―――世界の夜は、今日も変わることはなかった。









第3夜








 人の手では決して届かぬ上空。
 そこには巨大で、淡い白光を放つ月が変わらず世界を静かに見下ろしていた。
 深く、深い夜色の空に眩く佇んで、自らを隠してしまう雲はその傍になく、ひっそりと輝きを見せている星々たちを従えながら寝静まった世界を照らしていた。

いつもと変わらない優しさと冷たさをたたえながら、月の姿は今日もあった。


 そんな月が見下ろす、下界のとある場所。
 灯りが溢れんばかりに満ちた巨大な都市から少しばかり、離れた草原…緑豊かな、広々としたその大地。
 それらもまた月の光を全身に浴びている―――ふと風が彼らを揺らし起こせば、植物たちはその風に合わせて踊るかのようにその身を揺らし、その空間の一帯に葉と葉がこすり合う音が満ちていく。


 静かに

 静かに。


 秘密事を交わすかのように、ささやかに。


 いつもならば、それは何者にも邪魔されることはない。
 いつものように囁きあうように静かな音が満ちる世界がその場にある……しかし、上空の月が替わらぬ夜を迎えているというのに、下界は違っていた。
 囁きあう彼らの声を打ち消してしまう、不気味な黒い影が列をなしていた。

 それは低く。
 それは重く。
 ザッ、ザッと何重もの足音が地を踏み草を踏み、優しく降り注ぐ月の光をその身に浴びたならば、不気味さを醸し出すいくつもの黒い影が緑に満ちた大地に映し出される。 カチャカチャと、金属がぶつかり合う音もまた、空を侵食するかのように響いていく…けれどそれを生み出すその影達は言葉を発することなく、ただ黙々と歩き続けていた。

 黒に近い色を体にまとった、不自然な集団。

 彼らが体に身につけているものは、戦などで使われる鎧や兜だった。
 本来ならば自然のものしか存在しないその空間の中にいる彼らは、美しいと賞されるであろうその景色を、異様なものに変えてしまっていた。


 先頭に立つのは、大柄な体格を持つ男だった。
 その後ろには小柄な青年と、先頭に立つ男よりも高い身長を持った、人ではない…人の形に似た機械兵士が並んで前進している。

 小柄な青年は顔を上げて、先頭に立つを男の背中に目を向けた。
 そして少し近くにまで歩み寄り、声を潜めて男に告げる。


「この調子で進めばレルムの村まで2日もかからないようです」


 その声は、青年の年齢を考えると高い音だ。
 声変わりが遅れているのだろうかと思わせるそれに加え、彼の性別を考えれば少々小柄で華奢な身体と見事に整っている美しい顔立ちを通りかがりの者が一見すれば、女にも見間違えることもあるだろう。
 ―――だが、その面にたたえられた凛々しさは、性別すらも気にさせぬほどの迫力があり、実際に彼は、 武器を手に取り先陣を切る有能な指揮官でもあった。 戦うことに関しては、恐ろしいほどの強さと、繊細なまでの細やかさを見せ付けてくれる。

「…念のため、元老院議会の使者に報告を送っておきましょうか?」

 青年の言葉に黙して耳を傾ける男の表情は、伺えなかった。
 何故なら彼は、人の顔骨に似た兜で顔を覆っていたからである。 そこから唯一分かる事と言えば、男の、紫がかった赤髪がただ闇夜にも鮮やかに映るということだけで。

 しばらく返答を待った青年に言葉を返すことなく、男は前を見つめたまま前進した。

 男は青年に無反応な態度を示した。 それは、彼を無視したというわけではない。
 男を知らない者ならそれを無視したという態度に取るかもしれないが、青年は背を向けた
まま進む男に小さく頷いて、無反応な態度を”必要ない”と受け取った。


 そして彼らの間に、再び沈黙が流れた。
 月の明かりを頼りにしながら、先頭に立つ男は小さく見え始めた森を視界に捕らえたまま、部下を連れてそれを目指し、歩き続けた――――――――。
















拝啓、オフクロ様 オヤジ様




あなた達の娘は今、なんだかとっても危うい状況のど真ん中にいるようです




(―――何でこうなってるわけ?!)


 空に浮かぶ月を恨めしく思いながらも、あたしは心の中で叫ばずにはいられなかった。
 何がどうしてどうなって、こんな展開になっているのかわからない。

 えーと、えーと、頑張れ、思い出せあたし!

 リィンバウムに召喚(?)されて、アメルたちに助けられて、触覚兄弟の喧嘩見て、服も借りるわアグラじいさんのナイスボディにびっくりするわでここまでやってきた自分。

アメルの手料理で夕食取ってる最中にリューグが帰ってきて、かなり不機嫌になるもんだから
思わず外に逃げ出して、これからどーしようかと考えていたんだけど・・・・・・。


なのに!いまだご飯を食べているであろうお人がここにいるのは何故?!?)


しかも彼の手には、月の光を受けてイヤンな感じ(嫌な感じ)に鈍く輝く斧がある。


・・・・・・切る?!やっぱり斬られるあたし?!?!


一方、パニックに陥っているあたしに気づいていないリューグは、じっと月を見上げていた。
どうやら何か用件があったみたいだけれど、彼はずっと月を見上げたままだ。
・・・・もしかしてこれが夜会話とかいうオチじゃないよね・・・?(ちょっと酷いぞこの夜会話)


(てゆーか、頭のあれ・・マジで触角っぽいよ・・ひ、引っこ抜きたい・・!(オイ))


沈黙が支配したまま、さらに時間が流れていった。
ずっとこんな状況に耐えられるほどの根性は持ち合わせていないので、とりあえず
事態の早期解決を目指そうと、勇気をしぼり出して彼に声をかけてみた。


「・・な、何か用なの?」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」



沈 黙 が 重 た い ゾ ★ ( 冷や汗倍増 ) 



”ど、どどどどどうしろって言うのよ神様!”と、神にすがりつくあたし。
けれど神は何も答えないので、あたしは何とか会話のネタになるようなモノがないかと
頭の中を探ってみたけれど・・・出てこない。


(肝心な時に出てこないなんて最悪だ・・)


うなだれながらリューグをそっと、盗み見てみる。


(あ)


目が合った。

あたしは思わずばっ!と顔を背けて、顔をうつむかせた。
・・これが恋という感情で顔が見れなくなってしまったのだったらまだマシだったかもしれない。
でも残念ながらそういう甘い空気が流れているどころか、目が合った瞬間に見た
彼の顔には、明らかに不機嫌そうな色も見えていた。


(ほ、他の話題でどうにかごまかしてみよう!<拳グッ!)


「つ、月が綺麗だね〜、明日も晴れるかなー?」

「は?」

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



速攻で会話終了。(なんじゃそりゃ!)
天気の話題すらまともに続かなかった・・ああそういやこの人は口下手という設定が
あったようでなかったような!!(超ウロ覚え)←コラ



てゆーか本当にどうしろっちゅーねん・・・(ため息)



がっくりと肩を落としてため息を吐いたら、またまたリューグと目が合った。
今度はそらさず、真っ直ぐ見つめ返したら、リューグが口を開いた。


「オイ」

「え?」

「・・・・・昼間は悪かったな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」


再び会話終了。
軽い、単純なやりとりが終わって、また沈黙が舞い降りる。

でも今度の沈黙は、あんまり重く感じなかった。



あれ?今・・・謝った?



「あ、あのー・・?」

「・・何だよ?」

「・・どーゆー心境の変化なの・・?」


とたんに、リューグはムッとした表情をあたしに見せた。(ヒィ!?<汗)
どうやら”心境の変化”があったと同時に何か・・嫌なことがあったらしい。
・・・・・・・・誰が怒らせたのよー!(怖いじゃん!)

リューグは口元をゆがめながら、その理由を語ってくれた。


「・・心境の変化もなにも、てめぇが出て行った後、俺がアメルや馬鹿兄貴や
じーさんに“謝って来い”って追い出されたんだよ。・・おかげで飯も満足に食えやしねえし」


“今日完全に飯が食えなかったらてめぇのせいだぞ”と呟きながらリューグはあたしを睨んだ。
さっきまでのあたしだったら、それにびびってたかもしれない。

でもそれは、<さっきまでのあたし>の場合である。


「・・・アメル達に怒られたから、謝りにきたですってぇ?」


妙に、低い声が出た。
リューグはそれに驚いた表情を見せたけど、あたしはギロッ!とリューグを睨んだ。
まぁ確かに迷惑をかけたのはあたしだけれども、リューグが謝ってきてくれたということは
少しは許してくれたのかなーなんて、淡い幻想を抱いていたのだ。



所詮は、都合のいい幻想だったということだ



でも家族に怒られたから謝りにきたって、どういうことよーーーー!!!!(小さい子供かあんた!)



ムカツイた気分でいっぱいだった。
むかついて、腹が立った。
もしかしたら許してくれたのかなーなんて考えた自分にも、イライラした。
もう、ビクビクするのは終わりにするべきのようだ。

ぶつかって、自分の気持ちをぶちまけてやる。


「・・行くアテなんかないからここを追い出されたくなかったし、いざとなったらアメル達の優しさに
つけこんでここに住まわせてもらおうかなーなんて考えたりもしてみたけど」

「!テメエ、そんなこと考えてやがったのか?!」

「(無視)そうなるんだったらリューグともどうにか仲良くなりたいなーなんて思ったし、
どうにかして怒らせないでおこうと事を進めて見たけど、うまくいかなかったからもう
どうでもいいわ」


全部吹っ切れた。
とりあえずここに住むのはもう無理っぽいし・・・・あたしは深呼吸をした。


そして、キレた。


「夕食食べ損ねる?んなこと知るか!・・っていうか何であたしのせいなるわけ!?」


あたしの怒鳴り声があたし達のいる空間に大きく響いた。
この家が村から少し離れた場所にあるのを、感謝せずにはいられない。

一方、リューグはかなり驚いた表情であたしを見て、眉をゆがめる。
あたしはリューグを睨んだまま、べらべらべらと喋りまくった。


「そりゃあたしだってイキナリ来て悪いと思ってるわよ!でもねぇ、あんたが今日の
晩ご飯食べられなくなったのがあたしのせいっていうのは聞き捨てならないわ!」

「ちょ」

「こっちだってイキナリ飛ばされたんだから色々考えてるのよ!どうすれば迷惑にならないとか、
どうすればこの先やっていけるのかって・・色々よ!あんたにこの苦労がわかるわけ?!
わかんないでしょ?わからないに決まってるわよ!もちろんあたしもわからなかったわよ!
でも・・でもまさか、こんなことが起きるなんてあたしだって思いもしなかったんだから!」

「お」

「それに何?!その斧は!!あたしをぶった斬りにきたわけ?!
さっきから見せ付けるように持って来て!とっとと出て行けってあたしを脅してんの?!
謝りに来ただけなら斧なんか持ってくるんじゃないわよ!!」

「・・うるさい!」


ここでようやく、あたしは喋ることをやめた。
怒鳴られて、あたしが勢いを削がれた間に、今度はリューグの反撃が返って来た。


「こっちだってな!良い迷惑なんだよ!!人の服は使いやがるし、身元明かさねぇし、
挙句の果てに飯までちゃっかり食ってやがるし!さらにはアメル達の性格につけこむ
つもりだっただと?!!最低な野郎だなお前は!」


自分で言ったことだけど、リューグの言葉がやっぱり痛い。
でもそれを無理やり押さえ込んで、あたしは呼吸を何度も繰り返して、
リューグを再度睨んで見やる。


「・・・あたしだって、つけこむような事なんかしたくないわよ。アメル達はあんたと違って
すごく優しいし、いい人でお人よしで・・でもあたしだって、独りになんかなりたくないん
だから!!」



とても身勝手な、言い分



でも全然知らない人より、ほんの少しでも知ってるアメル達と一緒にいたいと思うのは
他ならぬあたしの我侭だ



それにこれから起こることも考えれば、どうしてもアメルと一緒にいたい



殺される、村の人たち



あたしはその中に、混ざりたくない



死にたくないもの



ぼろっと、涙がこぼれた。
それにリューグがぎょっとしたような表情を見せて、あたしも思わず自分の頬に触れて、
出てきた涙に驚いていた。
ああもういいや!そのまま続けてやる!!(ヤケ)


「でもそんなに迷惑だったら出て行ってやろうじゃないの!今日は泊まっていいってロッカが
言ってくれたから、遠慮なく泊まらせてもらうけど・・明日には出て行ってやるわよ!
これでせいせいするでしょう?この際ロッカとかアメルとか、アグラじいさんとかに
もっと他人に警戒心を持て〜とか、言ってやったらどう?」

「・・んだと?!」


リューグがあたしの胸ぐらを掴んで引き寄せて、顔もすごく近くに寄せてきて、あたしを睨む。
ヤバイ、さらに泣き出しそうだ。
が、あたしだってここまで来たからには退けないので睨みかえしてやる。


「何よ!殴るの?!ロッカにやったみたいに!!」

「・・っこの・・!」


リューグの手が振り上げられる。
殴られる恐怖心に、一瞬すごく情けない顔に歪んだのが自分でわかった。
唇を切ってしまうのも覚悟して、あたしは衝撃に備えてぎゅっとキツク、目を閉じた。



            でもそれはあたしに振り下ろされなかった。
恐る恐る、そっと目を開けてみたら、手を振り上げたままリューグは動かなかった。


「・・・?」

「・・・・・・っ・・・」


何か言おうと、口を開きかける。
けど結局は何も言わないまま、口を閉じた。
口を閉じる変わりに、一瞬、悲しそうな表情が、リューグの顔に表れたのを見た。

掴まれていた胸ぐらが、バッと乱暴に離された。
思わず後ろにこけそうになったけど何とか踏みとどまってリューグを見れば、リューグは
あたしに背を向けて家に戻っていく。

その背を、あたしはぼんやりと見送ったけれど・・次には両手で頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。



「・・あー・・・あたしのほうが馬鹿じゃん・・・・」



酷い言葉をたくさん言った。
自分のことだけでいっぱいいっぱいで、何にも遠慮することなく、醜い気持ちを吐き出した。
ロッカたちが聞けば、きっとあたしは軽蔑されるだろう。


(ああでも・・ちょっと、すっきりした・・)


不安な気持ちをぶつけたから、ほんの少し、余裕が出てきた。
頭もようやく冷めてきて、最後に見たリューグの、一瞬の悲しそうな顔が頭の中に蘇る。


「・・・あんな顔も、するんだなぁ・・・」





あれを見てしまった瞬間。


心のどこかが、酷く痛く感じた。























「あ、リューグ。さんに謝ってきた?」

「・・・おう」


さらに派手な喧嘩をしたが、嘘は言っていない。
あの口喧嘩はアメルの耳には届いていなかったようで、アメルはリューグの返事に
にっこりと笑顔を見せた。


「そっかぁ、良かった。それじゃ、ご飯温めてくるからもう少し待っててね」


そう笑って、アメルは鍋の火を掛ける。
その火が、温かい空気がその場を包んだ。
それにようやく安心感を覚えて、リューグはこっそりため息を吐いた。



休日である今日は、終わってしまった


久しぶりに家族で過ごせると思っていた


けれどの登場に、ロッカと喧嘩するわ、夕食は揃って取れないわで、最悪だ



「リューグってば今日はずっと怒ってばっかりだったね」

「・・・・」

「嫌なことがあったの?あたしでよければ話、聞くけど・・・」


アメルの言葉に、リューグは苦笑するしかなかった。
けれど苦笑は、鍋をゆっくりとかき回すアメルの後姿を見ているうちに、
知らず知らず、穏やかな笑顔に変わっていく。

聖女の仕事をしているときより、何よりも楽しそうに鍋をかき回している。


「・・なぁ、アメル」

「なぁに?」

「・・・本当に聖女をやめたいって思ってないのか・・?」


以前からずっと、問いかけていた質問。
彼女が聖女をやめたいと望むなら、自分もロッカも、アグラバインも何もかもをかけて
それを叶えてやるだろう。
けれど、アメルは決してそれを望まない。


「・・え?どうしたの?突然・・変なリューグ。あたしは大丈夫よ!
だって・・・・皆の役に、立てるもの・・」


最後の言葉は、最初に比べて小さくなっていた。
それにはーっとため息を吐いて、リューグは座っている木製の椅子をぎしっと鳴らす。


「・・・そうか」

「でも、少しさんが羨ましいかも。だって、不思議な力もない、普通の女の子だもん・・・」


その言葉にリューグはふと、泣いていたを思い出した。
彼女のせいで、唯一家族と過ごせる休日がつぶされて、何度も八つ当たってしまった。
最後には売り言葉に買い言葉、という表現がふさわしいくらいの口喧嘩で終わって・・。


(っくそ、・・泣くのは反則だろ・・)

「そんなことよりリューグ、さんと仲良くしてね。きっと心細いはずだから」


”それはもう無理だろうな”と思いながらも、リューグは「ああ」と返事をした。
謝るつもりが思いっきり喧嘩売ってしまったのだ、本当に、あの怒鳴り合いが
アメルに聞こえてなくて安心した。(聞こえていたら確実に飯抜き)


「・・あたし、さんが羨ましいって言ったけど、やっぱり・・よく考えたらすごく失礼だよね」


スープの入った皿を持って来て、アメルはポツリと呟いた。


「・・?」

「だって普通の女の子だけど、今は何も知らない世界にいきなり召喚されてしまった・・
誰も知らないんだよ、 さんのこと。・・それって、どんな気持ちなのかな・・・」



たった独り

それがどれほどツライことなのか知らない



アメルの言葉でリューグの頭の中に、の言葉が頭に過ぎった。




“こんなことが起きるなんてあたしだって思いもしなかったんだから!”




必死の、表情。
周りは誰も彼女を知らなくて、そのうえここはのいた世界とは異なる。
・・不安なのは、独りになりたくないのは、当たり前かもしれない。


「・・・・でも何でよりによって俺らに懐くんだか・・・」

「え?」

「何でもねえ」



そしてリューグは黙々と食事を開始するのだった。



















そんな会話が繰り返されているとは知らずに、あたしは頭を抱えて切り株に座り込んでいた。
そして真っ白い月に懺悔していたのです。


「ああ、神様仏様イエス様マリア様ザビエル様・・(あ、ザビエルはいいか・・)とにかく本当に
あたしは馬と鹿と書いて馬鹿です。大馬鹿者です。ネスに“キミは馬鹿か?!”と言われたい
ほどの馬鹿ですが(いや、これは妄想か)ここまで馬鹿なのも問題でした。すごく自分を呪います、
本当に申し訳ないです、あんなにキレるなんて自分でもかなり驚いてるなーとか思ったり
今までの逆ギレレベルを更新するほどのキレ具合でしたまさかファーストプレイ者にあそこまで
キレるなんて忍耐が足りないのか愛が足りないのかよくわかりませんがとにかくすっごく
後悔しています・・・だから・・だから・・・」



お願いだから、寝ているうちに斧で一刀両断は勘弁してくださいーーーーーーー!!!!(汗)



「・・もう逃げるしかないかなー・・?(滝汗)」



でもよくよく考えればゼラムまでの道は知らないし、はぐれ召喚獣とかと戦えるわけないし、
もし黒騎士とかゼルフィルドとかとバッタリ出会っちゃったらもっとヤバイじゃん!!(泣)



あたしは立ち上がって走って家に戻る。


(取り合えず早くアグラじいさんに相談してどうするか決めなくちゃヤバイ・・!)


ガチャッと扉を開けて中に入るとリューグとアメルが話し込んでいた。
リューグなんか、さっきまでの怒り顔なんか一欠けらも浮かべてなくて、穏やかな、小さな笑み
を口元に刻んで苦笑している。

あーあー!はいはい!リューグはアメルにゾッコンラブだもんね!
あんな怖い顔なんか滅多に見せることなんかないもんね!ッケ!!(やさぐれ)

まぁとにかくチャーンス!と、走る足を止めないで廊下へと突っ走る。
けどあともう少しのところで、あたしに気がついたリューグに腕を捕まれた。


「?!」

「ちょっと、こっちに来い」

「はあああ?!あの・・ちょ・・あたしはアグラじいさんに用がああああああぁぁぁぁぁぁ・・・!」


問答無用、と言わんばかりにあたしは廊下の奥へとズルズルと引っ張られてしまった。
あんなこと(大喧嘩)があった後だから、少し気まずくて、思わず振りほどこうともがくけど、
リューグは大きな手でしっかりとあたしを掴んだまま離さなかった。


てゆーかアナタ、腕痛いッスー!


「おい」

「な、何・・・?」

「明日から俺達は自警団の仕事に戻って、アメルは聖女の仕事に戻る」

「・・う、うん・・・?」

「だからあんまり帰って来れねえ、その間ジジイは一人になっちまうからお前はここにいろ」

「はぁ?」

「ジジイに恩があるなら、しばらくはこの家のこと手伝えって言ってんだよ」

「手伝う・・?・・あんた、あたしにあんなデッカイ斧を振り回してキコリをしろって言うの?!」



いくらなんでもそれはムチャだろーーー?!!



「ちげーよ」


慌てるあたしに、リューグがはぁぁぁぁと、深いため息を吐いた。(深すぎだよあんた)
あたしの腕を掴んだまま頭を掻いて、しばらく黙っていたあと、ようやく言葉を出した。


「もう出て行かなくていいって言ってんだよ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナヌ?



「・・・・・さっきと言ってることが全然違うんだけど・・・」

「気が変わったんだよ、アメルにも仲良くしろって言われたし・・・」


あたしは掴まれていることも忘れて、思わずリューグを見つめてしまった。
そして感心したように、言葉を返す。


「・・・リューグって本当にアメルが好きなんだねぇ・・・(唖然)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?!」


かなり驚いた表情を見せて、あたしを見下ろした。
どうやまだ自覚はないみたいで、ここまで驚いた表情も珍しい。

でもあたしの中で”早くどうにかしなくちゃ”と思っていた気持ちが一気に緩んで、
腕を掴まれたまま、ズルズルと廊下の床に座り込んでしまった。


「お、おい?!」

「・・・・かった・・」

「?」


あたしは安心したせいであんまり力の入っていない手で、リューグの腕を掴み返した。
それに少し目を見開いて、リューグは床に座り込んだあたしを見下ろす。

あたしは一瞬何もかも忘れて、顔を上げてリューグにへらっと笑った。



「良かったぁ    ・・・・」



リューグの表情が、固まった。
あたしはそれに気づかないまま、もう一度”良かった〜”と繰り返して、リューグを見上げる。


「・・・・ほんと、ありがと・・ありがとう。やっぱり居ても良いって言われたらすごく嬉しい」


そこでようやく、リューグははっとしてあたしから視線をずらして、掴んでいた手を離そうとする。
けど今度はあたしが離さなくて、”お、おい”と慌てた声が上から聞こえた。
さっきまではすごくイライラして、ムカムカしてたけど、今は何でも許せそうだ。

あたしは再びリューグを見上げていった。


「さっきは、ごめんね」

「は?」

「・・あたし、本当に酷いこと言った。リューグに対しても、アメル達に対しても・・」



酷い事言った


リューグを、傷つけた



リューグの手を掴んで、それを自分の顔を前に持っていってもう一度”ごめん”と謝った。
すると握った手が、酷く熱いことに気がついて、あたしはリューグの顔を見上げる。


「・・・・・リューグ?」

「は、離しやがれ!!」


あたしの手を乱暴に振りほどいたあと、リューグはくるりと背を向けた。
ようやく足に力の入ったあたしは立ち上がって、横からリューグの顔を覗き込む。


「リューグ?」


よくよく見れば、耳が真っ赤だ。
・・・もしかして、照れてる??

不思議な光景だと思った。
さっきまではあんなにギスギスしてた空気だったのに、今はそれはすっかり砕けている。



なんだか、すごく嬉しい



あたしは彼の隣に笑いながら、言ってやった。


「リューグ、照れるの似合わないよ?」

「・・ほっとけ!////」












何とか仲直り(?)したあたしだが、そのままアグラじいさんの元に向かった。
さっきまでは気分最悪だったけれど、今はすっかり足取りが軽い。


(ルヴァイド達がいつ来るかわかんないけど、とりあえず当分は安心ね♪)


そして目的の部屋んに到着して、扉をノックしようと手をかざす。
けれどノックをしようとするその時、中からかすれた声が響いてきて、あたしの手は
ぴたりと止まった。


「・・はぁ・・・っ・・・・はぁ・・」

「ほれ、ロッカ。もう少しじゃ」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?




(ままままままままさか・・・!んな訳ないわよねー・・??(滝汗))



まさかこの部屋の中であんなことやそんなことが繰り返されているだなんて!!(腐女子的思考)



けれど現実は、扉の前で固まっているあたしにさらに追い討ちをかける。


「おじいさ・・っ・・そろそろ・・もうっ・・・・・」

「うむ、そろそろ限界のようじゃな・・」


(ひぎょおあああああああああああああああああああああああ!!!!!)


あたしは思わず悲鳴を上げそうになった。
鳥肌も全開で、よからぬ考えが走ったのだ。


(アグラ×ロッカは勘弁してええええええええええええええ!!!!)←死ね


わなわなと肩を震わせて、あたしは叫びながら禁断の地(大げさ)への扉を、


「あたしはロカトリ派よーーーーーーーー!!!(ドガァッ!!)」


足で蹴破った。
蹴破られた扉は勢いよく開け放たれて、あたしはアグラじいさんの部屋の中へ飛び込んだ。
そして息を切らして顔を上げると、中には。


「・・・・・・・・・・・・あら?」

「・・・・・・・はぁ・・・どうしたんですか?さん・・」

「いきなり蹴破って来るものではないが・・何かあったのか?」


中には、アグラを背に乗せて(ポイント)腕立てふせをしていたロッカがいて。
あたしは自分の早とちりを呪った。


「(こういうオチかーーーー!!)あ、あははは!ゴメン!ちょっと蹴りの練習したくなって・・」

「・・蹴りの練習?さん、武道か何かやっていたんですか?」

「あははははははははははは!(乾いた笑)うん!あたしの世界じゃ扉を開ける時は蹴りで!
っていう宇宙も逆らえぬ法則があるのよ!(<嘘です)」

「・・お前さんの世界は一体どんな世界なんじゃ・・・(汗)」

「あはははははははははははははははははははははははははははははははは!!!(滝汗)」





もう笑うしかなかったり。





言えるわけがないでしょ、普通・・・





「まぁ、それは置いておいてじゃな・・ワシに話しがあるんじゃろう?」

「あ!うん・・それで・・その、ロッカには席を外してもらいたいの」

「・・わかりました、それではお爺さん。練習の付き合いありがとうございました」

「うむ、日々の鍛錬を怠らぬようにな」

「・・・(まさかあたしが妄想してたなんて絶対言えないわよね・・)」


遠い目でロッカが出て行くのを見送ると、あたしはくるりとアグラ爺さんに向き直った。


「アグラ爺さん、あたし、やっぱり元の世界に帰りたいんです。ほんの少しでもいい、召喚術の
知識を教えてください」

「・・ワシはただの木こりじゃ。武術以外はよくわからんのだが・・、すまんな」

「・・・・おじいさん(ただの木こりが武術知ってるわけないでしょ!)」


あたしはツッコミを入れたいのを我慢して、冷静にアグラ爺さんを見る。


「アグラおじいさん、本当に、本当に何も知らないの?思い当たることはないの??
・・貴方は誰よりも物知りだって、アメルから聞いたよ?(言ってないけど)」


アグラじいさんは何か考え込む素振りを見せる。
けれどその口からは、あたしが期待していたようなものとはまったく逆の言葉が出た。


「だがワシは本当に知らんのじゃ。召喚術の応用はまったくの素人でな」

「・・・・そっか、ごめんなさい。おじいさん」

「いや、・・力になれんですまかったな・・。その変わりここに滞在するといい。
アメル達もきっと喜ぶじゃろう」

「・・・うん」

「さ、今日はもう休むがいい。色々あって疲れたじゃろう?」

「・・そうね、おやすみなさい。アグラじいさん」

「ああ、おやすみ・・」


アグラじいさんに頭を下げて、パタンと扉を閉める。



あーあ、蹴破った靴の痕が付いちゃってるよ・・・(汗)



その痕を遠い目で見つめながらあたしはため息を吐いた。




何となくだが

嫌な予感がする

それはきっと

この村の惨劇の始まりの予感

世界の運命を掛けた闘いの予感

合図はトリス達が訪れるその夜

アメル達はトリスに助けられる

でも、あたしは?

あたしの事はゲームにも出てないし、先は真っ暗だ

もしかしたら殺されるかも知れない

誰もわからないもう一つの物語

それは無事に帰れるという幸せの結末か、死という終わりの終幕か

誰もわからない結末




あたしは言いようもない不安を抱えながら、用意してもらったベッドに
身を深く沈めて眠った。




目が覚めたら、動こう。


自分に出来る事が、一つはあるはず。


・・生き延びて、生き延びて。


また平和なあの世界に戻ってやる。







そんなあたしは決意したものの。

その予感はもうすぐ目の前に迫っていたことに気付かなかった。

トリス達はもう、旅に出てしまっていたのだ。

見聞の旅から、世界を救うという旅に変わることを知らずに・・。



もう一つの物語。



今、幕が上がる。












NEXT




**後書き**

第3話です。
ぶちまけるだけぶちまけて、そしてようやく和解につながりました。
でもあれが和解って・・言えるのかどうかは謎ですが、とりあえず
リューグにとってヒロインは”怪しい女”から”変な女”に昇格いたしました!(嫌だ)
途中で”良かったー”とヒロインが安心したところで、ちょっとトキメキを感じて
いたかもしれません。(笑)

・・多少おかしいところがあったとしても、これで全て流してやってください。


行き当たりバッタリ企画だから!!(死)


そしてアグラ×ロッカネタが微妙に入ってます・・。(吐血)
気分を害された方、本当に・・!本当にすいません・・!!

管理人はボーイズでも読めますが、基本的にはノーマル好きなのです。
夢を書くにもノーマルを書くほうが好きなのです〜。・・それにしてもアグロカは嫌ですが。

あとリューグ→アメルなネタもありますね。(遠目)
うーん、そろそろ恋愛要素も入れたいのですが、まだまだのようですね・・・。

次にはトリス一行が出ます。
ど、どうなることやら・・・!!

2003.11.7文章大幅修正