第11夜 あたしは蒼の派閥の一室で思案した。 どうやったら今、この状況から抜け出せるか、と言う事を題材として。 両膝にはマグナとハサハが仲良く熟睡。 ってか、限界も近いのだ。 足の。 (あ・・足が痺れてツライーーーーーーーーーーーーーー!!!!!(涙)) マグナ達が寝込んでからもう3時間。(長っ) 朝だったのが何時の間にかもう午後12時だ。 そりゃね、マグナ達最近夢見悪いし心配してたから寝れなかっただろうよ。 でもね、だからってこんなに長時間寝ることないんじゃないの??!?(苦痛) (・・しかも・・) チラリと二人を見下ろすと、二人揃ってとても幸せそうな寝顔で寝ていて。 (起こそうにも起こせないじゃーーーーん・・・) あたしは天井を見上げながら大きくため息を吐いた。 誰か助けてよー、(可愛過ぎて)起こせないよー、足痛いよー・・(涙) (・・でもここでモタモタしてたらトリス達がイオス達に襲撃されるし・・・) 何故マグナやハサハがいるかは知らないがトリス達がここ存在することは確かだ。 それを確定した証拠もある。 (あれはいつの写真なんだろう・・?) 小さな机の上には、二つの写真があった。 一つはちょっと色あせている写真で、ネスとトリスとマグナとラウル師範とミモザとギブソンがいる。 しかもマグナとトリスとネスは幼い感じが可愛くて、ギブソン達も若い。(失礼?) 皆、楽しそうだ。 そしてもう一つの写真は真新しい。 ギブソンとミモザの変わりにバルレルとハサハが加わっていて、同じメンバーが揃っている。 ラウル師範も少し老けて、ネスとトリスとマグナは古い写真に比べれば大人びた感じになっていて。 どうやらトリス達が旅立つ前に撮られた物らしい。 (・・淋しかっただろうね。) マグナの頭をそっと撫でる。 あんなにたくさんの大切な人がいたけど、ギブソン達は任務で出かけてしまって。 トリス達は見聞の旅に出てしまった。 その時、どんな気持ちだった? 怖かったよね?危険な旅かも知れなかったから 大切な人がいなくなると、寂しいよね? ・・悲しかったよね 「・・でも、もう大丈夫だよ・・」 これからはトリス達が側にいるよ 見聞の旅より危険で、悲しい気持ちになってしまうけれど 寂しい想いはしなくてすむ (でも・・一体どうなってるの・・??) マグナとトリスが1セット、バルレルとハサハが1セット。 なんでここにいるの?ゲームと展開違うじゃないの? それに・・ハサハがあたしに言ったあの言葉が気になって仕方がない。 “とっても懐かしい匂い” 聞きたいけれど、聞けない。 聞くと、何かがわかってしまいそうで怖い。 わからなければいけないのに・・怖くて何も聞けなくなる。 矛盾してる、逃げている自分がいる。 (・・ま、話しは長いしボチボチわかっていけばいけどね・・) 折角だからモーリンやミニスやシャムロック、その他キャラにも会いたいし(本音) 考えが横道にそれちゃったけどとにかく今は・・ (はよ起きろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!足が!足があああああ!!!) しかしそんなあたしの苦痛は知らないと言わんばかりに(いや実際寝てるから知らないんだろうけど) 彼らはまったく起きる気配がなくて。 更に頭を抱えてしまう。 (ノオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーー!!!!) コンコンっ 頭を抱えてうめいていたら澄ましたノックが部屋に響いて、あたしはぎょっとして慌ててしまう。 (ヤバイ!) 蒼の派閥の人間は部外者を嫌う集団だ。(一部違うが) 完璧に部外者であるあたしがここにいて、マグナ達を(長い)昼寝させていたと知られたら どんな目にあうかわかったもんじゃない。 しかもフリップだったらなおのこと、ヤバイ。 「ま、マグナ!起きて!(小声)」 「ぐー・・・」 「ああもう!起きんか!この犬!!(ベシっ!)」 「いて!」 あたしの攻撃にマグナは目を覚ましたらしいが、まだ半分寝ぼけていて。 ぼーっとしながら頭を掻きながら、じっとあたしを見つめてへらっとした笑顔になる。 「おはよーネスー」 「ち、違っ!ってかあんた本当にネスに起こしてもらってたのね!?目ぇ覚ましなさいよ!!」 「目ぇー覚めてるよー」 「嘘付け!絶対覚めてな・・ちょ・・ひゃぁ?!?」 「おやすみー・・」 マグナに圧し掛かられてあたしはあっさり倒れ込んでしまった。 寝息が耳の側で聞こえて来て思わず顔が赤くなる。 (ぎにゃあああああああああああああああああ!!!!)←混乱 あたしのピンチな絶叫に返すのはまたまたすましたノックで。 落ち着いたようにコンコンとなる。 そしてとうとうノブが回って、ガチャリと開いてしまった。 (鍵くらい閉めとけえええええええええええええええ!!!!) それは言葉にならない絶叫であった。 そして入ってきたのは一人の老人(?)、思いっきり知っている顔だ。 彼はあたしと目があって、にこやかな笑顔を向けて言い放つ。 「邪魔したようじゃな、また後で来るぞ、マグナ」 「ちょっと待ってオジサマーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!(泣)」 「ほう、別の世界から来たと・・?」 「・・・・はい(げんなり)」 あの後何とか救助してもらえて、あたしはラウル師範に事の説明をした。 レルムの村のこと、あたしが別世界から来たということを。 (・・ルヴァイド達の事は伏せておいてもいいよね・・?) まだ、知る時ではないから ラウル師範は(この人は何故か呼び捨てに出来ない)考え込むように俯いて、穏やかな 笑顔をあたしに向けて。 「そうじゃな・・元の世界に戻れるのはハッキリ言って難しいが・・調べるだけ調べておこう」 「・!ありがとう!ラウル師範!!」 「いいや、うちの息子や娘が世話になったからな。・・じゃが、期待はしないほうがよい」 「ううん、いいの!少しでも何か判れたらそれだけで充分だから・・」 そこまで言ってあたしはほっと胸を撫で下ろす。 どうやら一歩前進って所で、思わず気が緩んでしまう。 「良かったね・・おねえちゃん・・」 「うん!ありがとハサハ!」 あたしはぎゅうっとハサハを抱きしめて頬を摺り寄せる。 うはははは!役得役得!!(変人) 「・・さて、こちらの話しも一段落ついたが・・マグナ、いつまでイジけておる?」 「・・だ、だって・・////」 ズゥゥゥンとした重い効果音が聞こえてきそうな落ち込みぶり。 何故落ち込んでいるかというと。 「俺、寝ぼけての上に・・」 かぁぁっと顔を赤くさせて頭を抱える。 どうやら結構純情らしいが・・行き過ぎでしょあんた。(汗) 「ま、マグナ・・気にしないでヨ・・寝ぼける事は誰にだってあるし・・・(汗)」 「だからって・・俺・・・(ズゥゥゥン)」 「(重っ!)それじゃ、あたしを案内してよ。このゼラムの地形をわかっていたいからね。 そうしてくれればあたしも助かるし・・・」 「・・おお、そうじゃマグナ。お前に頼みがあったのじゃ」 「え?何?」 ラウル師範はマグナの頭を撫でながら穏やかに笑みを浮かべ、分厚い本を マグナに手渡した。 「案内ついでにこれを早めにギブソンの所へ持って行って欲しいんじゃよ、届けてくれるかの?」 「うん!わかった」 「すまんな、それじゃ昼はこれで食べて来なさい」 その時、あたしとマグナとハサハのお腹が同時に鳴って。 三人で顔を赤くさせて俯いてしまった。 だあああ!またかいあたしの腹!!(逆ギレ) 「・・殿もお前達も腹を空かせているようじゃからな」 そう言って、ラウル師範は声を出して笑ったが、あたし達は乾いた笑いしかでなかった・・。 「おおー、ゼラムの商店街って繁華街とはまた違った明るさがあるねー!」 「ああ、食べ物がうまい店もたくさんあるんだ。な、ハサハ」 「・・(こくん)」 あたしはハサハと手を繋ぎながら辺りを見まわす。 結構調子よく進んできたので目の前が明るかった。 これで無事トリス達と会えたらいいんだけど・・・ 「そういえばトリスとマグナってどういう関係?」 「トリスと俺は血の繋がった双子の兄妹なんだ」 「・・へ?双子だったの?!?」 「え?あんまり似てない?」 マグナはおかしそうに笑いながら己を指差す。 言われて見れば雰囲気とか髪の色もそっくりだわ・・・。 「うーん、結構似たような所も多々・・・そういえばどうやって派閥に来たの?」 街を崩壊した時の状況を知りたくて、あたしは思わず聞いてしまったけれど。 マグナの表情を見て後から後悔した。 だってすごく、酷く・・悲しい表情で。 それでもマグナは話してくれた。 「ある日、俺とトリスは珍しい石を手に取って見ていたんだ、そして街を壊滅させてしまった」 あっさりと、口から放たれたそれ。 言葉だけでは、それがどんなものなのか、あたしには全然思いつかない。 「その後二人で牢屋行きで、小さかったから怖くて二人で泣いてたなぁ。 あと・・よくわからないけど、誰かが召喚術の暴発だって言ってた。 簡単に、あっさり“暴発だ”って言えるけど実際は本当にすごかったよ」 遠い目で、ゼラムの景色を眺めながらマグナは言った。 そんな彼にハサハは心配そうな表情を浮かべて、きゅっとあたしの手を握る力をこめる。 「・・もう2度と、あんな事は起こさせたくないって幼いながらも思ったよ」 「・・ごめん」 「え?」 「ごめんね、マグナ・・あたしヤな事聞いちゃった・・・」 それはクレスメント一族の魔力が戻ったせいだ。 それほど巨大な力を、彼らはその身に宿していて。 それでも今日まで生きて来た。 きっと、一番思い出したくないであろうその日の出来事。 あたしは大したことない興味本位で無理矢理思い出させて、話させたんだ。 なんて、酷い人間 ボロボロと涙が出て来て、あたしは慌てて目をこすった。 また、痛みを知った。 それはマグナ達の痛みとは全然比率が違うけど、痛いモノは痛い。 心が、また痛かった。 「おねえちゃん・・」 ハサハの声は耳に優しかった。 涙のせいでマグナの顔がよく見えない。 “同情なんて欲しくない”とか怒られるかな・・? そう思っていたらぽんっと手が頭に乗ってきて、あたしは思わず顔を上げた。 「・・あ、あの・・・ありがとう・・・」 「・・?」 「俺達の事わかろうとしてくれる人って少ないから・・きっと面倒事には関りたく ないせいかも知れないけど・・本当に少ないからさ。だからが聞いて来てくれたときは・・ いけないことだと思うけど、少し嬉しかった・・」 その言葉は あたしを気遣ってくれるために、出たものなんだろうけれど あたしには、ひどく嬉しくて “だからありがとう”と、笑って言うマグナの言葉が染み込んで、あたしはまた泣いてしまった。 それにマグナがあわあわと大慌てであたしの頭を何度も撫でて、気遣う。 やっぱり涙腺弱くなってるよ・・・。(ってあたしはばーさんかっての) 「それじゃ、早くトリス達に会いに行こう!俺もー腹へってしょうがなくってさー」 「・・あたしもそれには賛成!それじゃハサハ、行こうか?」 「・・(こくん)」 一通り昼ご飯を食べて、あたしは色々案内を受けた。 さすがにあたしの世界とは構造が全然違くて、驚いた事が一杯あった。 ってか人も多いってば・・・(汗) 「それじゃ、大体わかった?」 「うん、あっちが庭園でしょ?あっちが繁華街であっちが出口・・・」 「よし、それじゃ次は先輩達の所に行こう。・・早めに届けないと俺がネスに叱られるよ・・」 ”あの説教、苦手なんだよなぁ”とげんなりとした顔で嘆くマグナに、思わず笑ってしまう。 そんな彼の表情は、ネスが見たら「キミは馬鹿か?!」って言われそうな表情だ。(笑) ハサハもふにゃーといったような顔で笑ってて、あたしはまた彼女を撫でてしまった。 し、至福・・・!!(悦) 「よっし、次はギブソンの家に直行よー!」 「おおー!」 「・・(こくん)」 そうしてあたし達がギブソン邸に辿り付いた時は午後の3時くらいになっていて、 マグナは引きつった笑みを浮かべながらチャイムを鳴らした。 「絶対ネスに怒られるって!俺!!(半泣き)」 「あはは、ダイジョブダイジョブ♪さ!男だったら玉砕覚悟でレッツゴウ!」 「玉砕は嫌ダーーーーー!!!」 わぁわぁと言い合っていると中から足音が聞こえてきて、 「はーい、どちら様ー?」 「あ、トリス。俺だよ!」 「お兄ちゃん?わかった!今開けるね!」 やっと やっと、トリスに会える 大きな扉が開くとトリスが出て来た。 前とちっとも変わらない笑顔と、優しい空気。 でも、どこか疲れているような雰囲気があって。 「お兄ちゃん、どうしたの??」 「これ、ギブソン先輩から頼まれた物を届けに来たんだよ」 「あ、わかったわ。今先輩呼ぶね!お兄ちゃんは先に入ってて!」 そう言ってトリスは奥へ行ってしまった。 ・・・あたしはどうやらマグナのおかげで見えなかったらしい。 そんなんアリかーーーーーーーーーーーーーーーーーーー??!??!(泣) 「あーあ、に気付かないで行っちゃったよ・・取り合えず入ろう?」 「・・うん(沈)」 リビングに入ると、今度はアメルが出迎えてくれて、ソファーにはネスが本を 読んで座っていた。バルレルだってそこにいる。 何だか、すごく懐かしく思った。 「マグナさん、こんにちは」 「こんにちは、アメル・・少しは元気になった・・?」 「・・・」 アメルは苦笑するだけで、何も言わなかった。 その様子にマグナは少し悲しそうな顔をしたけど、それ以上何も言わなかった。 ってか、マグナさん、あたしの姿が皆の目に全然映ってないんですけど?(泣) ネスがマグナの姿を見ると(あたしの姿はもちろん見えてない)本を閉じて説教モードに入る。 「キミがこの前渡してくれた課題のレポート、あれは一体なんだ?」 「・・あ・・う・・(汗)」 「しかも題材が“昼寝万歳”?!キミはレポートを何だと思っているんだ!」 「だ、だって・・(汗)」 「いいか?!そもそも僕が・・」 「ね、ネスティさん・・そろそろ・・(滝汗)」 「止めないでくれ、アメル!」 あー、かなりご立腹だわ・・あたしも止めるの手伝おうか・・? あたしは掴みかかりそうなネスとマグナの間に身体を割り込ませ、落ち着けるようになだめる。 「ちょっとネスティ、落ち着きなさいよ・・、大人気ないわよ」 「キミは黙っていてくれ!・・って・・・」 お、止まった・・・ 唖然としているネスがあたしを凝視していて、震えた声で 「・・・?」 「そーよ、ですよ。だから落ち着きなさい。ネスティ」 ぽんぽんと、彼の頭を撫でてやる。 更に言葉を繋げようとしたネスだったけれど、あたしに抱きついてきたアメルに突き飛ばされて、 くぐもった悲鳴を上げて床に倒れ込んでしまった。(安からに眠れネスティ!) 「さん!良かった・・無事・・・だったんだ・・・!!」 「ちょ・・ちょっとアメ・・(ネスが死ぬって・・)」 「あたし・・さんが・・良かった・・・!!」 嗚咽を漏らしながらあたしから離れようとしなくて、「参ったなー」とボヤキながら、 あたしはアメルの背中をさすってやる。これでは話そうにも話せない。 「アメル、あたしは大丈夫・・」 「皆ちょっと来て!!」 ケイナの声が玄関から響いて来て、マグナが一番に駆けて行って。 ああもう忙しい!今度はなにさ?! 「ネス!アメル達のこと頼んだ!」 「お、オイ・・・マグナ!!」 ネスの制止も聞かずにどこかへ行ってしまって、あたしのいる場はすっごく重い空気が舞い降りた。 取り合えずあたしは彼女を落ち着かせて、アメルをソファーに座らせる。 「ネスティ、ここはいいからあんたは向こうを見てきて」 「だ、だが・・」 「いーから行きなさい、あたしの事情は後で話すから・・」 あたしの言葉を聞いて渋々と、納得が出来ないと言ったような表情でネスは走って出ていった。 どうやら一応、一段落つきそうであたしはほっとため息をつく。 「アメル」 「・・さ・・あたし・・怖い・・怖いんです・・」 「・・わかってる、ちゃんと、わかってるから・・・あたしも怖いから・・」 それでもアメルは顔を上げなくて、ボロボロと涙を手で抑えていた。 きっと、すごく深い傷を負ったんだ そう思うとあたしまで悲しくなって、ぎゅっとアメルを抱きしめる。 「アメル、大丈夫」 誰も悪くない 「大丈夫だよ」 あなたも、悪くないよ・・・ 「まだ・・ちゃんと無事な人がいるよ」 あたしの言葉にようやくアメルは顔を上げた。 真っ赤になった頬が、妙に可愛くみえる。(この子、可愛いもんなぁ) 「・・他にも・・無事な人が・・?」 「うん、きっと今ケイナが声を出したのは誰かがいたのよ」 「・・・!」 アメルはダッと玄関へ駆けて行って、あたしはそれを見送った。 きっと、玄関にいるのはロッカとリューグだ、そんな雰囲気だし。 ってかー説明が大変そうだー(特にネスやリューグとか) ん・・? (ってことは・・もうすぐイオスとゼルフィルドに・・?) 何となく、嫌だった。 傷つくのも、傷つかれるのも。 あたしは止めるべき? でもきっと、止まらない。 彼らは彼らなりに戦う理由がある。 あたしは明るい空が映る窓に額を当てて、ポツリと呟いた。 「・・でもやっぱり嫌だな・・」 トリス達が傷つくのも、イオス達が傷つくのも。 これはあたしの我が侭なんだけど。 どうしても貫き通したい我が侭。 (・・どういう顔をして会えばいいんだろ・・) ぼんやりと考えていると後ろから抱き付かれた。 ぐは!腰が・・!!(激痛) 「ちょ・・?」 何とか首を後ろに曲げて見ると、マグナの髪の色と近い髪色。 でも体格は小柄で。 「・・・トリス?」 「・・・・うっ・っく・・さ・・・!」 言葉にならない声と、止まりそうにない嗚咽。 あたしは苦笑しながらヘソの辺りに回っているトリスの両手を握ってやる。 「・・ね?言ったと通りに会えたでしょ?」 「・・う・・・んっ・・!!」 「・・あたしに顔を見せてちょーだい」 そういってトリスはあたしの腰から手を離して顔を上げる。 涙でぐしゃぐしゃの顔、眉もすっかり下がっていて。 やっと、会えたね あたしはトリスをぎゅうっと抱きしめた。 すごくすごく久しぶりに感じて、すごくすごく、その分愛おしい。 「(くううううう!!泣いた顔もまた可愛い!)トリス、本当に無事で良かった!」 「さん・・も・・無事で良かったよぉ・・・あ・・あたしダメかと思った・・」 「あはは、親切な人達が助けてくれたの・・・、すごく、親切な」 悲しい人達 何とか嗚咽も涙も収まってきたのかトリスは鼻を思いっきりすする。 ぎゃ!あたしはもうメロメロだーーvv(愛) 「向こうで・・リューグとロッカも帰ってきてくれたし・・フォルテ達 にもさんのこと・・言わなくちゃ・・」 「んー、そうして欲しいのは山々なんだけど・・」 多分もうすぐ戦闘になるかも・・ 「・・?さん?」 「ま、いいや。・・それに今はトリスに会えたしね」 目元を拭ってやりながらあたしはトリスをソファーに座らせる。 向こうの方から賑やかな怒鳴り声と、それを制する声が響いた。 リューグとロッカの声だ。 あたしは思わず笑ってしまって、そっとトリスの頭を撫でる。 「多分アグラ爺さんも無事よ、あの人がそう簡単に三途の川を渡るわけないしね」 「・・うん!」 ようやく笑顔が見れて、あたしはほっとした自分がいることに気付く。 この笑顔が心底好きなんだってわかって、トリス馬鹿な自分に頭を抱えてしまう。 ・・別にヤバイ意味で好きってな訳じゃないわよ・・・(汗) そしてリューグとロッカを治療した後、全員は居間に群がって(嫌な言い方)、 ギブソンたちに自己紹介と、どうやって逃げてきたかと己の経緯を伝え合う。 いや、あたし何も考えてないんですけどー?(汗) 「・・ロッカとリューグの経緯は大体わかった。次は、キミだ」 「(大体じゃなくて全部わかれよ融機人!)えーと・・あたしは親切な人達に助けてもらいました、終り」 『・・・・・・・・・・・・終り?!』 見事全員ハモッてくれて、あたしは思わず頬が引きつったのを感じた。 いや、ってかどう言えっちゅーのよ・・ 「ふざけんな!ちゃんと説明しろよ!」 「そうだ!キミの説明ではまったく理解できない!!」 ああーやっぱりこの二人は文句言うと思ったー・・・(遠目) 「それに僕はキミが助かったということ事体が理解出来ない! あの完璧とも言える包囲網からどうやって抜けてきたんだ?!」 それはその包囲網を張った人達が助けてくれたからです(って言えるわけねえ) 「ネスティの言う通りだ!!てめえはどうやってここまで逃れて来たんだ?! 誰がてめえを手当てしたんだ?!」 それは敵方のイオスさん達です(これも言えねえ) ってか、手当てって・・あたしその時服の下、見られたってこと?!(滝汗) ・・そういえば初めて目が覚めた時・・身体を拭いてもらったような・・気 が ・ ・ ・ ? あの、誰かが汗をぬぐってくれた心地よさ。 胸元に触れた、冷たい、タオルの感触。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ルヴァイドさーん?・・・・・・・・・・・・・・・(血の気引き) 「なーーーーーーーーーーんてこったあああああああああああああ!!?!!」 立ちあがり、いきなり叫び出したあたしにその場にいた一斉はビクッと身体を震わせた。 それは文句を言っていたリューグやネスも同じ事で。 でもあたしの顔は真っ赤だった。 思わず頬を両手で抑えて熱くなった頬を冷やすが、全然冷えない。 てーか、気付くの遅せえよあたし!! (嘘?!ウソウソウソ?!?ままままままさか!まさかあたしってる、るるるルヴァイドに・・?!////) 顔がさらに赤くなる。 それにミモザがピンときたのか、にんまりと笑ってあたしを見た。 「もしかして、隅々まで治療してもらっちゃったってことかしらぁ?」 「(ギャー!ドンピシャ!!)・・そ、そそそそんなことわ・・・!!!////」 「っは!どうせロクでもねえ奴らに助けてもらったんじゃねえだろうな?」 「嘆かわしいな・・(ため息)」 え それは、誰のことを言っているんだろう。 あたしはゆっくりと立ち上がって、リューグとネスを見た。 「・・・今、何ていった?」 「・・・?」 「ロクでもない?嘆かわしいですって?」 二人の言葉が、ぐわんぐわんと、あたしの中に響いていく。 こっちだって死にそうな目にあって、色々混乱していて、悲しいことも、苦しいこともあって。 さらに、嘆かわしい、ロクでもない? 怒りと苛立ちが頭の中が真っ白にさせて。 「喝っーーーーーーーーーーーーーー!!!!(掛け声)」 掛け声をかけながら、思いっきりネスの頬にスッパァン!と平手打ちを食らわした。 そしてリューグの頬にも、握り拳を叩き込んで殴り倒す。(こっちの方がパワー強) 「ガタガタうるせえのはあんた達だ!このボケッ!!」 あたしの罵声に、殴られた二人は呆然と見上げた。 トリス達なんて居間の入り口の方まで退いている。 ハサハなんて泣きそうだ。(ゴメン、ハサハ・・) 「あんた達にあたしの恩人を馬鹿にされたくないわ!その人がどんなに酷い人でも、あたしに とっては大事な友達で・・喧嘩だってしたし、殴ったり蹴ったりもしたけど! でも色々教えてくれたのに!!優しくして、ちゃんと側にだっていてくれたのに!!」 興奮状態、ここに極まり。 周りの状態がさっぱりわからない。 あたしの頭の中には、三人のデグレア軍人だけ。 あたしの目には、リューグとネス。 「いくらあんたたちでも許さないわよ! 嘆かわしいのはあんたよ!ネスティ!!ロクでもないのもあんたよリューグ!!」 どうして、ここまで怒れるのか 情が移ってしまったのか? でも、彼らは国を逆らってまであたしを助けてくれた バレたら殺されるのに 「大体そんなに気になるからってそこまで文句言われる筋合いなんてないわよ! ってか、五月蝿い!黙れ!!あたしはもうキレたーーーーーーー!!!!(怒)」 あたしは手近にあったクッションを引っつかみ、リューグの顔面に思いっきりぶつける。 そしてネスにはさっき彼が読みかけていた本を頭にヒットさせる。(痛っ) 人間、キレたら手がつけられない。 どんな気持ちで彼らと別れたか知っているのか?いや、知らないだろう 知るはずがない、彼らはあたしじゃないのだから あたしが敵になるだろうと知っても、イオスはあたしを送ってくれた ルヴァイドやゼルフィルドも見送ってくれた それにあたしは、彼らに尊敬まで覚えたほどだ あたしだって大人しいわけないから、黙っているわけないけど イオス達が馬鹿にされたようで、酷く嫌な気分だ 散々暴れた後、あたしはフォルテに押さえつけられた。 それでもあたしは抵抗してフォルテの腕から逃げ出すと、ギリッと唇を噛み締めて、 呆然としている二人を睨む。 あたしはやっぱりまた、泣いていて。 「あんた達なんか大ッ嫌いよ!!!!」 ”ああそういえば、イオスにもこんなことを叫んだなぁ”なんてことが、脳裏に浮かぶ。 けれどもうこれ以上ここにいたくなくなって、叫んで後、あたしは玄関へ走って、靴を履く。 トリス達の声が耳に届いたが、あたしの中はぐちゃぐちゃだった。 ああもう、あたしまたキレた新記録更新しちゃったよ・・・。(遠目) 後から後悔の念が出てきたが、振り払った。 あれはあたしの気持ちだ。 ルヴァイド達はあたし達に酷いことをした けれどあたしは、彼らが後悔していることを、知っている 後悔するくらいだったら、やるなよという話にもなるけれど けれど、やめられない理由があることも あたしはそのまま、ギブソン&ミモザ邸から飛び出すのだった。 NEXT ------------------------------------------------------------------------ *後書き* 第11話をお届けさせて頂きました。 ようやくトリスさん登場!!(愛) でも短かった・・もっと泣いて欲しかったのですがねー・・。(遠目) いやー、でもあそこまでキレなくても・・とかお思いの方、気分悪くさせてしまってすいません。(土下座) でもキャラを骨抜きメロメロにさせるのもつまらないなぁーと、魔が刺したんです。ぐさっと! それにしても喧嘩ばかりしてますね・・うちのヒロインは。 ラウル師範はおじいちゃんにしたいNo.1をキープしてます。オジサマー!(何) ・・しかもネスとリューグファンの方すみません。(二人好きなのに!(汗)) でも彼らが怒っていた理由も次でわかります。(ありきたりですが) 200312.6ちょっと修正 |