳥肌全開で気絶していたのだった・・・。 (・・ふ、不覚・・・!ああも簡単に受け態勢でヤられかけるなんて・・!!) 妙な闘志を燃やしながら、あたしはフォークでフライドポテトをグサッと刺す。 そしてそれを口に放り込み、目標を立てるのだった。 (次はあたしが襲ってやる・・・!!) あの変態に負けてたまるか!とゴクンっと飲み込んで、用意されてあったお茶を飲む。 「・・・っごちそうさま!」 「あ・・は、はい」 アメルは驚いてあたしを見た。 他の皆も呆然とあたしを見上げていて、さすがに恥ずかしくなった。 「・・あ、あー・・その・・あたしちょっと外に・・」 「待つんだ、」 ネスがあたしを呼びとめて、次には座っている皆を一瞥した。 「黒の旅団の事で話しがある、皆はそのまま聞いてくれ」 (あ・・) 夢と変態の事で頭が一杯だったので、すっかり忘れていた。(いや、それはヤバイだろう) アメルと皆はルヴァイド達のことを知ったんだ。 ・・また一悶着が起きるじゃないの・・・(ため息) はーっとため息を吐くあたしを、ギブソンはクスリと笑う。 あ、微妙に敗北感・・ってか、ギブソン、あんた絶対サモン1から顔変わってるから・・ 鼻も高くなってカッコ良くなってまぁ・・・(遠目) 「・・ネスティはこう言ってるが・・これから、皆はどうしたいんだ?」 「私達は中立な立場だから何も言えないけど・・皆、それぞれ一人で考えた方がいいわよ?」 相変わらずな笑顔でミモザはチラリとあたしを見た。 「・・ちゃんも、考えた方がいいわ。ラウル様のことだから、もうそろそろ 調査も終っているハズよ?」 「・・・うん」 そうしてゲーム通りのデグレアについての口論が起きて、あたし達は一人一人 に分かれて考えてるようになった。 皆がうんうん考えている間に、あたしはラウル師範の元を訪れた。 何でも派閥にいるんじゃなくて高級住宅街にいるらしいけど・・どうなんだろう? そしてバスク家を訪れて見ると・・思わず開いた口が塞がらなかった。 (デッカーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!(デカイ)) そう、さすが高級住宅街と名がついているだけあって、大きい。 そして立派だ。 庭も綺麗に刈り取られていて、思わずうっとりと見惚れてしまう。 「おお、殿。来ていたのか?」 「あ、ラウル師範!おおおおお邪魔します・・!(汗)」 「そう硬くならんでもいいぞ、立ち話しもなんじゃから中へ入るがいい」 「は、はーい・・・」 案内された部屋は落ち着いた雰囲気を出していて、ゆったりとくつろげる空間になっていた。 あー、緊張するっつーのー・・・ 「そうじゃ、殿。これをお前さんに渡しておこうと思ってたのじゃ。」 「・・サモナイト石?」 「誓約もしていないサモナイト石“獣”と“機”属性じゃ。持っていたら何かの役に立つかも 知れないからな・・・」 「・・でもあたし、魔力なんて・・・」 「・・大丈夫じゃよ、きっと扱える時がくる」 そう言って、ラウル師範はお茶を出してくれた。 甘い紅茶の匂いが鼻腔をくすぐって、思わず安心してしまう。 今まで、本当にいろんなことがあったから・・・ ラウル師範はあたしの真正面に座り、温和な表情から真剣な表情に切り返る。 「簡潔に言わせてもらうが・・殿、頼まれていたお前さんの世界“名も無き世界”のことじゃが 残念ながらどの文献にもまったく記されていなかったのじゃ・・。」 「・・ま、まったく・・?・・そ・・っか」 何となく、わかっていた。 例えサモン1キャラズやレナードの世界のことがわかっても、あたしの世界とはまた違うのだ。 (・・それに・・) 今朝の夢じゃない夢。 自分なりに推測するとあれは、何時の間にか潜り込んできたトリスの記憶だと思う。 何かがどうにかなって、あたしの中に流れ込んできたのだ。 ・・・あれは、何だったのだろう? 不思議な力が、見えない何かに包まれるようで気分が悪くなる。 ・・怖い 「殿、本当に申し訳無い。もう少し調べて見るが・・・」 「・・ううん、いいの!こっちこそ時間と手間をかけさせちゃって・・ありがとう・・・」 「・・殿・・・」 「あたし、用事がまだあるから戻るね!それじゃお茶、ご馳走様でした!」 「・・気をつけてな」 「・・・うん」 大きな扉が、音を立てて締まる。 そしてあたしは力無く、とぼとぼと歩を進めた。 ずっと色んな事があって、実はすっかり忘れていたなんて口が裂けても言えなかったけど(最低) 参ったなー・・まさか本当に帰れなくなったなんて・・・ これからどうしよう・・ってか、その前にあの夢が気になってしょうがない・・ トリスとマグナが泣けない夢・・・・ (・・・・・・・・・・・・・・・・・あーもう、疲れた・・癒し系!癒し系が欲しいー!!) 不思議な夢を見たせいで何故か疲れて。 朝から変態に付きまとわれてさらに疲労大! 妙に疲れてる・・? (ハサハ!バルレルー!トリスでもミニスでもマグナでもいい!!癒し系・・って・・あっ・・?) 目の前がグラリと揺れて、いきなり視界が回転した。 (・・あれー?) 何が起こったのかもわからないまま、あたしは意識を手放してしまった・・・。 「・・おやおや、こんな所で昼寝なんて・・お嬢さん、風邪を引きますよ?」 男はの肩を抱き起こして、ペチペチと頬を叩く。 しかしは青ざめた顔をしていて、グッタリとしたままだった。 その様子に男は眉を潜め、持っていた蕎麦用の粉を持ちなおしてを抱えて自分の 店・・<あかなべ>への奥へ運んで行った。 その時間の空は、雲一つ無く快晴だったそうな・・・? NEXT ----------------------------------------------------------------------------- *後書き* 第18話をお届けさせて頂きました。 主人公の中に眠る“何か”が少しずつ表に現れてきました。 これから色々なモノを見ていくかと思います、ルヴァイドや、リューグ達のこととか・・。(大丈夫か私) トリスとマグナの過去を少し作りました・・いいんでしょうかね?あれで・・。(汗) ラウル師範が怒ってる・・・!フリップ様相変わらず・・!!(ぷ) 変態も出ました!・・マトモはトリス達の前だけ出すつもりなのですが・・・ なかなか出てくる機会がありませんね。50話後半からマトモ率が高くなっていくのでは ないかと思われます・・・!! 2001.12.13アップ 2003.12.14修正 |