生き残りである者は





彼の者にとって、癒す者なり






夜の使者は






彼の者にとって、壊す者なり









第9夜









あたしはイオスに手を引かれて走っていた。
デグレア軍の兵士に見つからないように、遠回りを繰り返しながら草原をすべる。

キュラーがルヴァイドに話があるって聞いてから、嫌な予感が消えない。
怖くなって、あたしは気を紛らわすように空を見上げた。

(・・夜ってこんなに暗かったっけ・・?)

ひょっとしたら、あたしの世界は電気で明るくなってしまっているからそう思うのかもしれないが。
だけど襲撃される前のレルムの村の夜は明るかった。
今、この夜が異様に暗く感じて、怖いと思う気持ちが更に増した。

「・・、大丈夫か?」
「・・うん、大丈夫・・・でもイオスってこんな暗い道、見えるの?」
「ああ、夜の森に潜んで闘う事だってあったからな。戦争に出るなら視力が良くなくてはどうにもならない」
「・・そっか」


イオスも軍人なんだって、改めて思い知らされたようで少し心が痛んだ。



・・あたしがトリス達の所へ行くって言ったら彼はどんな表情をするだろうか?



やっぱり怒るだろうか?



何故かわからないけれど、とても大きな罪悪感に身体を包まれて、
イオスの手をぎゅっと握ってしまった。
イオスはあたしの一瞬だけの変化に気付いたが、何も言わずに走りつづける。

そんな彼にあたしは苦笑を漏らして、そっと、心の中で呟いた。





                ごめんね

















しばらく草原を駆けていたイオスは、急に立ち止まってあたしを見た。
え?!何々?!誰かいたの!?(滝汗)


、近道をするぞ」


あたしは近道と聞いて首を傾げたが、その近道を見て固まってしまった。
近道、うん、確かに近道にはなるかもしれない。

けれどあたしは、再度イオスに問いかける。

「・・・・・・・・・・・・・・・イオス、ほんっとーーーーに、ここを降りたほうが早いわけ?」
「?・・ああ、すぐにつくぞ」

近道とは、とても降りれないモノじゃなかったが急な坂。(寧ろ崖に近い)
暗くて見えにくいが、地面が妙に急斜になっていることだけはよくわかる。

しかも長い。


「イイイイイイイイオスさん・・どうやって降りるのデスカ・・・・・・?(ああああ死ぬ?!)」

「?・・普通にすべり降りるのだが・・」



はっきり言うわ



怖ぇえよ、イオス



あたしの様子を見てイオスは何となく思い付いたらしい疑問を、あたしにぶつけてきた。
少し、笑いながら。


「怖いのか?」


その発言にムカッと来たが、意地を張っている暇はなさそうだ。


「・・こ、怖くないけど・・・・・・・・・・・・・・・・怖い・・・」

「どっちなんだか・・・・それじゃ僕につかまるといい」


そう言って、イオスはひょいっとあたしを抱き上げた。
あんまりにも軽々と抱き上げるものだから、あたしの思考回路が一瞬、見事に止まる。

・・・・・・・・っつーか。


(のおぅぁああああああああああああああああ!!またかい!!!(汗))



デグレア THE ゴーインーーーーーーーーー!!!(強引)
その細い腕にどうしてそんな力があるんですかああああああああ?!(汗)



抗議しようと顔をイオスに向けたら、イオスの顔がすぐ側にあって。
かなり恥ずかしい気持ちに覆われて、あたしはヤケクソ気味にイオスの腕の中で暴れた。

「やっぱりいい!自分で降りれるから降ろしてーーー!!!」
「オ、オイ暴れるな・・!」

ったくルヴァイドといいイオスといい、どうしてこんな心臓に悪い事ばかりやらかすの?!
恥じらいってものはないんかーーーーーーーー!!!

「ちょ・・本当に降りれるのか?!」

イオスの慌てた声に冷静さが戻って、あたしはそっと下を見る。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

たっけえーーーーーーーーーーー!!!!



大人しくなったあたしに再びため息をついて、イオスは優しく抱きなおす。


「首に手を回せ、そうすると僕も降りやすい」
「・・わかったわよ・・・・」

ぎゅっとイオスの首に腕を捲きつけて、覚悟するように目を瞑る。
それでも震えるあたしに気付いたのか彼はそっとあたしの頬を撫でて、穏やかに笑った。

、大丈夫だ。しっかり捕まっていてくれ」

周りは暗いけれど顔と顔が近いせいか、笑うのが見えたその表情はとても綺麗で。
思わず見惚れてしまった。

「・・・うん」

心臓が、ドキドキする。
イオスに聞こえてしまうのではないかと考えると、身体の体温が一気に上がってしまった。
てゆーか密着度大ナンデスケド・・・・。

「・・降りるぞ、いいか?」
「・・オッケーでーす・・・もう好きにして・・・」

あたしの返事を確認すると、イオスは臆さずそこへと飛び込んだ。
一瞬の重力が、あたしの身体絶対を包み込み、妙な浮遊感を感じて。

ダンッ!と地面に彼の足がつけば、そのまま草原の急斜を派手に滑り落ちていった。
そのスピードと、落ちて行く落下感と振動を耐えるように、更にキツくイオスに抱き付いた。

(うわわああああ!落ちてるうううううううううう!!!!)

そんな叫びを無視するかのように(実際無視されているが)イオスはあたしを抱えたまま
バランス良く滑り降りて、うまい具合に着地する。
そして未だにキツク抱き付いているあたしの顔を覗き込んできて、心配そうな声音で訪ねてきた。

「大丈夫か?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(呼吸を整え中)」

途中で舌を噛みそうになったがどうやら噛んでいないらしく、痛みは特にない。
ただあの落下感がジェットコースター並とはどういうわけか。
リィンバウム、恐るべし・・・(完敗)

?」
「・・っはぁ、もう降ろしていいです・・・」
「・・その様子だとこのまま走って行った方が早そうだな・・・、もう一度捕まれ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「はい?!」
「時間が惜しい、行くぞ」

そう言ってイオスは地を蹴った。



いや、軍人なんだから体力に自信はあるんでしょーけど・・

あたしがこの振動に耐えられないわよおおおおおおおおおおおおおお!!!



あたしはもう半ば気絶しかけの状態で、再びイオスの首に腕を捲き付ける力はなくって。
がくーんとした格好で駐屯地に着くのをひたすら願うばかりであった・・・。




てゆーか、イオスさん

見返りとしていつかその細腰触らせていただきます・・(ガクッ)
















何とか駐屯地に戻ってくるとイオスは迷わず、一際大きいテントに
(あたしを抱えたままで)連れて行ってくれた。


やっとキュラーとご対面ね・・・(道のりが非常に)長かった・・


意を決して中に入ろうとするあたしの腕を掴んで、イオスは首を横に振った。


「・・ダメだ、中に入るな」
「何で?」
「・・キミはあいつの残酷さを知らない・・、いいか、絶対音を立てるな」


イオスの目があまりにも険しくて、あたしはゴクンっと息を呑んだ。
どうやらイオスはよっぽどキュラーを嫌っているらしい。
そのことを目がありありと物語っていて、あたしは慎重に心を落ち付かせ緊張感を解す。

そしてイオスはテントの中には入らずに、会話が聞こえる場まで移動してそこで膝立ちになって。
あたしもその隣りに座って、息を潜め耳を傾けると。
・・彼らの会話がリアルに聞こえてきた・・・。

















「キュラーよ、こんな遅くに何の用だ?」

「ええ、実は先ほど言い忘れた事がありまして・・しかし、今日もあの方に
散々な言われようでしたね」

キュラーはクックックと喉を鳴らして、笑う。
何がおかしいというのだろう、ルヴァイドはそれに不快そうに眉をひそめる。
あの召喚師たちが笑うと、いつも不愉快な気分になる。


「戯言はいい、さっさと用件を話せ」


だが、不快であっても、そう言い放つルヴァイドの目には怒りの色はなかった。
あるのはいつもの冷静な瞳。
その様子はキュラーにとっては予想外で、彼は思わず眉を潜める。
ルヴァイドに、いつもの怒りは感じられなくて、正直、苛立ちを覚えた。

(いつもなら負の気を醸し出すほどに静かに怒るのですがね・・)



癒した者がいた、ということなのだろうか



(・・誰かは知りませんが・・余計な事をしてくれましたね・・・)

心の中で毒づいて、キュラーはもう一回心を乱してやろうと言葉を放った。
ルヴァイドにとって一番心が揺らぐ言葉。

「・・いまだに聖女を確保できないとは、貴方の父上の名はまた穢れてしまったのではありませんか?」
「・・・・」

ルヴァイドの空気は一瞬ピリッと乱れるが、すぐに落ち着きを取り戻す。
彼女の言葉が彼の中に響いたから。



“・・変えなくていい、信じた道を行けば良いよ”



それだけの言葉は、とても心地よい



優しい想いがそこには在るとわかって



自らを、落ち着ける



“・・ありがとね”



本来ならば、それはこちらが言うべき言葉だった



ルヴァイドはふっと口元を緩め、キュラーに目を向けた。


「まだ終わったわけではない」






まだ、進める



例え死しか待っていようとも



どんなに酷い屈辱や侮蔑が待っていようとも



あの言葉には、確かな優しさがあったから





キュラーはルヴァイドの様子に驚きを隠せなかった。
あまりにも穏やかで、逆にこちらが気分悪くなってくる。

(・・一体誰が・・・)

そんな疑問が彼の中に駆けぬけて、彼を不愉快にさせる。
イオスでも、ゼルフィルドでもないことは確かだ。
復讐に燃える者はここまでの安らいだ表情をそうそう出来ない。



一体、誰が癒した?



「・・とにかく、用件を言いましょうか・・、あの方からの伝言です。
“荷が重いようなので新しい兵士を貴方に差し上げます”・・とのことです」

「・・用件はそれだけか、ならもう国へ戻れ」

しばらく沈黙を保っていたキュラーだったが何かを感知すると、また彼独特の含み笑いを零した。
別の気配があったからだ。
それはイオスでも、ゼルフィルドでもない。酷くか弱い気配。

多分、彼を癒した者の気配。

「クックック・・・何故そう急かすのですか?」
「俺はここへ戻って来たばかりで休みたいからな」
「・・・ほう、本当にそれだけでしょうか?」
「何ガ言イタイ?」

ゼルフィルドの無機質な声には微弱ながら焦りが含まれているようだった。
彼は少し離れた所にいるイオスとの存在を感知したからだ。

キュラーは再び笑って、歩き出した。


「いえ、何やら別の気配がするので他に誰かいると思いまして・・」












(あわわわわわわ・・!どうしようーーーーーーーーーーー!!!!)

まさか彼があたしに気づくなんて思ってもみなかったのだ。
キュラーの足音がこちらに近づいて来て、あたしは慌ててしまう。
逃げようにも震えがとまらなくて、足が動かない。

しかし無情にも、彼の足音が近づいて来て。

(わーーーーー!来るなアゴーーーーーーーーーー!!!!)

ガタガタと身体を震わせるあたしは、温かい何かに包まれるような感覚を覚えた。
イオスが後ろから抱きしめてくれたのだ。

驚いて顔を上げると彼は“大丈夫だ”というように微笑んで、あたしをそっと離すと、
テントの中に足を踏み入れ、キュラー達の前に姿をあらわした。

急なイオスの登場で、キュラーはまた眉を潜める。

しかしイオスは冷静に、そして無表情な視線をキュラーに向けて、次にルヴァイド達に目をやった。


「ルヴァイド様、ゼルフィルド、お話しが・・」
「・・どうやら別の気配とはイオスのことらしいな・・キュラーよ、我々は作戦を練らなくてはならない」
「引キトッテモラウ」

キュラーはじっとイオスを見下ろして、次にイオスが出てきた方向を見つめた。



彼もまた、癒された者



非常に興味深いが、懐から懐中時計を取り出してみれば時間がない。
彼は主に呼ばれているのだ。それを遅刻するわけにはいかない。

やや残念そうに、ため息を吐く。


「そのようですね、・・ですがその前に・・」


キュラーは入り口を見張っていた兵を呼んで、自分の隣りに来るよう指示をする。
兵は不思議そうにキュラーを見ていた。


「貴方がたに一つ、忠告しておいて差し上げます」


そう言い放って、キュラーは呼んで来た兵士の身体に刃を刺し込んで。



その身体をあっさりと引き裂いた。
















(ひっ!)


あたしは口を慌てて塞ぎ、漏れそうになった悲鳴を何とか抑えた。
引き裂かれたその身体は、大量な赤い液体を・・血を噴出しながら、
その場にどしゃりと音を立てて沈んだ。


しばし痙攣したあとで、それは動かなくなって。


その返り血はキュラーはもちろん、側にいたイオスやルヴァイド、ゼルフィルドの鎧や頬にも赤で染めた。
呆然としている彼らに、キュラーは愉快そうに笑いかけた。

「貴方がたには平穏なんてありえません」
「!」
「・・ずっとずっと、戦っていくのですよ、あなた達は、それがもはや生きがいになっている」

“クックック”と声を漏らしながら、キュラーはルヴァイド達に歩み寄り、囁くような声音で呟いた。
それはあたしの恐怖心を煽るのに充分で。


「所詮、多くの命を奪い、血を浴びつづけた者の道は永遠に血塗られた道なのですから」


“それでは戻らせていただきます”と言って、キュラーはその姿を消して去って、
ルヴァイド達は呆然とその姿を見送った。

・・あたしはそっと、テントの隙間から顔を覗かせて、その光景に小さく悲鳴を上げて。
ガタガタン!と近くに置かれてあった剣や槍や、鎧をひっくり返しながら座り込んでしまった。



血の臭い



たくさんの、血



引き裂かれた身体



「・・っ!」


気落ち悪くなって、吐きそうになるのを堪えるかのようにあたしは口を抑えた。
鼻で呼吸するのも苦しい。
スプラッタ映画を見るよりもキツいその光景。
震えが止まらない。


「・・お前は見るな」


突然ルヴァイドのマントが頭に被さって、あたしの視界から引き裂かれた身体を隠すように覆われた。

「・・何故、来たのだ・・・そうすれば、見なくてすんだものを」

いつもの声音に秘められるその悲しい響きは、抑えていたあたしの涙腺をあっさり緩めて。

「・・うっ・・・!」

堪えられない嗚咽が漏れた。
嗚咽と共にボロボロと涙が零れ落ちて、頭にかぶさっているルヴァイドのマントを濡らす。



そんな悲しい声で言わないで



「イオス、を外へ」
「・・はい」



苦しいんでしょう?



、立てるか・・?」



苦しい時は苦しいって言って良いんだよ・・?



あたしはイオスの腕を掴んで、自分を無理矢理立たせる。
足はガクガク震えているけれど、涙も吐き気も収まっていないけれど。
バッとマントを引き剥がして、ルヴァイド達の表情を見た。



・・ほら、悲しそうな顔



「・・あ、あんな奴の言葉を信じないでよ・・」

「・・?」


イオスの腕に支えられるように立っているあたしの足は、棒切れのような感覚で。
それでも座り込んでしまいたくなかった。
座り込んだらきっと立直れないから。


「・・本当にずっと・・そんな道、なんだって!・・・・思ってるの・・?」



そう思わないで



「殺し過ぎて、戻れない人だっているけど      戻れる人だっているんだよ」




その心が血に囚われない限り




「ルヴァイド達は人を殺す罪悪感を感じれる」




あたしの怒りを受け入れようとした、意志の強さは本物で




「ルヴァイド達はちゃんと理解してる、人を殺すことの行為の意味を・・」




囚われていないから




「だから・・ただ殺すだけの道が、永遠に続く訳がないんだよ・・・っ」




優しいトリスがきっと助けてくれるから




・・」


ルヴァイドは、泣き出してしまったあたしの頭を抱きしめた。
僅かに感じる温もりに、あたしはまた嗚咽を漏らしながら、彼に泣きすがる。

ルヴァイドは目を閉じて、あたしに言う。



「・・お前の言葉は・・」



「・・?」



「・・・優しく、温かいな」



静かに、告げられた言葉。
それに思わず顔を上げれば、ルヴァイドが酷く優しげに・・微笑んでいる。


「・・お前の言葉は・・永遠に続く殺しの道から戻れると、思えてしまう」


ルヴァイドはもう一度あたしの頭をそっと撫でてくれた。
落ち着けるように、優しく。


「お前には世話になってばかりだな」

「・・っ・・こっちだって、充分世話になったからよ・・」


赤くなった目元をこすって、あたしはルヴァイドを見上げた。
その表情はもう、曇っていなくて。
悲しい影も見当たらなかった。


「イオス、外に馬を用意してある。送って行ってやってくれ」

「はい、ルヴァイド様」


そう行って駆け出して行ったイオスを見送って、ルヴァイドは兵の身体を供養し始める。


「・・すまなかったな・・」


それは後悔の念なのかよくわかならいが。
今はこのままでいいとあたしは思って、ゼルフィルドを見上げた。


「あーあ、あたしがせっかく綺麗にしたのになー、また血がついちゃったよ・・」

「・・・・」

「でも、また取ってあげる。きっと会えるからね」

「・・アア、宜シク頼ム・・」


そこであたしは、初めてゼルフィルドと言葉を交わしたことに気がついた。
思わず嬉しくなって、彼ににっこりと微笑んだ。


「・・よろしい」


イオスは用意できたようで、あたしを名前を呼んだ。
別れの時。


「それじゃ、ゼルフィルド・・ルヴァイドとイオスを宜しくね」

「・・命ニ代エテモ護ロウ」

「あのねー、命賭けなくていいのよ。どうせ護るなら命張って護りなさいよ(呆)」

「・・命ヲ張ッテ・・?」

「そ、絶対死んじゃだめよ!死んだら元も子もないし・・ルヴァイドやイオスが悲しむでしょ?」

「・・・・」

「あたしも、悲しくなるから・・だめよ?」


大きな、作り物の手に触れて呟く。
それにゼルフィルドは小さな、無機質な声音で返事をしてくれた。


「・・・ワカッタ」


ゼルフィルドは、ガションがションと外へ出て行った。
あたしも外へ出ようとすると、ルヴァイドが腕を掴んで。





「ん?何・・」


「次会う時は敵だろう」


「・・うん」


「だが、・・無事でいてくれ」


「・・は?」


「・・敵としてではなく、騎士としての俺ではなく・・いつかまた、お前に会いたい」




すみませんが、ルヴァイドさん




それって最大の殺し文句デス・・(恥)////




あたしは顔が赤くなってるだろうなと頬を抑えながら、こっくりと頷いた。
ルヴァイドはそれを見ると優しい瞳の色をして、ふっと微笑んだ。


「・・すまんな」

「い、いや!別にどうってことないから・・・あはははは・・・!そ、それじゃ・・元気でね」

「お前もな」

「うん、じゃあね!」


そう言ってあたしはテントを出て行った。
外ではゼルフィルドとイオスが待っていてくれて、あたしはペコリとお辞儀をした。


「お世話になりました!本当にありがとう!!」

「こっちも世話になった・・、僕からも礼を言う」

「ゼラムニ知人デモイルノカ?」

「・・うーん、知人・・ではないけど、何とかなるでしょ」



出来れば追い出されない事を祈るわ!



意気揚揚と言い放つあたしにイオスはふっと微笑んで。


「追い出されたら僕達が面倒を見てやるよ」

「・・・ありがと」


でも彼らは知らない。
あたしが敵になることを。
今言うべきなんだろうか?
言うべき、なんだろうね・・・。
あたしは深呼吸をして、言葉を出した。


「・・・あのね、あたしひょっとしたら・・・」



敵になるかも知れないの



その言葉を言うと、イオスの表情は凍り付いて、ゼルフィルドは黙っていた。
イオスは思い出したような表情をして、悲しそうな表情に変えた。


「・・そうだったな、キミは聖女に・・」

「・・うん、嫌なら送ってくれなくてもいいよ」



敵に味方する事なんてないから



だけどイオスはあたしのポンと頭を叩いて、突然抱き上げた。


「うわぁ!?」

「・・今はまだ敵じゃない、それにルヴァイド様も望んでおられるからな」


あたしをトンと馬に乗せて、その後ろに軽やかに乗り込んで。
ゼルフィルドを見下ろして、軽く頷いた。


「ゼルフィルド、僕が戻ったらすぐゼラムに向かう、兵達に出撃を準備をしておいてくれ」

「了解シタ」

、馬の髪に捕まっておいてくれ、振り落とされるぞ」

「ええ?う、うん!」


イオスは綱を引っ張って馬を走らせる。
その時、あたしは心の中で悲鳴を上げてしまった。


(また振動地獄かあああああああああああああ!!!!!)


”どうか!どうかゼラムまで生きていますように!”などと本気で祈りながら、あたしは
振動の中を揺られに揺られまくりながら、草原を駆け抜けていった。


後ろを振り返れば、ルヴァイドとゼルフィルドの姿が見える。
あたしはそれに精一杯手を振って、彼らに笑った、駐留所を後にした。







空は







淡い朝日に照らされて、とても白かった。













NEXT



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*後書き*

第9話をお届けさせて頂きました。
やや残酷表現があったことをお詫びいたします・・ですがサモンは案外、そういうことが
多いような気もするのですが・・あわわ、これからもちらほらと出てしまうかと思われ。(汗)

キュラーさん、残酷さをアピーーーーーーーーーーーーーールしつつ登場。
そしてどうやら私は抱き上げられるシチュエーションが好きらしいことが判明。
プリンセス抱っこはモエます。(微妙英語)


ちなみに私はジェットコースターダイスキーです。(愛)
乗りまくってます、遊園地に行けば必ず乗っています。
・・でも周りがほとんどジェットコースターが好きではないのです・・ガクリ。

それではここまで読んでくださってありがとうございました!



2003.12.7大幅修正